三ッ峠山とは

標高1,786mの三ッ峠山は、山梨県都留市、西桂町、富士河口湖町の境界にあり、甲府盆地の南端、富士五湖の北端を形成する御坂山地の東端に位置し、開運山、木無山、御巣鷹山の三山を合わせて三ツ峠山と呼んでいます。 三ツ峠山からの富士山の眺望は、その姿が左右対称で山頂部がそそり立って見えることから、富士山の撮影ポイントとして高い人気があります。

三ッ峠山は、日本二百名山ばかりでは無く、山梨百名山にも挙がっています。山なのに「峠」と山名に付くのは、「峠」は、トッケ(突起)が訛ったものだらです。三つ峠山は山梨県の中では富士山に次いで登山者が多い山と言われ、標高が1,800mにも満たない山にもかかわらず、山頂には三ツ峠山荘と四季楽園の二軒の山小屋が通年営業をしています。

三ッ峠山のアクセスポイント

三ツ峠登山口(裏口登山道)からのアクセスが最もコースタイムが短く、バス便もあるため多くの登山者はここから登っています。しかし、コースタイムが短すぎることと、殆どが樹林帯の中を歩くコースの為、物足りなさを感じると思います。

三ッ峠登山口:河口湖駅~天下茶屋  富士急行バス

三ッ峠入口:富士山駅~河口湖駅~三ッ峠入口~甲府駅 富士急行バス

三つ峠駅富士急行

達磨石までのタクシー:富士急山梨ハイヤー TEL:0555-22-1800

三ッ峠山の地図

三ッ峠山の登山コース概要

三ッ峠登山口(裏口登山道)ルート

三ツ峠山の電波塔
三ツ峠山の電波塔

マイカーで国道137号線の新御坂トンネルの入り口脇(三ッ峠入口)を入ります。バスを降りて徒歩だと三ッ峠入口から三ッ峠登山口まで約1時間かかります。登山バスは、河口湖駅と三ッ峠登山口~天下茶屋間を平日は1便、土日祝日は3便運行されています。しかし、河口湖駅方面行きの最終便が土日祝日でもAM11時5分と早いのが難点です。又、富士山駅~河口湖駅~三ッ峠入口~甲府駅間を一日約20往復のバスが走るのでこれを使うのも有効です。

三ッ峠登山口には全部で30台停められる無料駐車場があり、トイレが完備しています。
登山口から山頂に至る登山道は、凸凹していますが車が通れるくらいの広さがあり、車高の高い四駆なら山頂まで行くことが可能です。
登山口から40分ほど登った場所は、開けた平坦地になっていて、ベンチが設置された絶好の休憩ポイントです。
木無山の北西部のなだらかな登山道を登ると稜線に飛出し、木無山方面に100mほど行った所が富士山の眺望がすばらしい展望地です。

展望地から三ッ峠山・開運山へ向け稜線を進みます。通年営業の三ッ峠山荘の前にはベンチやテーブルが置かれ、多くの登山者が富士を眺めながら休憩を楽しんでいます。三ツ峠山荘を後にして、開運山が近づくにつれ、右手方向には三ッ峠山の象徴である屏風岩が見えてきます。
四季楽園前にもベンチやテーブルが設置され、屏風岩のビューポイントです。 四季楽園では室内クライミング・ジムがあり、宿泊者500円、一般1,000円で使用できます。

四季楽園からひと登りすれば三ッ峠山に立ち、山頂から望む富士山は、その形がほぼ左右対称で、山頂部がフラットで鋭く立ち上がった形に見えるため、撮影ポイントとして多くのカメラマンから絶大な人気があります。

コースタイム

  • 登山:三ッ峠登山口→三ツ峠山 1時間35分
  • 下山:三ッ峠山→三ツ峠登山口 1時間10分

難易度 1/10

体力  1/10 (日帰り)

河口湖カチカチ山ロープウェイルート

三ッ峠山展望台から笠富士
三ッ峠山展望台から笠富士

河口湖畔にある無料駐車場に車を停めて、天上山公園カチカチ山ロープウェイに向かいます。徒歩で登れば約40分かかるところを、ロープウェイは標高差219mを3分で結んでいます。

公共交通機関を使ってアクセスする場合、富士急行大月線の河口湖駅で降り、商店街を通って国道137号線を横断すれば天上山護国神社です。天上山公園内を登れば天上山公園かちかち山ロープウェイ山頂駅です。 山頂駅の富士見台駅近くのカチカチ山展望台は富士山、河口湖の展望が大変良い所です。

