筑波山(つくばさん)とは

筑波山は双耳峰で男体山と女体山を有し、二峰間を御幸ヶ原という平坦地が結んでいます。日本百名山の中で最も低い山で、その標高は女体山の877mです。

八溝山地の南端で、関東平野の東側、茨城県の西部に位置する独立峰です。 標高が低いので真夏の登山は避け、新緑の春、花が咲き出す初夏、紅葉の秋などが登山シーズンといえるでしょう。

また、冬季でも積雪量が少なく冬山登山入門コースです。 コースによっては部分的にアイゼンが必要なところもあります。

目次

筑波山の見どころ

奇岩が連続する白雲橋コース

斑レイ岩

山体は硬い斑レイ岩を花崗岩が包み込むように構成されていてます。長い年月をかけて地殻変動により隆起を続けるに従い、やわらかい花崗岩は崩壊して山頂は斑レイ岩主体の山容になったと言わています。

特に白雲橋コースは、弁慶茶屋跡から女体山間に奇岩が連続して出現する面白いルートです。各岩には名前が付けられ「出船入船」「北斗岩」「母の胎内くぐり」「弁慶七戻り」などです。最後にあるのが最も目を引く「大仏岩」です。そして約10分で女体山です。簡単な鎖場を通過すれば山頂に飛び出します。

女体山から霞ヶ浦から関東平野を一望

特に鋭角的に天を突く女体山からの眺めは最高で、霞ヶ浦から関東平野を一望できます。
ケーブルカーとロープウェイが共に山頂近くまで通じているため、登山者ばかりではなく、一般の観光客で大変賑わっています。

筑波山梅まつり

筑波山梅まつり
筑波山梅まつり

時間が許すのであれば、梅の開花時期(2月中旬~3月下旬)には筑波山神社の西に位置する筑波山梅林に足を延ばすのも面白いと思います。園内には巨岩の筑波石が散在し、梅の花の白やピンクと調和して美しい景観を作り出しています。

ガマの油売り

ガマ石
ガマ石

筑波山頂連絡路にガマ石があります。筑波の名を広く世に広めたのは、ガマの油売りでもあります。この場所で新治村永井の兵助が「ガマの油売り口上」を考え出したことがガマ石の名前の由来になったといいます。

そして、口上を交えて江戸・浅草寺境内などで売り始めたのが始まりとされています。その口上は「さあて、お立ち会い。ご用とお急ぎでない方は 聞いてらっしゃい見てらっしゃい。  手前、ここに取り出したるは万金膏ガマの油。ガマと申しましても普通のガマとは違う。・・・・」とまだまだ続きます。

口上保存会などにより筑波山神社の境内で土曜日・日曜日などにガマの油売りを目にすることが出来ます。

筑波山登山口の駐車場とアクセス

アクセスの詳細は下記を参照してください。

筑波山
筑波山のアクセスと駐車場
筑波山のアクセスと駐車場

筑波山ケーブルカー&筑波山ロープウェイ

登山コースは御幸ヶ原(表登山道)コース、白雲橋コース、おたつ石コース、迎場コース、自然研究路、裏登山道などがあります。

 筑波山ケーブルカー&筑波山ロープウェイを組み合わせて登山計画を立てるのもよいと思います。

筑波山ケーブルカー&筑波山ロープウェイ往復セット割引乗車券(1,800円)が発売されています。筑波山神社またはつつじヶ丘から出発して同じ所に戻る場合に割引されます。

筑波山の地図

万葉集に歌われた恋の山

男女川
男女川

筑波山中腹の男女川(みなのがわ)の案内板の立つ休憩ポイントです。

この付近は男女川の水源地近くで、古来から多くの詩歌に歌われた場所です。男女川は 男体山と女体山の間を南下して、桜川へと注ぐ清く澄んだ川です。

後撰集に所載られ、後に小倉百人一首にも選ばれた「筑波嶺の峰より落つる男女川 恋ぞつもりて淵となりぬる」という 陽成院の歌が有名です。

また、「万葉集」の中にも筑波山を詠んだ歌が25首あり、歌垣の場としても知られています。歌垣とは春秋の一定の時期に男女が集い、飲食をしながら歌を掛け合い恋愛をする古代の行事です。

