雨飾山とは
雨飾山は新潟県糸魚川市と長野県北安曇郡小谷村の県境にある日本百名山に選定されている標高1,963 mの独立峰で、頸城山塊(妙高山、火打山、焼山)の西端に位置しています。
- 1. 双耳峰の雨飾山
- 1.1.1. 山前の由来
- 2. 雨飾山の魅力
- 2.1. 布団菱
- 2.2. 紅葉の名所
- 2.3. 高山植物
- 2.4. 山頂の石仏群
- 3. 6月上旬までアイゼンが必要
- 4. 雨飾山の地図
- 5. 雨飾山登山口の駐車場とアクセス
- 6. 雨飾山の登山コース概要
- 6.1. ① 雨飾山-小谷温泉コース
- 6.2. ② 雨飾山-雨飾温泉(雨飾山荘)薬師コース
- 6.3. ③ 雨飾山-大網登山口コース
- 7. 雨飾山の日帰り登山は出来る?
- 8. 雨飾山の登山口近くの温泉
- 8.1. 雨飾荘
- 8.2. 雨飾温泉(雨飾山荘)
- 9. 雨飾山の天気の特徴
- 10. 各種情報
- 10.1.1. 雨飾山登山ツアー
- 10.1.2. お問い合わせ
- 10.1.3. 登山届提出
- 10.1.4. 登山地図のスマホアプリ
- 11. 雨飾山周辺の気温
- 12. 雨飾山登山のための装備と服装
- 13. 服装や装備品のチェックリスト
双耳峰の雨飾山
山頂部は「猫の耳」と呼ばれる双耳峰です。
山前の由来
- 山頂部が双耳峰になっているため両飾山、両粧山等と呼ばれていて、「両」が「雨」に変化したものだとする説。
- 山頂で雨乞いを祈願したことからとする説。しかし、この地方は極めて降雨量が多く、この説はいささか疑問を感じるところです。
雨飾山の魅力
布団菱
雨飾山の標高が1,963mと、2,000mにも満たない低山にも拘わらず、多くの登山者で賑わうのは、石英安山岩や閃緑岩などにより構成された山体が、布団菱(フトンビシ)と呼ばれる荒菅沢奥壁がダイナミックで峻険な山容を作り出している所に惹かれるからでしょう。
紅葉の名所
紅葉は山頂部で10月上旬から始まり、荒菅沢奥壁の布団菱(フトンビシ)周辺を赤く染め見頃となるのは、例年10月20日頃です。
紅葉の時期の土日祭日は、登山道は大渋滞を起こし、通常のコースタイムより往復で2時間以上かかることを想定して計画してください。
高山植物
雨飾山は5月の雪解けとともに咲く高山植物が豊富であることも魅力の一つです。ショウジョバカマ、ツバメオモト、クモマナズナ、ミヤマキンバイなど、カタクリ、ハクサンイチゲ、シラネアオイなどは広範囲に群落を作ります。
山頂の石仏群
北峰(東峰)に阿弥陀三尊、大日如来、薬師如来、不動明王の4体の石仏が祀られています。深田久弥の「日本百名山」の中に「古い猟師の話では、頂上の石仏は、糸魚川地方で有名な羅漢上人という坊さんが、自身で石を刻み、それをコツコツと山へ運んだものだそうである。」と記述があります。
また、南峰(西峰)に三角点と山神の石碑、小祠が祀られています。
6月上旬までアイゼンが必要
登山最適期は6月下旬から11月上旬です。6月上旬ではまだ残雪がありアイゼンが必要です。年によってはコースのほとんどが残雪で埋まっている事もあり、笹平の下の稜線上の岩場が雪で埋まっている場合は、アイゼン・ピッケルなどは必携です。
特に薬師尾根は北面にあるため、遅くまで残雪があり、6月上旬では笹平の直下の雪渓を登るのが大変です。
7月になると荒菅沢雪渓がスノーブリッジを作り、崩壊が進むため要注意です。
大海川の河原に咲くミズバショウは5月中旬頃から開花し始め、6月下旬頃まで楽しむことが出来ます。
雨飾山の地図
雨飾山登山口の駐車場とアクセス
雨飾山の登山コース概要
① 雨飾山-小谷温泉コース
登山口となる雨飾高原キャンプ場には二箇所の駐車場があり、トイレと休憩施設、登山用テント場があります。また、管理棟では軽食などが食べられます。 駐車場は合計で80台ですが、夏期や紅葉の時期の土、日には路肩駐車の列が、150台に及ぶこともあります。
雨飾高原キャンプ場登山口から小川に沿って木道が伸び、15分ほど平坦な道を進みます。雨飾山頂まで180分、荒菅沢まで90分と書かれた道標から急登が始まります。 ブナの原生林が次第に多くなると、平坦地のブナ平です。ブナ平にはベンチが設置され休憩には絶好のポイントです。
ブナ平からブナ林の緩斜面を進むと、布団菱(フトンビシ)と呼ばれる荒菅沢奥壁の鋭い岩峰が目の前に現れます。少し下った所が多くの登山者が休憩する荒菅沢です。 荒菅沢からのジグザグの急坂にはロープが設置されている箇所もあります。
