羊蹄山とは
羊蹄山は北海道後志地方南部にある海抜1898mの成層火山で、正式名称は「後方羊蹄山(しりべしやま)」です。日本書記では既にこの名が記され、後方を「しりへ」、羊蹄を「し」と読んでいました。アイヌ語名はマッカリヌプリですが、現在では、山の南麓を流れる真狩川(まっかりがわ)や真狩村にその名を留めているだけです。時代と共に名称が簡略化され、今の羊蹄山という呼び方になりました。
羊蹄山の6826万平方メートルが支笏洞爺湖国立公園地域に指定されています。同国立公園は昭和24年(1949)5月16日に指定された面積99,302haの地域で、羊蹄山、洞爺湖、定山渓、支笏湖、登別温泉を含みます。又、本州から続く那須火山帯の北端部に位置し、有珠山や樽前山のような活火山、洞爺湖、支笏湖、倶多楽湖のようなカルデラ湖を含むなど、火山展示場というべき地域です。
深田久弥の日本百名山にも数えられ、後方羊蹄山として登録されています。又、富士山を彷彿とさせる円錐形の美しい姿から「蝦夷富士」の愛称で北海道民に配されている山でもあります。
山頂は大火口(父釜)が直径700m、深さ200m、周囲5kmに渡ってぽっかりと大きな穴を開け、その北西に小ぶりな母釜や小釜の三つの火口が見られます。
三つの火口の周囲に外輪山が形成されています。この外輪山の最高標高点は喜茂別ピークの1898mで、羊蹄山と呼ばれているのは標高1893mの真狩岳です。外輪山に沿って登山道が作られ、一周出来ます。
- 1. 羊蹄山の地図
- 2. 羊蹄山の山小屋
- 3. 羊蹄山のアクセス
- 4. 羊蹄山の登山コース概要
- 4.1. ① 羊蹄山真狩コース
- 4.2. ② 羊蹄山 倶知安コース
- 5. 羊蹄山全景
- 5.1. 羊蹄山登山口バス停からの羊蹄山
- 5.2. 有島記念公園からの羊蹄山
- 6. 羊蹄山の日帰り登山は出来る?
- 7. 水場
- 8. トイレ
- 9. 羊蹄山の4コース
- 9.1.1. 真狩(まっかり)コース
- 9.1.2. 倶知安(比羅夫)コース
- 9.1.3. 喜茂別(きもべつ)コース
- 9.1.4. 京極(きょうごく)コース
- 10. 羊蹄山の登山口近くの温泉
- 10.1. ニセコ五色温泉郷
- 10.2. ニセコ五色温泉旅館
- 11. 羊蹄山のハイキング
- 11.1. 半月湖
- 11.2. 京極のふきだし公園
- 11.3. 羊蹄山湧水
- 12. 羊蹄山の天気の特徴
- 13. 羊蹄山に咲く豊富な高山植物
- 13.1.1. 岩場や乾燥した砂礫地帯に咲く高山植物
- 14. 各種情報
- 14.1.1. 羊蹄山登山ツアー
- 14.1.2. お問い合わせ
- 14.1.3. 登山届提出
- 14.1.4. 登山地図のスマホアプリ
- 15. 羊蹄山山頂周辺の気温
- 16. 羊蹄山へ登るための装備と服装
- 17. 服装や装備品のチェックリスト
- 18. 羊蹄山の成り立ち
- 19. 羊蹄山の植生
羊蹄山の地図
羊蹄山の山小屋
羊蹄山のアクセス
羊蹄山の登山コース概要
① 羊蹄山真狩コース
