早川尾根とは
早川尾根は南アルプス北端に位置し、山梨県南アルプス市・北杜市に跨り、甲府盆地からは甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山を結んだ尾根として見上げることができます。
栗沢山と鳳凰三山の地蔵岳の間には、いくつかのピークが連なり、その最高峰がアサヨ峰(標高2,799m)です。
早川尾根を縦走する登山者は少なく、夏のシーズン中でも静かな山行を満喫することが出来ると思います。 しかし、登山道はしっかり整備され、ルートを外す心配はありません。
一方、アサヨ峰と栗沢山間の稜線は大変人気の山域で、多くの登山者が入山します。
この間は鎖が設置されるほどの難所ではありませんが、急峻な岩稜が続き、早川尾根の核心部ということが出来ると同時に、甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳、北岳の展望が素晴らしく、特に栗沢山は甲斐駒ヶ岳の展望台として単独で登られることも多くあります。
- 1. 早川尾根の地図
- 2. 早川尾根の山小屋
- 3. 早川尾根のアクセス
- 4. 早川尾根の登山コース概要
- 4.1. ① 早川尾根でアサヨ峰ルート
- 4.2. ② 北沢峠からの栗沢山ルート
- 4.3. ③ 仙水峠からの栗沢山ルート
- 5. 早川尾根の日帰り登山は出来る?
- 6. 早川尾根の登山口近くの温泉
- 7. 早川尾根の天気の特徴
- 8. 早川尾根の魅力
- 8.1. 八ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、北岳の大展望
- 8.2. 適度な岩登り
- 9. 各種情報
- 9.1.1. 早川尾根登山ツアー
- 9.1.2. 観光協会
- 9.1.3. 登山届提出
- 9.1.4. 登山地図のスマホアプリ
- 10. 早川尾根アサヨ峰山頂周辺の気温
- 11. 早川尾根へ登るための装備と服装
- 12. 服装や装備品のチェックリスト
早川尾根の地図
早川尾根の山小屋
早川尾根のアクセス
早川尾根の登山コース概要
① 早川尾根でアサヨ峰ルート
鳳凰三山の地蔵岳から高嶺にかけては変化に富んだ楽しい区間で、鳳凰三山の白い花崗岩の美しい岩肌を眺望出来るのも特徴の一つです。
高嶺からミヨシノ頭までの区間は、ほぼ樹林帯の中で、時折木々の間から甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳等が望める程度で、やや退屈します。
早川尾根のほぼ中間地点に、テント場のある早川尾根小屋があるので、縦走にも安心です。ただし、予約が必要です。小さな山小屋としては、他に類を見ない手の込んだ食事には高いポイントを付けてもよいでしょう。
アサヨ峰と栗沢山間の稜線は大変人気の山域で、多くの登山者が入山します。 この間は鎖が設置されるほどの難所ではありませんが、急峻な岩稜が続き、早川尾根の核心部ということが出来ると同時に、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳の展望が素晴らしく、特に栗沢山は甲斐駒ヶ岳の展望台として単独で登られることも多くあります。
コースタイム
- 地蔵岳→栗沢山 6時間30分
- 栗沢山→地蔵岳 6時間30分
難易度 3/10
体力 2/10
② 北沢峠からの栗沢山ルート
北沢峠から北沢駒仙小屋の前を通り、うっそうとした針葉樹林帯を上がると、木々の間から時折、甲斐駒ヶ岳が見えだします。
樹林帯を抜けるとハイマツ帯になり、展望が開けます。その先は栗沢山頂上まで稜線の岩場をたどるルートです。
鎖を設置するほどの岩場ではなく、ホールドはしっかりあり、高度感も無いので問題なく通過出来ます。
注)栗沢山山頂から北沢峠に降りる時は、ルートがやや不明瞭です。稜線に沿って登山道はありますが、稜線の岩場にペンキマークが少ないため、視界不良時は要注意です。
コースタイム
- 登山:北沢峠→栗沢山 1時間50分
- 下山:栗沢山→北沢峠 1時間20分
難易度 2/10
体力 1/10
③ 仙水峠からの栗沢山ルート
仙水峠から栗沢山へ向かう登山道はゴロゴロとした大きな岩の中に沢山のケルンが積んである所から始まります。 仙水峠から約1時間30分の急登で登頂できます。
樹林帯を抜けると甲斐駒ヶ岳の全景が現れ、仙水峠から駒津峰経由で甲斐駒ケ岳へ至るルートが見て取れます。
頂上直下は岩場となっていますが、高度感はなくホールドもしっかりあるので、鎖が必要なほどの岩場ではありません。栗沢山は早川尾根の最北端にあり標高2,714mで頂上からは360度の展望が望め、特に甲斐駒ヶ岳の眺望は抜群です。
コースタイム
- 登山:仙水峠→栗沢山 1時間20分
- 下山:栗沢山→仙水峠 1時間00分
難易度 2/10
体力 1/10
早川尾根の日帰り登山は出来る?