カチカチ山展望台を後にして登山道に入ります。 天上山分岐を右に見送り、三ツ峠山方面を進みます。 車道を横切り、少し進んだ所で河口湖畔下山道分岐を左に見送ると、しばらく単調でなだらかな尾根道の登りが続きます。

広葉樹林帯から樹相が変わり、針葉樹林帯に入ると2月下旬の時点で残雪があり、凍結しているため慎重に進みます。 送電鉄塔が立つ所で樹林は一旦途切れ、展望が開けます。
その後、再び単調な尾根道の登りですが、登山道の周りは広葉樹のためすっかり葉が落ち、小枝の隙間から左右の展望があります。

三ッ峠山に近づくにつれ雪の量が増え、木無山直下の急坂を登りあげると木無山山頂に飛び出します。 木無山山頂は平坦な地形で、お花畑が発達しているために立ち入り禁止の柵が設置されています。

通年営業の三ッ峠山山荘前を通り抜け、次いで四季楽園の前を過ぎると三ツ峠山の主峰開運山はあと少しです。登山道からは三ッ峠山・開運山の南面を望むことが出来、その岩稜はクライミングの人気ゲレンデになっています。三ッ峠山は富士山を望む絶景ポイントの一つで、石割山とともに人気コースとなっています。

三ッ峠山を後にして母の白滝ルートを下山します。北面のためこの日の積雪量は30cmほどです。

母の白滝ルートの見どころは寺川に流れ落ちる母ノ白滝です。冬季には凍った滝を撮影するため多くのカメラマンが訪れています。母ノ白滝を後にして、車道に沿って歩き浅間神社に下山します。

コースタイム

  • 周回:天上山公園カチカチ山ロープウェイ富士見台駅→開運山→河口浅間神社 5時間50分

難易度 1/10

体力  2/10

達磨石(表三ッ峠山)ルート

三ッ峠山の三つのコブ
三ッ峠山の三つのコブ

達磨石ルート(表三ッ峠山ルート)は、富士急行大月線の三つ峠駅が起点となります。 三つ峠駅から車道が達磨石まで通じているため、タクシーを使うことも可能です。三つ峠駅から歩いた場合、約5kmを約1時間30分で達磨石に着きます。三つ峠駅にはタクシーのサービスがないため、事前に手配するか、都留市駅で下車してタクシーに乗ることをお薦めします。都留市駅前にはセブンイレブンがあるので食料調達に便利です。

マイカーの場合には、達磨石のすぐ下に5~6台駐車可能なスペースがあります。ここが一杯の場合には、徒歩で10分ほど下った所にある「いこいの森」の駐車場に停めることになります。
ここには3箇所の駐車場があり、全部で50台ほど駐車可能です。 冬季積雪があり、スリップして車が上がれない場合には、三ツ峠グリーンセンターに停めることも出来ます。

表三ッ峠山ルートには、いたるところに修験道の歴史を感じさせる遺跡が存在しています。登山口にはその一つ達磨石があります。三ッ峠山を再興した空胎上人の後継者・三世信盈安西栄阿和尚と信者達によって文久年間(推定)に建立されたものです。ダルマの形にも見えるその石の中央に“梵字”が刻まれています。梵字の読みは「アーク」、仏尊名は「毘盧遮那仏」、密教では五智如来の中心、大日如来を意味しています。
※達磨石の風化が進んでいるため、1998年、西桂町商工会工業部会によって達磨石の実物大レプリカが作製され、三つ峠駅ホームに設置されました。

達磨石ルートは、馬返しまでは樹林帯の中の比較的なだらかな登りですが、馬返しから八十八大使までは急坂です。 愛染明王塔(あいぜんみょうおう)の碑、不二石を過ぎれば平坦地に飛び出し、小さな石仏が並ぶ 八十八大使です。
東京国立博物館で愛染明王坐像(鎌倉時代の作で、重要文化財)を見ることが出来ます。

八十八大使からは開運山の南をトラバースする様に進みます。トラバース区間がこのルート上最も景色が綺麗な所で、特に急峻な三ツ峠山を眺望出来るのはこのルート以外にありません。谷側の傾斜がきつい所にはロープが張られていますから、積雪期でも特に問題なく通過できます。しかし、積雪の状態によってはやや危険個所もありますから慎重な行動が必要です。