羊蹄山自然公園入口には、羊蹄山の伏流水が絶え間なく流れ、水汲み場として知られている「カムイワッカ」があります。一日およそ5万リットルもの水が湧き出しているといいます。羊蹄山は、標高差が1500mほどあり、お鉢巡りをすればかなりの水が必要となります。羊蹄山には基本的に水馬ははありません。季節限定で羊蹄山避難小屋近くの雪渓から水を取れますが、7月中旬頃でほぼ枯渇します。事前に「カムイワッカ」で水の補給をしていくことをお薦めします。
登りやすいことで人気の真狩からの登山コースの所要時間は、キャンプ場からおよそ上りで4~5時間、お鉢巡りで約1時間、下山に2~3時間。晴れた日には洞爺湖やニセコ連山が望める風光明媚なコースです。毎年6月第三日曜日が山開きです。
南コブ展望台は、登山コースの一合目半から分岐している南コブ山の頂上にあり、キャンプ場から1時間ほどで登れることから手軽に楽しめる散策コースとして人気があります。展望台からは晴れていれば洞爺湖を望むことも出来ます。
登山口から外輪山の一角に登り上げるまで難所はありません。7月になると羊蹄山避難小屋の上部の雪渓が概ね溶け、一斉に高山植物が辺り一面に咲きだします。
父釜の火口壁から反時計回りに羊蹄山の最高点(1898m )までは、小さなアップダウンが続く岩場になっています。難易度は高くありませんが、ヘッドランプを付ながらの歩行はやや危険を伴います。日の出を山頂で迎えたいのであれば、時計回りで登ることをお薦めします。
下山は倶知安コースを使うと、バスが二系統、JR函館線など複数の交通機関を使えてアクセスが便利です。
コースタイム
- 登山:羊蹄山自然公園真狩キャンプ場→3時間20分-羊蹄山避難小屋分岐→55分-羊蹄山最高地点→35分-羊蹄山旧避難小屋跡 合計:4時間50分
- 下山:羊蹄山旧避難小屋跡→25分-九合目羊蹄山避難小屋分岐→2時間5分-羊蹄山三合目桜坂駐車場 合計:2時間30分
難易度 1/10
体力 3/10 日帰り
② 羊蹄山 倶知安コース
羊蹄山にある四つの登山ルートを中で最も登山者の多いのが、西麓からの倶知安コースです。最初は比較的緩やかなトドマツやカラマツの人工林を進み、天然林に変わると一合目です。登り始めて30分ほどで急に傾斜がきつくなり、この急傾斜が僅かに緩くなると一合目の風穴に着きます。
エゾマツやダケカンバの廊下を通り、ハイマツのトンネルを抜けると七合目です。八合目から上はガレ場なので、足場が悪い場所もあり、転倒やスリップに注意が必要です。九合目で右手に羊蹄山避難小屋方面を分け、やがて火口縁に出て、頂上部が一望できるようになります。北山(雲泉岳)を経て、京極コースを左から合わせると最高点に至ります。
ルート上に難所はなく、登山初心者向けと言えます。ルート上には水場が無いので、十分な量の水を登山口で用意する必要があります。
羊蹄山登山記念バッジが羊蹄山避難小屋と倶知安町役場・まちの駅ぷらっとで数量限定販売です。郵送による購入も可能です。
コースタイム
- 登山:羊蹄山登山口バス停→25分-登山口半月湖野営場→3時間40分-羊蹄山避難小屋分岐→50分-羊蹄山最高地点 合計:4時間45分
- 下山:羊蹄山最高地点→40分-羊蹄山避難小屋分岐→2時間30分-登山口半月湖野営場→20分-羊蹄山登山口バス停 合計:3時間30分
難易度 1/10
体力 4/10 日帰り
羊蹄山全景
羊蹄山登山口バス停からの羊蹄山
国道5号線沿いの羊蹄山登山口バス停近くから撮影。
有島記念公園からの羊蹄山
ニセコ駅近くの有島記念公園からの羊蹄山。
羊蹄山の日帰り登山は出来る?