高橋虫麻呂の歌垣の歌が有名で、「若い男女が歌垣にやって来た。さあ、人妻と交わろう。他の人も私の妻を誘うがいい。この山を治める神が昔から許している行事だ・・・・」。というように、現在よりも当時は性が開放されていたのです。

筑波山の登山コース概要

① 筑波山-白雲橋コース

大仏岩
大仏岩

白雲橋コースは、筑波山神社バス停から赤い大鳥居を潜り、土産店や旅館が軒を並べる門前町を抜けていきます。参道に入ると寛永10年11月(1,633年)に三代将軍家光公が寄進したとされる立派な随神門をくぐり、筑波山神社の境内に入ります。

境内から右に進み、民家の中の車道を登ると登山道入り口に至ります。 また、境内を左に進むとケーブルカー乗り場へ至ります。

ケーブルカーは男体山と女体山との鞍部にある御幸ヶ原と呼ばれる所に登り上げ、宮脇駅と筑波山頂駅を8分で結んでいます。

鳥居をくぐり抜けると、杉の大木が林立する中に伸びる登山道が始まります。 酒迎場分岐は筑波神社からは20分ほど歩くと到着します。 ここで右方向へ行けば迎場コースに入り、筑波山ロープウェイの出発地点であるつつじヶ丘方面です。

白雲橋コースはそのまま直進します。
白蛇弁天(白蛇が棲むといわれ、白蛇を見たものは財を成すといわれています。)を通り過ぎ、石畳の様に整備された登山道を登ります。開けた所ではベンチが設置され、休憩ポイントになっています。

樹層が針葉樹林帯(杉)から広葉樹林帯へと変わると、なだらかな登りとなり、一部展望が開け、ロープウェイが架かる稜線が見え出すと、弁慶茶屋跡地の分岐はもう少しです。

弁慶茶屋跡地の分岐は「おたつ石コース」からの登山道を合わせた平坦地で、ベンチが置かれ休憩の最適地となっています。
弁慶茶屋跡地分岐を出発し、すぐに「弁慶七戻り」と呼ばれる「石門」を通り抜けます。頭上の岩が落ちそうで弁慶も七戻りしたという言い伝えがある所です。

「神様の世界」を意味する高天原と呼ばれる岩の上には、天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀る稲村神社が建てられています。

高天原の脇を進み、短い鉄梯子を登ると「母の胎内くぐり」の前に出ます。
「母の胎内くぐり」は 筑波山禅定(修験の行)の行場の一つで、岩をくぐり抜けることで生まれた姿に立ち返るといわれています。

次いで高さ10mを越える巨大な二つの石が、陰陽寄り添っているように見える「陰陽石」を右手に見えてきます。「陰陽石」から少し進むと、鎖場となっている岩場になりますが、高度感は無く、登山初心者でも簡単にこなすことができます。

鎖場を登り上げると展望が開け、神々の行くべき地方を割り振ったとされる、「国割り石」の上に立ちます。
「国割り石」からは山頂が鋭角に尖った女体山(にょたいざん)が視界に入ってきます。

「国割り石」からしばらくなだらかな稜線を進みます。 登山道沿いには独特な名前の付いた3つの大きな岩が現れます。
まづ最初は、石の形が出船と入船とが並んでいるように見える「出船入船」、次は大きな袋を背負った大黒様に似た「裏面大黒」、そして最後に天に聳えたつ「北斗岩」です。「北斗岩」に開いた門をくぐり、進みます。

その後、簡単な岩場を通過し、女体山が近づくにつれ、登山道の傾斜は次第に増していきます。
登山道の左手にベンチが設置されている平坦地を左に入ると、素戔嗚尊(すさのうのみこと)を祀っている「屏風岩」があります。