左側の眺望が開けると布団菱の岩峰を染める紅葉が目に飛び込んできます。 クマザサが生える尾根筋には二箇所の梯子があり、紅葉の日曜日には大渋滞が発生し、登り、下りでそれぞれ1時間以上のコースタイムの超過を考慮する必要があります。
笹平に飛び出すと、広い平坦な尾根を緑の笹が埋め尽くし、その先に雨飾山山頂部が姿を現します。笹の間を進み、最後の急登をこなせば石仏が祀られている北峰に立ちます。南峰には三角点があり、北峰の約50m先にあります。
山頂からは360度の展望が得られ、笹平方面の先に百名山の火打山、北アルプスの白馬岳、また、日本海もはっきりと確認できます。
コースタイム
- 登山:雨飾高原キャンプ場登山口⇒雨飾山 3時間40分
- 下山:雨飾山⇒雨飾高原キャンプ場登山口 2時間40分
難易度 1/10
体力 2/10 日帰り
② 雨飾山-雨飾温泉(雨飾山荘)薬師コース
雨飾山荘から薬師尾根を登り、雨飾山へ至るルートを紹介します。公共交通機関を使う場合には、糸魚川バスがJR糸魚川駅から別所間を走っています。終点の別所の一つ手前のバス停・山寺上入口でバスを降り、林道を約7キロ歩かなければ登山口の雨飾山荘へ着くことができません。そのため、アクセスはマイカーかタクシーが便利です。 JR大糸線の最寄り駅である根知駅にはタクシーの常駐はありません。
登山口に建つ雨飾山荘は明治13年創業の古い山小屋です。小屋の手前に約25台止められ駐車場がありますが、一杯の場合には林道下流の駐車スペースに止める必要があります。小屋の玄関脇に水場と登山届を出す用紙が置かれています。
薬師尾根コースは標高差が約1000メートルで、狭い尾根道の急登が「中の池」手前まで続きます。5月~6月の残雪期に登山する場合には、雨飾山荘にコース状況を確認することをお薦めします。中の池から夏道は完全に雪で覆われ、ルートが全くわからない状態になるからです。今年は5月23日に雨飾山荘の人が竹竿の先に赤札を付けたものをコース上の分りにくいところに設置してくれています。そのため、5月26日に登った我々は、コースで迷うところは全くありませんでした。
中の池から雪渓の急斜面を登るところが難所です。雪は緩んでいますが、所によって最大斜度約25度はあり、ピッケルを雪に刺して体を安定させ、12本歯のアイゼンを雪に蹴り込んでステップを作りながら登るため、雪渓の通過に約30分を要しました。この日は先行者がいなかったため、かなり疲れる登りになりましたが、ステップが切られていれば、さほど疲れは無いと思います。
笹平の稜線に上がれば、頸城三山の焼山・火打山・妙高山などが見えるようになります。笹平から山頂までの稜線にはほとんど残雪はなく、登山道沿いには雪解けと共に咲く高山植物の代表とも言えるハクサンイチゲが群落を作り、紫色の大きな花を付けるシラネアオイが登山者を迎えてくれます。
雨飾山の山頂は双耳峰になって、その北峰(東峰)に阿弥陀三尊、大日如来、薬師如来、不動明王の4体の石仏像が糸魚川地方に向いて奉納されています。これらは、江戸時代の高僧・羅漢上人が人力で運び上げたものだそうです。
山頂からの眺望は360度あり、北側には鋸岳、鬼ヶ面山、駒ヶ岳が鋭く尖った山頂を連ね、南西方面には白馬岳から五竜岳、鹿島槍ヶ岳へと連なる後立山連峰の峰々が、東方面には頸城三山の焼山、火打山、妙高山など大パノラマが広がります。
コースタイム
- 登山:雨飾山荘登山口⇒雨飾山 3時間40分
- 下山:雨飾山⇒雨飾山荘登山口 2時間40分
難易度 1/10 残雪期は3
体力 2/10 日帰り
③ 雨飾山-大網登山口コース
大網口登山口には林道・姫川妙高線を使います。JR 大糸線平岩駅から姫川温泉、大網集落を通過して登山口に向かうルートと小谷温泉から湯峠を経由する二つのアクセスが考えられます。後者は、未舗装の箇所やアップダウンが激しく、パンクする車が頻繁に起こる悪路のため適しません。アプローチをかけるなら前者ということになりますが、こちらも対向車とのすれ違い困難な道幅の狭い場所が多く、神経を使う運転が約30分続きます。
山頂の少し下に急斜面があるものの、全体的に一様に高度が上がり、下る所がありません。そのため、山頂までは標高差通りです。特に危険箇所はなく、登山初心者向けと言えます。一方で、面白味に欠けるルートといえ、山頂の少し下で展望が開け、お花畑があるものも、全体的に樹林帯の中の単調な登りになります。
林道/姫川妙高線の道路状況は小谷村役場のホームページをご覧ください。
コースタイム
- 登山:大網登山口⇒雨飾山 2時間55分
- 下山:雨飾山⇒大網登山口 2時間10分
難易度 2/10
体力 2/10 日帰り
雨飾山の日帰り登山は出来る?