早川尾根の縦走は、鳳凰三山の地蔵岳と栗沢山間のコースタイムが片道6時間30分ほどを要するので日帰りは不可能です。途中の早川尾根小屋 に一泊するのが一般的です。
早川尾根の登山口近くの温泉
鳳凰三山登山口周辺の山梨県芦安に良質な温泉が沸きます。
早川尾根、鳳凰三山、北岳、間ノ岳や農鳥岳への縦走の前夜泊や下山後の宿泊として便利です。
代表的な温泉に芦安温泉「岩園館」、「桃の木温泉 さんわそう」青木鉱泉、御座石温泉などがあります。
芦安温泉「岩園館」
源泉掛け流しのナトリウム・カルシウム・硫酸塩温泉(アルカリ性低張性高温泉)です。
大岩露天風呂・屋上露天風呂・展望大浴場の3つの大浴場があります。
甲府駅南口から路線バスがあります。御勅使で下車すると送迎があります。
シャトルバスの発着場になっている南アルプス温泉ロッジ・白峰会館まで1.5kmで徒歩18分です。
日帰り入浴のみは(2時間まで)
一人様 1,000円(税込)
桃の木温泉 さんわそう
温泉は加水・加温・循環なしの「100%源泉かけ流し」です。湯量豊富な自噴温泉はアルカリ性単純温泉です。開放感抜群の露天風呂が魅力です。
甲府駅南口から路線バスがあります。御勅使で下車し、タクシーで15分です。または、終点のシャトルバスの発着場で下車して徒歩でも可能です。
シャトルバスの発着場になっている南アルプス温泉ロッジ・白峰会館まで1.9kmで徒歩25分です。
青木鉱泉
緑礬泉僅かに白濁を帯び弱酸性無臭 淡褐色の沈殿 熱すれば淡褐色の浮遊物がある鉱泉を薪等で沸かしています。
鳳凰三山路線バス
JR 韮崎駅から青木鉱泉、御座石温泉の登山バスがあります。 上り3便、下り5便。
【住 所】 山梨県韮崎市清哲町青木3350
【T E L】 070-4174-1425
【営業期間】 4月末~11月中旬 (要問い合わせ)
【宿泊料金】 素泊まり 1名 8,800円
【日帰り入浴】 7:00~21:00 入浴のみ:1,000円(内税)
【水場・テント場】水場あり 50張・800円/1 *テント泊の方の食事・入浴対応可
早川尾根の天気の特徴
早川尾根は晴天の確率が比較的高い
南アルプスの北部に位置する早川尾根の山域は、日本海側特有の冬型気候の影響を受けにくいため積雪量は多くありません。
また、南アルプスの中では比較的晴天に恵まれることが多いのも 特徴に挙げられます。早川尾根のある北杜市、南アルプス市の晴天率は日本でも屈指です。
6月から7月の梅雨明けまでは晴天の確率は低いですが、梅雨開けと共に晴天がしばらく続きます。また、秋も比較的晴天に恵まれます。しかし、10月上旬に初冠雪を見る年もあり、雨天だけではなく、強風などにも天候には十分な注意が必要です。
早川尾根の魅力
八ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、北岳の大展望
早川尾根の稜線からは変化に富んだ南アルプスの大パノラマが展開します。特に北岳や甲斐駒ヶ岳の眺望は抜群です。
適度な岩登り
アサヨ峰と栗沢山間がハイライトです。適度なアップダウンのある展望良好な岩場を通過します。
鎖場等の難所は無く登山初心者でも安心して登山を楽しめるルートです。
各種情報
早川尾根登山ツアー
- 早川尾根|登山・トレッキングツアー
観光協会
- 北杜市観光協会 電話:0551-30-7866
- 韮崎市観光協会 電話:0551-22-1991
- 南アルプス市観光協会 電話:055-284-4204
登山届提出
- 山梨県側は山梨県警察。電子申請やFAXなどで対応。
- 長野県は長野県県庁のホームページ
登山地図のスマホアプリ
- 山と高原地図のスマホアプリ
昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。
早川尾根アサヨ峰山頂周辺の気温
最高気温 | 平均気温 | 最低気温 | |
1月 | -8.0 | -13.7 | -19.4 |
2月 | -6.5 | -12.6 | -18.7 |
3月 | -2.2 | -8.8 | -14.9 |
4月 | 4.5 | -2.6 | -9.5 |
5月 | 9.2 | 3.2 | -3.1 |
6月 | 12.2 | 6.6 | 1.9 |
7月 | 15.4 | 10.1 | 5.9 |
8月 | 16.9 | 10.8 | 6.4 |
9月 | 12.6 | 6.9 | 2.4 |
10月 | 6.8 | 0.5 | -4.9 |
11月 | 0.7 | -4.9 | -11.7 |
12月 | -5.0 | -11.0 | -16.3 |
早川尾根へ登るための装備と服装
軽アイゼン | 12本歯アイゼン | ピッケル | サングラス | テント | |
1月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
2月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