羊蹄山自然公園真狩キャンプ場から登る真狩コースのコースタイムは7時間20分です。倶知安コースでも同じくらいです。従って、標準的な登山者なら十分日帰り可能です。
水場
倶知安コースと真狩コースの登山口で水の補給をすることが出来ますが、他の登山口には水場はありません。
羊蹄山避難小屋裏の雪渓からの融水が7月中旬頃まで使えます。年によって残雪量が違うので、事前確認が必要です。
トイレ
トイレは倶知安コースと真狩コースの登山口及び羊蹄山避難小屋にしかありません。できるだけ携帯トイレを携行しましょう。
羊蹄山の4コース
真狩(まっかり)コース
当真狩キャンプ場を起点とするコースで、4コースのうち最も利用者が多いコースです。途中、有珠山・洞爺湖・駒ヶ岳まで眺望出来ます。
倶知安(比羅夫)コース
半月湖を起点とする登山道で、真狩コースに次いで利用者が多いコースです。途中、風穴を見ることが出来ます。明治37年に地元登山会などの有志により、切開かれました。
喜茂別(きもべつ)コース
途中、沢ノ崩壊が大きく進んでいるため、足場には十分注意が必要です。西湖標高点である喜茂別ピーク1898m までたどるコースで、正面に尻別岳の全容を眺めることが出来ます。
京極(きょうごく)コース
登山道として最も古いルートです。標高1600m 付近に観望台があり、札幌近郊の山々がよく見えます。岩場の崩壊が進んでいるので足場には注意が必要です。頂上近くの岩礫帯の高山植物は見応えがあります。
羊蹄山の登山口近くの温泉
羊蹄山の北西にあるニセコアンヌプリの西、標高750メートルに位置する五色温泉郷。五色温泉の由来は、「通常の温泉では2種類くらいの泉質が5種類もある」とか「硫黄が混じっている湯の色が日によって五色に見える」などから来ていると言わています。
東にニセコアンヌプリ、北にイワオヌプリを望む景観、周辺には温泉地特有の硫黄の匂いが立込めています。
ニセコ五色温泉郷
北海道道58号倶知安ニセコ線を挟んで左手側にニセコ山の家(閉業)、右手側にニセコ五色温泉旅館があります。
ニセコ五色温泉旅館
広々とした内風呂。地底から湧き出たばかりの新鮮なままの源泉100%の温泉です。
熱烈なファンで知られる開放的な露天風呂。その効能は広く知られ、慢性湿疹や神経痛、糖尿病、アトピーなどに効果があると言われています。
日帰り入浴料
大人 800円(中学生以上)、小人 500円(5歳~小学生)
利用時間
夏季(5月~11月) 9:00~20:00
冬季(12月~4月)10:00~19:00
アクセス
JR倶知安駅またはニセコ駅から北海道道線58号でアクセス。※冬期間(11月~5月)は倶知安市街地からの通行が不通。
ニセコバス・ニセコ線がJRニセコ駅~五色温泉郷間を一日2往復。
羊蹄山のハイキング
半月湖
羊蹄山倶知安コースの登山口にある半月湖です。 背後に羊蹄山の山頂部が顔を覗かます。
半月湖は、羊蹄山の北西山麓、海抜270メートルにある湖で、爆裂火口に水が溜まった平均水深4m、最深部18.2mの火口湖です。支笏洞爺国立公園内に位置し、国の天然記念物に指定されています。そのため、湖を一周する遊歩道以外の立ち入り及び動植物の採取は禁止されています。
車道が湖の近くまで走っているので、登山者ばかりではなく、観光客もハイキング気分で気楽に立ち寄ることが出来るのもこの湖の魅力です。コブシやヤマザクラの花が湖面を彩る春、紅葉の秋などがお薦めの時期。
京極のふきだし公園
羊蹄山の東側に位置する京極コース登山口近くに湧く湧水です。海外からの観光客で賑わっています。
1年を通して変わらない水温、一日8万トンという豊かな水量。雨や雪が羊蹄山で濾過され、ミネラルを含んだ名水として湧き出る場所が名水百選にも選ばれた「ふきだし公園」です。
園内には散策路や展望台、三角ステージ、芝生広場、バーベキューハウス等が配されています。隣接する道の駅・名水の郷きょうごく「名水プラザ」では名水を使った各種料理を味わうことが出来、売店には様々な京極の特産品が並んでいます。
羊蹄山湧水
真狩コースの羊蹄自然公園入口には羊蹄山湧水があり、大きなタンクを持参した周辺住民が入れ替わり立ち替わり水を汲んでいます。
何十年と羊蹄山で自然に濾過された湧水は、アイヌ語でカムイワッカ(神の水)と呼ばれ、道内屈指の名水として人気があります。又、敷地内にある豆腐店【湧水の里 名水とうふ】は、豆腐を使った様々な製品を販売し、人気を博しています。