また、平坦地の正面には高さ15mほどの大岩があり、下から見上げた姿が大仏に見えることから大仏岩と名付けられています。

平坦地を過ぎ、次第に傾斜が増すと岩場の登りとなります。山頂のすぐ下の岩場には、短い鎖が設置されていますが、傾斜は緩く高度感もない為、問題なく登ることが出来ます。

筑波山の女体山には筑波女大神を祀る本殿が建ち、山頂からは360度の展望を楽しむことができます。

コースタイム

  • 登山:筑波山神社⇒筑波山・女体山 2時間20分
  • 下山:筑波山・女体山⇒筑波山神社 2時間5分

難易度 1/10

体力  1/10  日帰り

② 筑波山-おたつ石コース

筑波山ロープウェイ駅から女体山
筑波山ロープウェイ駅から女体山

おたつ石コースはつつじヶ丘から筑波山・女体山頂を目指すコースで、つつじヶ丘駐車場から弁慶茶屋跡までの間を指しています。 弁慶茶屋跡から先は白雲橋コースと名前が変わります。

筑波山ロープウェイを使えば女体山山頂駅まで数分で到着してしまいますが、ここでは登山道を登ります。

つつじヶ丘駐車場を出発し、ガマ大明神の脇の良く整備された登山道を登ります。展望が開けたルートは、東屋が建つつつじヶ丘高原まで続きます。この辺りには、初夏から秋にかけてアザミ類やオカトラノオ、ワレモコウ、ツリガネニンジンなどの草花が見られます。

東屋からなだらかな道が続いた後、ブナやアカガシの天然林が広がる中へと入っていきます。ここからは樹林帯の中を登っていきます。

簡単な岩場を登り上げると弁慶茶屋跡に到着します。白雲橋コースへの分岐である弁慶茶屋跡は広い平坦地になっていて、多くのベンチが設置された休憩最適地です。

コースタイム

  • 登山:筑波山ロープウェイ駅⇒筑波山・女体山 1時間30分
  • 下山:筑波山・女体山⇒筑波山ロープウェイ駅 1時間10分

難易度 1/10

体力  1/10 日帰り

筑波山-薬王院コース

薬王院
薬王院

通称「薬王院コース」は、椎尾山口・筑波山頂参拝道というのが正式名称です。この登山道は古来より薬王院に存在していた山岳修験の名残です。

登山口は、調整池(つくしこ)の所から薬王院の駐車場まで車が入ります。薬王院までの道はもう1本ありますが、そちらは車は無理です。

「修験道」に通じるその参道は険しい自然の中で自身の鍛錬修行により心身共に正常なることを目的としていました。その為、これより先に進むものは無事に山から帰れるよう薬の仏である薬王院本尊「薬師如来」にお参りして登山の安全を願ったと伝えられています。今でも登山道には、古くは参拝道だったころの険しさや信仰されていた巨石などを見ることも出来ます。

コースタイム

  • 登山:薬王院→1時間25分-筑波山ケーブルカー山頂駅→20分-女体山 合計1時間45分
  • 下山:女体山→20分-筑波山ケーブルカー山頂駅→1時間10分-薬王院 合計1時間30分

難易度 1/10

体力  1/10  日帰り

筑波山-自然研究路-男体山周回コース

立身岩
立身岩

自然研究路は男体山の山頂を一周するコースで、全長1471mの探勝路です。ブナ、ミズナラの自然林が残り、ホシザキユキノシタ、タマガワホトトギス、ウスゲサンカクヅル、ヒタチシノなど他のコースではあまり見られない植物が多く自生しています。

筑波山の自然が理解できるように、コース全周で18個の案内板が設置されています。 通常の歩行だと約45分かかる所を、案内板を読みながら進むと約70分は必要です。しっかり読んで周れば筑波山を良く知るのにいい機会になると思います。

御幸ヶ原の公衆トイレの脇から出発し、 真壁・薬王院分岐まで約15分の下りです。

真壁・薬王院分岐のすぐ先に「大石重ね」と呼ばれる所があります。ここは筑波山にお参りする際、小石を持って登山し、 願いが神様に届くようにと小石を神様の傍に置いたものが塚となった所です。