3月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
4月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
5月 | ○ | △ | △ | △ | ◎ |
6月 | × | × | × | △ | ◎ |
7月 | × | × | × | △ | × |
8月 | × | × | × | △ | × |
9月 | × | × | × | △ | × |
10月 | × | × | × | △ | × |
11月 | × | × | △ | △ | ◎ |
12月 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
服装や装備品のチェックリスト
登山地図 | 必須 登山地図を忘れると道迷いの原因に!早川尾根に入ってしまえば一本道ですが、北沢峠、 鳳凰三山では分岐がたくさんあります。 登山地図を持って行かないのは命取りと言えます。 |
レインウェア | 必須 早川尾根の天候は急変します。天気予報で晴が出ていても レインウェアは必須です。また、防寒着としても使えます。 セパレートタイプの通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。 |
帽子 | 必須 早川尾根の稜線では直射日光が強烈に降り注ぎます。日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山ではフルフェイスタイプをお奨めします。 |
日焼け止め | 必須 早川尾根の最高峰のアサヨ峰は標高2,799mあるので、 稜線に上がると日光を遮る木々が一切ありません。森林限界を超えると紫外線が強いので必帯です。 |
飲料水 | 必須 早川尾根小屋に豊富な水場があります。水不足にならないように天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。登山行程に合わせて水の量を調整するとよいでしょう。 |
ヘッドランプ | 必須 就寝後、早川尾根小屋は完全に電気を落とします。真っ暗の中でトイレに行くのが困難な事もあります。また夜の行動を余儀なくされた場合にはライトがなければ歩けません。また、暗い内から山頂まで登り、御来光を拝むためにも必要です。 |
行動食 | 必須 早川尾根縦走するとコースタイムが長くなるので多めに持っていくと良いでしょう。パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものがお薦めです。 |
パックカバー | 必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。 時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。 |
救急薬品 | 必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。早川尾根縦走の場合には、登山行程が長く体力を必要とするので、トクホンのような筋肉痛に効く貼り薬もあると役立ちます。 |
ティッシュペーパー | 必須 登山中いきなりしたくなってしまった場合や、転んで出血した時の止血用として必帯です。ポケットティッシュを水で濡らし耳栓として使う場合にも有効です。 |
防寒着 | 必須 薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。 早川尾根アサヨ峰山頂では、7~8月でも最低気温が6度近くまで下がることがあります。軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアを その上に着ると更に保温性が高まります。 |
手袋 | あったら良い 革製の手袋がベストですが、軍手でもOKです。 |
耳栓 | あったら良い 早川尾根は早川尾根小屋で一泊することになると思います。山小屋では大部屋が基本です。就寝時に いびきをかく人が必ずいます。耳栓の効果は絶大です。 |
カメラ | あったら良い 大展望の北岳、甲斐駒ヶ岳なのど山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。 |
ビニール袋 | あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れとして7~8個あると便利です。 |
保険証(コピー) | あったら良い 事故や遭難時に必要です。 |
サブザック | あったら良い 水、カッパなど必要最低限が入る軽いコンパクトなものを使用すること。 |
シュラフカバー | あったら良い 遭難時や混雑している山小屋(一つの布団に2人)で役に立ちます。毛布2枚を床に敷きゴアテックス製のシュラフカバーに入ります。 |