ロッククライミングのゲレンデとなる屏風岩の下を通過し、階段状になった急坂を上ると富士見荘前に飛び出します。 富士見荘から山頂までは15分ほどで到着です。山頂からは八ヶ岳、南アルプス、富士山、丹沢、愛鷹山などの眺望が素晴らしい大パノラマが展開します。

コースタイム

  • 登山:富士急行線三つ峠駅→開運山/三ッ峠山 4時間20分
  • 下山:開運山/三ッ峠山→富士急行線三つ峠駅  2時間50分
  • 登山:達磨石→開運山/三ッ峠山 2時間45分
  • 下山:開運山/三ッ峠山→達磨石  1時間50分

難易度 2/10(積雪期)

体力  2/10 (日帰り)

三ッ峠山の日帰り登山は出来る?

三ッ峠登山口が最短ルートでピストンのコースタイムが2時間45分です。初心者であっても日帰り登山は可能です。また、富士急行線三つ峠駅から開運山/三ッ峠山までの往復でも7時間10分なのでやや体力は必要ですが日帰り登山は出来ます。

三ッ峠山の登山口近くの温泉

三ッ峠グリーンセンター

 三ッ峠グリーンセンター

開運の湯、神鈴の湯は、三ッ峠(標高1,786m)の山中から流れ出る湧水を利用した名水の湯。
竹炭の浴槽、竹酢液の浴槽、ウコンを主成分とした薬草風呂は美肌効果も抜群です。
露天風呂は、弱アルカリ性の湧水と竹酢液をブレンドした潤いの湯。柄杓流川の瀬音と四季折々の自然がもてなします。

利用料
西桂町、都留市、富士吉田市の住民の方
大人 490円
高校生以下 320円

上記以外の方
大人 620円
高校生以下 410円

登山パック
1,750円(税込)
三ッ峠の登山者向けに登山パックがあります。下山時に最寄り「三つ峠駅」までの送りサービスに温泉、お食事・お飲み物がセットになって大変お得なパックです。

営業時間 休館日
午前9時~午後10時
火曜日休館 月曜日は食堂が休み

駐車場
無料で駐車ができます。
お問い合わせ TEL:0555-25-3000

富士眺望の湯 ゆらり

富士眺望の湯 ゆらり

富士山を見ながらの露天風呂は格別。湯舟の種類は全16種類。富士山の麓、地下1000mから湧き出る天然温泉です。

利用料
■ 10:00~19:00平日 1,400円  土日祝 1,700円
■ 19:00~平日 1,200円  土日祝 1,500円
(貸バスタオル・フェイスタオル付)

営業時間 休館日
年中無休
平日 10:00~21:00(最終入館20:00)
土日祝 10:00~22:00(最終入館21:00)

秀峰閣湖月

秀峰閣 湖月

正面に河口湖、その先に富士を望む絶景の温泉です。全ての部屋から河口湖を望み、その先に富士山が聳えます。露天風呂付客室もあります。

会席風に仕上げた料理は、旬の素材を取り入れ、年間8回の料理変更を行っています。

河口湖温泉旅館うぶや

河口湖温泉旅館うぶや

温泉から、お部屋から、ラウンジから、
館内どこからでも富士山を眺めて過ごせます。

泉質はカルシウム・ナトリウム・塩化物・硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)。

三ッ峠山の天気の特徴

三ッ峠山からの富士山
三ッ峠山からの富士山

三ッ峠山は晴天の確率は比較的高い

富士山の北部に位置する三ッ峠山の山域は、日本海側特有の冬型気候の影響を受けにくいため積雪量はさほど多くありません。

6月から7月の梅雨明けまでは晴天率は低いですが、梅雨開けと共に晴天がしばらく続きます。また、秋や春も比較的晴天に恵まれます。しかし、12月上旬で初冠雪を見る年もあり、雨天だけではなく、強風などにも天候には十分な注意が必要です。

山の天気予報は難しい
山の天気予報は難しい

お薦めの天気予報

テレビで流れる天気予報やネットで得られる無料の天気予報は、一般的に平地を対象としたものです。 そのため、晴れの天気予報が出ていても、山ではガスってしまうことはよくあることです。 

そこで、おすすめなのがtenki.jpの有料バージョン(+more)です。これは、月間100円と安いですが、高層天気の予報のため精度が高いです。また、山の天気予報(月額300円)を併用すると更に精度が高まります。

