硫黄岳とは
硫黄岳は南八ヶ岳の最北に位置する標高2,760mの火山です。 硫黄岳の南北両側に巨大な爆裂火口跡があり、特に北部は600mに及ぶ切り立った爆裂火口となっていて、そのため火口底にある本沢温泉には乳白色の温泉が湧き出しています。野趣あふれる露天風呂からその絶景を仰ぎ見る事が出来ます。
硫黄岳山頂は平坦で広く、南アルプス、北アルプス、南北八ヶ岳のほぼ全域を見渡せます。一方、遮る物が無く、時には強風にさらされる事があります。また、濃霧時にルートを見失わないため山頂周辺にはケルンがたくさん積まれています。
冬山登山は稲子湯・赤岳鉱泉を登山口とするのが一般的です。
硫黄岳のアクセスポイント
アクセスは美濃戸口、桜平、唐沢鉱泉、本沢温泉、稲子湯など多くの登山口があり、どのルートからでも鎖場などの難所は無く、八ヶ岳の入門コースとして登山初心者にはうってつけの山です。
また、中級者以上の方には硫黄岳から横岳、赤岳を縦走するコースが大変人気となっています。
硫黄岳の地図
硫黄岳の山小屋
硫黄岳のアクセス
硫黄岳の登山コース概要
① 桜平 ・オーレン小屋ルート
桜平登山口へは悪路を30分ほど車を走らせます。 公共交通機関が無い為マイカーのみのアクセスです。 桜平駐車場は約60台程ですが、更にゲート周辺の林道沿いに20台ほど駐車できます。
一般車は桜平のゲートから先には入れません。 林道を歩きゲートから150mほどの所には簡易公衆トイレが置かれています。 林道を30分ほど歩くと通年営業の夏沢鉱泉へ到着します。 夏沢鉱泉では常時入浴可能で、タオルやお茶が付いて700円です。
夏沢鉱泉を過ぎ、樹林帯をしばらく登ると斜面が崩落した場所を通過しますが、通行注意です。 オーレン小屋までは樹林帯の中の単調な登りで、オーレン小屋直前で展望が開け硫黄岳が見えてきます。
オーレン小屋裏手の分岐で夏沢峠に向かい、20分ほどで夏沢峠です。 夏沢峠には山彦荘と限定的な営業をしているヒュッテ夏沢が向かい合うように立っています。
山彦荘とヒュッテ夏沢の間を進み、本沢温泉への分岐を左に見送り樹林帯へ入ります。 樹林帯に入ると一気に傾斜を増し、高度を上げていきます。
樹林帯を抜けると展望が開け、硫黄岳山頂が見えてきます。 硫黄岳山頂まで、いくつものケルンに導かれるよう登山道が伸びています。 左側が切れ落ちた爆裂火口の大パノラマを見ながらゆっくり上ると硫黄岳山頂です。
硫黄岳山頂は広く平坦になっているため、濃霧時の道間違いには注意が必要です。
下山は硫黄岳山頂から赤岩ノ頭へ向け下ります。 赤岩ノ頭から右方向のハイマツ帯へ降りていきます。 ダケカンバの林を抜け、 峰の松目分岐まで来るとオーレン小屋はあと少しです。
コースタイム
- 登山:桜平→硫黄岳 2時間30分
- 下山:硫黄岳→桜平 1時間50分
難易度 1/10
体力 2/10 (日帰り)
② 赤岳鉱泉ルート
赤岳鉱泉から針葉樹林帯の中に登山道が伸びています。 大同心沢、裏同心沢の二つの小さな沢を渡り、続いて橋がかけられているジョウゴ沢を渡ります。ここから赤岩ノ頭まで樹林帯の急登です。
ダケカンバの林からハイマツ帯に入った辺りから徐々に展望が開けてきます。 赤岩ノ頭に着くと一気に展望が開け、正面に硫黄岳、右手には南八ヶ岳の横岳、赤岳、阿弥陀岳、権現岳と並んでいます。
赤岩ノ頭からは沢山積まれたケルンの脇をジグザグに登れば広々とした硫黄岳山頂に到着します。
コースタイム
- 登山:美濃戸→硫黄岳 3時間20分
- 下山:硫黄岳→美濃戸 2時間35分
難易度 1/10
体力 2/10 日帰り
硫黄岳の日帰り登山は出来る?