羊蹄山の天気の特徴
羊蹄山に咲く豊富な高山植物
岩場や乾燥した砂礫地帯に咲く高山植物
1700m付近よりハイマツや多くの高山植物が生育するハイマツ帯で、岩壁に多くのイワヒゲやコメバツガザクラ、乾燥した砂礫地帯にはイワギキョウ、ミヤマキンバイ、メバチソウ、イワイチョウなどをその種類は80種類を超え、積雪、土壌、地形など生育環境の違いによって植物の種類も変化します。高山植物は7月中旬から8月中旬までが見頃です。
各種情報
羊蹄山登山ツアー
- 羊蹄山|登山・トレッキングツアー
お問い合わせ
登山届提出
登山地図のスマホアプリ
- 山と高原地図のスマホアプリ
昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。
羊蹄山山頂周辺の気温
最高気温 | 平均気温 | 最低気温 | |
1月 | -12.2 | -15.7 | -21.1 |
2月 | -11.3 | -15.2 | -20.0 |
3月 | -7.4 | -11.4 | -16.1 |
4月 | -0.4 | -5.2 | -10.0 |
5月 | 6.3 | -0.7 | -4.6 |
6月 | 10.6 | 5.3 | 0.8 |
7月 | 13.9 | 9.2 | 5.6 |
8月 | 15.4 | 10.7 | 6.8 |
9月 | 11.3 | 5.9 | 0.8 |
10月 | 4.7 | -0.6 | -6.0 |
11月 | -3.3 | -7.2 | -11.2 |
12月 | -9.8 | -13.1 | -16.9 |
羊蹄山へ登るための装備と服装
軽アイゼン | 12本歯アイゼン | ピッケル | サングラス | ツェルト | |
1月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
2月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
3月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
4月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
5月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
6月 | △ | △ | × | △ | △ |
7月 | × | × | × | △ | × |
8月 | × | × | × | △ | × |
9月 | × | × | × | △ | × |
10月 | × | × | × | △ | × |
11月 | × | × | △ | ○ | ○ |
12月 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
服装や装備品のチェックリスト
登山地図 | 必須 登山地図を忘れると道迷いの原因に!羊蹄山は山頂で多くの分岐があります。 登山地図を持って行かないと別の登山口に降りてしまうリスクがあります。 |
レインウェア | 必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていても レインウェアは必須です。また、防寒着としても使えます。 セパレートタイプの通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。 |
帽子 | 必須 山頂近くで森林限界を超え、お鉢巡りでは直射日光が強烈に降り注ぎます。日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山ではフルフェイスタイプをお奨めします。 |
日焼け止め | 必須 羊蹄山は1898メートルですが、 山頂下から日光を遮る木々が一切ありません。森林限界を超えると紫外線が強いので必帯です。 |
飲料水 | 必須 天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。 水場は羊蹄山避難小屋近くの一か所のみです。(※雪渓から水は取れる)しかし、7月中旬頃までしか使えません。 登山行程に合わせて水の量を調整するとよいでしょう。 |
ヘッドランプ | 必須 羊蹄山避難小屋は夜になると電気を落とします。そんな時トイレに行くのが不自由です。また、暗い内から山頂まで登り、御来光を拝むためにも必要です。 |