各種情報

富士山登山ツアー

観光協会・観光案内所

登山届提出

山梨県山梨県警察
お問い合わせ:山梨県警察本部地域課
住所:〒400-8586 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(221)0110(代表)
郵送、電子メール、ファックスなので提出可能です。

登山地図のスマホアプリ

  • 山と高原地図のスマホアプリ
    昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。

三ッ峠山山頂周辺の気温

最高気温平均気温最低気温
1月0.2-5.7-11.3
2月1.0-4.9-10.3
3月4.6-1.5-6.8
4月10.84.2-1.8
5月14.88.83.4
6月17.512.38.1
7月21.416.212.4
8月22.417.013.0
9月18.213.99.5
10月12.77.32.8
11月8.22.0-3.4
12月3.3-3.1-8.5

三ッ峠山へ登るための装備と服装

軽アイゼン12本歯アイゼンピッケルサングラスツェルト
1月××
2月××
3月××××
4月×××××
5月×××××
6月××××
7月××××
8月××××
9月×××××
10月×××××
11月×××××
12月×××
必須:◎ あった方が良い:○ あったら良い:△ 必要ない:× 

服装や装備品のチェックリスト

登山地図必須 登山地図を忘れると道迷いの原因に!三ッ峠山ルートは多くの箇所に分岐があります。 登山地図を持って行かないのは命取りと言えます。
レインウェア必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていても
レインウェアは必須です。また、防寒着としても使えます。
セパレートタイプの通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。
帽子必須 三ッ峠山の稜線に上がると直射日光が強烈に降り注ぎます。日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山では-11℃ほどに下がるのでフルフェイスタイプをお奨めします。
日焼け止め必須 三ッ峠山は標高1,786mのため 森林限界以下ですが、春から夏場は紫外線が強いので必帯です。
飲料水必須 コース上に水場はありません。天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。
登山計画に合わせて水の量を調整するとよいでしょう。
ヘッドランプ必須 何かのトラブルで夜の行動を余儀なくされた場合に必要です。
行動食必須 コースタイムが短いのでお好みで持っていくと良いでしょう。パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものがお薦めです。
パックカバー必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。
救急薬品必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。
ティッシュペーパー必須 止血用などの万が一の時のために必帯です。ポケットティッシュを水で濡らし耳栓として使う場合にも有効です。
防寒着必須 薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。
赤岳山頂では、7~8月でも最低気温が12度近くまで下がることがあります。
軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアを
その上に着ると更に保温性が高まります。
手袋あったら良い 革製の手袋がベストですが、軍手でもOKです。
耳栓あったら良い 三ッ峠山では三つ峠山荘、四季楽園共に個室がありますが、大部屋になる場合、就寝時にいびきをかく人が必ずいます。耳栓の効果は絶大です。
カメラあったら良い 富士山の大パノラマや高山植物が豊富なので山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。
ビニール袋あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れとして2~3個あると便利です。
保険証(コピー)あったら良い 事故や遭難時に必要です。
サブザック不要。
シュラフカバー不要。

五百円紙幣の裏面に描かれた富士山と三ッ峠山

五百円紙幣の裏面に描かれた富士山の右手前に三ッ峠山
五百円紙幣の裏面に描かれた富士山の右手前に三ッ峠山

三ッ峠山は、古くから様々な呼び名で呼ばれていました。例えば、神鈴峰・仙泉山、水峠などと呼ばれていたり、「甲斐国志」には三嶺山・三峰山の記載があります。  

この様に古くから親しまれていた三ッ峠山は、五百円紙幣の裏面にデザインとして登場します。富士山の右手前に描かれた三ッ峠山の図柄は、山梨県大月市の雁ヶ腹摺山(がんがはらすりやま)から撮影された写真を元に作成されています。

三ッ峠山開山の歴史

開山の祖は役行者という言い伝えがありますが、これはもとより、伝説に過ぎず、江戸時代後期西暦1832年(天保3年)に空胎上人が開山したとするのが最も古い記録です。

三つ峠駅(達磨石)ルートには、愛染明王、八十八大使、愛宕尊、神鈴権現や達磨石などの山岳信仰の遺跡が残り、修験道の歴史を現在に伝えています。しかし、明治政府による神仏分離令の発布と共に修験道は禁止され、すたれていきます。

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