硫黄岳の最短ルートは桜平登山口からです。硫黄岳をピストンするコースタイムは4時間に20分です。従って体力の少ない登山初心者であっても余裕で日帰り可能です。
硫黄岳の登山口近くの温泉
信州原村八ヶ岳温泉樅の木荘
日帰り入浴施設の「もみの湯」の泉質はナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉です。
宿泊者限定の貸切露天風呂や貸切家族風呂もあります。
利用料
【原村村民】
大人:500円 子供:300円
【原村村民以外】
大人:650円 子供:300円
営業時間
AM10:00~PM 9:30 (PM 9:00までに入館)
休館日
第3水曜日(祝祭日の場合は翌日)
登山口の美濃戸まで5.1km、車で9分です。
硫黄岳の天気の特徴
硫黄岳は晴天の確率は比較的高い
八ヶ岳の南部に位置する硫黄岳の山域は、日本海側特有の冬型気候の影響を受けにくいため積雪量はさほど多くありません。
夏場は午後になると清里側からガスが湧き出る傾向にあります。
6月から7月の梅雨明けまでは晴天率は低いですが、梅雨開けと共に晴天がしばらく続きます。また、秋や春も比較的晴天に恵まれます。しかし、10月上旬で初冠雪を見る年もあり、雨天だけではなく、強風などにも天候には十分な注意が必要です。
硫黄岳に咲く数々の高山植物
硫黄岳山荘周辺と台座ノ頭周辺は八ヶ岳の中でも高山植物が良く発達した場所として知られ、コマクサの大群落地が形成されています。また、稜線の東面にはウルップソウやキバナシャクナゲが広範囲に自生しています。
各種情報
硫黄岳登山ツアー
- 硫黄岳|登山・トレッキングツアー
観光協会・観光案内所
- 北杜市観光協会 電話:0551-42-1351
- 清里駅前観光案内所「あおぞら」 電話0551-48-2200
- 八ヶ岳観光協会 電話:0266-73-8550
- 茅野市観光協会 電話:0266-73-8550
- 富士見町観光案内所 電話:0266-62-5757
- 原村観光連盟 電話:0266-74-2501
- 南牧村観光協会 電話:0267-98-2091
- 小海町観光協会 電話:0267-93-2005
- プラザ佐久 電話:0267-68-7433
登山届提出
長野県 | 長野県警察本部地域部山岳安全対策課 電話:026-233-0110 長野県のホームページ |
山梨県 | 山梨県警察 山梨県警察本部地域課 住所:〒400-8586 甲府市丸の内1-6-1 電話番号:055(221)0110(代表)郵送、電子メール、 ファックスなので提出可能です。 |
登山地図のスマホアプリ
- 山と高原地図のスマホアプリ
昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。
硫黄岳山頂周辺の気温
最高気温 | 平均気温 | 最低気温 | |
1月 | -7.9 | -12.5 | -19.6 |
2月 | -7.4 | -12.1 | -19.3 |
3月 | -3.1 | -8.6 | -14.4 |
4月 | 4.1 | -2.1 | -8.3 |
5月 | 8.8 | 2.9 | -3.0 |
6月 | 11.9 | 6.8 | 2.2 |
7月 | 15.0 | 10.7 | 6.8 |
8月 | 16.5 | 11.5 | 7.5 |
9月 | 12.1 | 7.4 | 3.5 |
10月 | 6.3 | 1.1 | -4.2 |
11月 | 1.2 | -4.2 | -9.8 |
12月 | -4.3 | -9.7 | -15.8 |
硫黄岳へ登るための装備と服装
軽アイゼン | 12本歯アイゼン | ピッケル | サングラス | ツェルト | |
1月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
2月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
3月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
4月 | × | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
5月 | △ | ○ | △ | △ | △ |
6月 | × | × | × | △ | △ |
7月 | × | × | × | △ | × |
8月 | × | × | × | △ | × |
9月 | × | × | × | △ | × |
10月 | × | × | × | △ | × |
11月 | × | × | × | △ | ○ |
12月 | △ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
服装や装備品のチェックリスト
登山地図 | 必須 登山地図を忘れると道迷いの原因に!南八ヶ岳の硫黄岳ルートは多くの箇所に分岐があります。 登山地図を持って行かないのは命取りと言えます。 |
レインウェア | 必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていても レインウェアは必須です。また、硫黄岳山頂では強風にさらされることがあります。防寒着としても使えます。セパレートタイプの通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。 |
帽子 | 必須 稜線に上がると直射日光が強烈に降り注ぎます。山彦荘、ヒュッテ夏沢の少し上から森林限界を超えます。日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山ではフルフェイスタイプをお奨めします。 |
日焼け止め | 必須 硫黄岳は標高2,760mあるため、 稜線では日光を遮る木々が一切ありません。森林限界を超えると紫外線が強いので必帯です。 |
飲料水 | 必須 夏沢鉱泉、オーレン小屋、赤岳鉱泉に水場があるので少なめの量で大丈夫でしょう。天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。 |
ヘッドランプ | 必須 山小屋泊の場合、夜になると電気を落としてしまう山小屋もあります。そんな時トイレに行くのが不自由です。また、暗い内から山頂まで登り、御来光を拝んだり、やむなく夜間の行動が必要になった場合などにも必要です。 |
行動食 | あったら良い コースタイムがやや短いのでお好みで持っていくと良いでしょう。パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものがお薦めです。 |
パックカバー | 必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。 |
救急薬品 | 必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。 |
ティッシュペーパー | 必須 止血用などの万が一の時のために必帯です。山小屋に泊まる時、ポケットティッシュを水で濡らし耳栓として使う場合にも有効です。 |
防寒着 | 必須 薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。 硫黄岳山頂では、7月~8月でも最低気温が7度近くまで下がることがあります。 軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアを その上に着ると更に保温性が高まります。 |
手袋 | あったら良い 革製の手袋がベストですが、軍手でもOKです。 |
耳栓 | あったら良い 硫黄岳周辺の山小屋では大部屋が基本です。就寝時に いびきをかく人が必ずいます。耳栓の効果は絶大です。 |
カメラ | あったら良い 大パノラマやコマクサやタカネビランジなどの高山植物が豊富なので山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。 |
ビニール袋 | あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れとして3~5個あると便利です。 |
保険証(コピー) | あったら良い 事故や遭難時に必要です。 |
サブザック | あったら良い オーレン小屋、赤岳鉱泉、山彦荘、ヒュッテ夏沢などにザックを置いて、サブザックで身軽な状態で硫黄岳山頂をピストンが出来ます。水、カッパなど必要最低限が入る軽いコンパクトなものを使用すること。 |
シュラフカバー | あったら良い 遭難時や混雑している山小屋(一つの布団に2人)で役に立ちます。毛布2枚を床に敷きゴアテックス製のシュラフカバーに入ります。 |