行動食 | 必須 登山のコースタイムはさほど長くありません。パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものがお薦めです。 |
パックカバー | 必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。 |
救急薬品 | 必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。トクホンのような筋肉痛に効く貼り薬もあると助かります。 |
ティッシュペーパー | 必須 登山中いきなりしたくなってしまった場合など、止血用などの万が一の時のために必帯です。ポケットティッシュを水で濡らし耳栓として使う場合にも有効です。 |
防寒着 | 必須 薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。 羊蹄山山頂では、7~8月でも最低気温が6度近くまで下がることがあります。 軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアを その上に着ると更に保温性が高まります。 |
手袋 | あったら良い |
耳栓 | あったら良い 羊蹄山避難小屋でも一泊する場合、大部屋が基本です。就寝時に いびきをかく人が必ずいます。耳栓の効果は絶大です。 |
カメラ | あったら良い 高山植物が豊富なので山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。 |
ビニール袋 | あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れとして3~4個あると便利です。 |
保険証(コピー) | あったら良い 事故や遭難時に必要です。 |
サブザック | あったら良い 羊蹄山避難小屋にザックを置いて、サブザックで身軽な状態で登ることが出来ます。水、カッパなど必要最低限が入る軽いコンパクトなものを使用すること。 |
シュラフカバー | あったら良い 羊蹄山避難小屋で役に立ちます。毛布2枚を床に敷きゴアテックス製のシュラフカバーに入ります。 |
羊蹄山の成り立ち
約10万年から5万年前
成層火山の羊蹄山の成り立ちは、「古羊蹄山」から始まります。古羊蹄山は10万年から5万年前の時期に活動を始め、標高1000m ~1700mありました。そして、約4万5千年前に古羊蹄山は西側が大規模に崩壊します。その噴出物は今の尻別川や真狩川辺りの西方山麓にまで達しました。羊蹄山の西側が大きく膨らんだ形に見えるのもその名残です。その後噴火活動を開始し、今見る新羊蹄山がほぼ古羊蹄山を覆いました。
4万5千年前から1万年前
新羊蹄山は4万5千年前から1万年前は現在に見る山頂付近を火口とし、1万年前より、山頂と共に、山麓部でも噴火が起きました。その噴火活動による溶岩流の上を、ちょうど倶知安コース登山道が通っています。又、山麓部の噴火ではいくつかの新しい測火山(小火山)を形成しました。その名残として代表的なのは、半月湖や北山、南コブです。
半月湖
倶知安コース登山口近くにある半月湖は、測火山の火口であり、その格好に水が溜まった火口湖です。その火口内に格好の中心からずれて高さ70m の溶岩円頂丘が形成されました。溶岩ドームとは、粘性の高いマグマが地表に噴出し、特に分厚い溶岩流で形成されています。円形だった火口湖が半月状の形になった事が名前の由来です。又、山頂部にある北山(雲泉岳)も、測火山の一つで母釜・子釜といった小火口を見ることが出来ます。
羊蹄山の植生
- 山麓から標高700m
- 登山道を登って行くと標高と共に気温が変化することから、木や草花の様子の移り変わりが顕著に現れます。山麓から標高700m あたりまではミズナラ、シナノキ、エゾイタヤ、ホオノキ等の低山性の広葉樹林帯と、300m付近からはトドマツ、エゾマツ、ダケカンバが入り混じった林になっています。これを針広混交林と言います。
- 700m ~1200m
- 700m ~1200m 付近にかけては、ダケカンバ、エゾマツ、トドマツ帯。
- 1200m~1700m
- 1200m~1700m付近はほとんどダケカンバのみの森林へと移り変わります。
1700m付近より上はハイマツや多くの高山植物が生育するハイマツ帯へ。