最もアクセスが良く人気のルートは小谷温泉コースです。雨飾山のピストンにコースタイムが6時間20分です。他の二つのルートであてもほぼ同様な時間で下山できます。 従って雨飾山の日帰り登山は十分可能と言えます。
雨飾山の登山口近くの温泉
雨飾山の登山口周囲に良質の温泉が湧きます。雨飾山の南部には小谷温泉が、北部には雨飾温泉(雨飾山荘)などがあります。ともに源泉かけ流しの露天風呂を楽しむことができます。
雨飾荘
小谷温泉の雨飾荘は、毎分240l湧出の湯量の源泉を男女別の内湯・露天風呂とも源泉掛け流し100%で注いでいます。
小谷村営バスの終点の雨飾高原バス停から登山口の雨飾高原キャンプ場まで徒歩約1時間かかります。雨飾荘に宿泊した場合、登山口へ送りのみサービスがあります。
無料の雨飾高原露天風呂が雨飾荘から徒歩3分の所にあります。
雨飾温泉(雨飾山荘)
内風呂は男女別、露天風呂「都忘れの湯」は混浴です。
泉質は、重曹泉 無色透明 55°湯口:炭酸水素塩泉+カルシウムの析出。
日帰り入浴
- 大人500円(宿泊後、当日下山時は300円に割引) 子供(小学生)250円
テント場
- テント場約10張り、水場あります。 1名2000円税込、入浴料・館内トイレ利用料込み。
雨飾山の天気の特徴
各種情報
雨飾山登山ツアー
- 雨飾山|登山・トレッキングツアー
お問い合わせ
登山届提出
登山地図のスマホアプリ
- 山と高原地図のスマホアプリ
昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。
雨飾山周辺の気温
最高気温 | 平均気温 | 最低気温 | |
1月 | -5.7 | -8.8 | -11.9 |
2月 | -5.4 | -8.7 | -12.1 |
3月 | -1.9 | -5.8 | -9.5 |
4月 | 6.4 | 0.9 | -3.9 |
5月 | 11.9 | 6.3 | 1.6 |
6月 | 14.4 | 10.2 | 6.0 |
7月 | 18.0 | 13.9 | 10.7 |
8月 | 19.9 | 15.5 | 12.1 |
9月 | 15.4 | 11.1 | 7.8 |
10月 | 9.7 | 5.1 | 1.5 |
11月 | 3.8 | -0.7 | -4.4 |
12月 | -2.2 | -6.0 | -9.2 |
雨飾山登山のための装備と服装
軽アイゼン | 12本歯アイゼン | ピッケル | サングラス | ツェルト | |
1月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
2月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
3月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
4月 | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
5月 | × | ◎ | ◎ | △ | ◎ |
6月 | △ | ○ | △ | △ | ○ |
7月 | △ | × | × | △ | × |
8月 | × | × | × | △ | × |
9月 | × | × | × | △ | × |
10月 | × | × | × | △ | × |
11月 | × | × | × | △ | ○ |
12月 | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
服装や装備品のチェックリスト
登山地図 | 必須 登山地図を忘れると道迷いの原因に!雨飾山は分岐が少ないとはいえ登山地図は必携です。 登山地図を持って行かないと命のリスクもあります。 |
レインウェア | 必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていてもレインウェアは必須です。 また、防寒着としても使えます。セパレートタイプの通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。 |
帽子 | 必須 雨飾山は標高1,963 mの比較的低いやまですが、荒菅沢を超えると直射日光が強烈に降り注ぎます。日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山ではフルフェイスタイプをお奨めします。 |
日焼け止め | 必須 雨飾山は標高1,963 mですが、 標高1,500mを超えると樹木が少なくなります。夏季は紫外線が強いので必帯です。 |
飲料水 | 必須 荒菅沢には水量豊富な水場があります。天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。登山行程に合わせて水の量を調整するとよいでしょう。 |
ヘッドランプ | 必須 アクシデントで暗くなってからの行動を強いられた場合には必携です。 |
行動食 | 必須 すべてのコースでコースタイムはあまり長くはありません。パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものを多少持っていくことをお薦めです。 |
パックカバー | 必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。 |
救急薬品 | 必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。トクホンのような筋肉痛に効く貼り薬もあると助かります。 |
ティッシュペーパー | 必須 登山中いきなりしたくなってしまった場合など、止血用などの万が一の時のために必帯です。 |
防寒着 | 必須 薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。 雨飾山では、7~8月でも最低気温が10度近くまで下がることがあります。 軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアを その上に着ると更に保温性が高まります。 |
手袋 | あったら良い 残雪期にはスリップしやすいのであったら助かります。 |
耳栓 | 不要 雨飾山は基本日帰り登山です。 |
カメラ | あったら良い 360度の北アルプスなどの大パノラマや高山植物、紅葉など山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。 |
ビニール袋 | あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れとして3~4個あると便利です。 |
保険証(コピー) | あったら良い 事故や遭難時に必要です。 |
サブザック | 不要 |
シュラフカバー | 不要 |