「大石重ね」から登りになり、3月12日時点では西側の斜面の雪は消えていません。 このコースは筑波山の各ルートの中で唯一危険個所があります。谷側の傾斜はきついものの、夏は特に問題無い登山道ですが、積雪期には積もった雪が凍結して滑落の危険があるので、最低限アイゼンの装着は必要です。 そのため注意喚起のプレートが随所に設置されています。

登山道は展望台の位置まで来ると90度方向を変え、比較的なだらかな道となり、 南側の斜面を通過するため積雪はありません。

御幸ヶ原近くになると「立身石」と呼ばれる大岩が右手に見えます。 この岩は元来「鎮座石」といい、 十三歳の間宮林蔵(筑波郡伊奈町の出身で、樺太を発見し、大陸との間に間宮海峡があることを証明した人物です。)がこの場所で立身出世を祈願したとされています。

「立身石」を過ぎれば、「御海」への道が右手に分岐します。御海(みうみ)は、自然研究路から外れていて、往復で約15分必要です。約1200年前に名僧・徳一上人(筑波山神社、磐梯山恵日寺を開山した人物です。)によって発見されたと伝えられる霊水が流れ出る所です。徳一が飢餓救済に用いたと言われ、万病に効くようですが、現在は水量が少なくとても飲めるような状態ではありません。

御海分岐に戻り、なだらかなトラバースを進めばスタート地点の御幸ヶ原に戻ります。

コースタイム

  • 一周:御幸ヶ原⇒大石重ね⇒御幸ヶ原 45分

難易度 1/10

体力  1/10  日帰り

筑波山-表登山道御幸ヶ原コース

筑波山ケーブルカー宮脇駅から見上げる筑波山
筑波山ケーブルカー宮脇駅から見上げる筑波山

御幸ヶ原コースは表登山道とも呼ばれる最もポピュラーなコースです。 筑波山神社入口のバス停から土産店が並ぶ参道の階段を上がります。ガマの油の販売やガマの置物など筑波山名物が旅の情緒に彩りを添えています。

三代将軍家光公が寄進した随神門を通り、本殿の大御堂まで上りお参りを済ませます。そこから左手に入り、筑波山ケーブルカー乗り場に向かいます。ケーブルカーに乗れば数分で御幸ヶ原に着いてしまいますが、ここでは登山道を登ります。 ケーブルカー乗り場の直ぐ下に建つ鳥居をくぐると登山道が始まります。

杉やブナの巨木の中の登山道は良く整備され、丸太で出来た階段を登っていきます。 開けた平坦地には随所にベンチが設置され、良い休憩ポイントになっています。中間点近くの登山道はケーブルカーの軌道近くにあり、上下するケーブルカーをすぐ近くで見ることも可能です。

中間点から少し登った所から、やや傾斜のきつい岩場が続き、岩場を登り切った所が 男女川(みなのがわ)の案内板の立つ休憩ポイントです。
この付近は男女川の水源地の近くで、古来から多くの詩歌に歌われ、 男体山と女体山の間を南下して、桜川へと注ぐ清く済んだ川です。
後撰集に所載られ、後に小倉百人一首にも選ばれた「筑波嶺の峰より落つる男女川 恋ぞつもりて淵となりぬる」という 陽成院の歌が有名です。

さらに登ると、登山者の疲れを癒すように随所にベンチが設置され、丸太で出来た階段状の登山道を登り上げると御幸ヶ原に飛び出します。

コースタイム

  • 登山:筑波山神社⇒御幸ヶ原 1時間50分
  • 下山:御幸ヶ原⇒筑波山神社 1時間30分

難易度 1/10

体力  1/10  日帰り

筑波山-迎場コース

東屋
東屋

迎場コースは筑波山神社から樹林帯の中を20分ほど歩いた所にある酒迎場分岐とつつじヶ丘間を結んでいる高低差の少ない短いルートです。
良く整備された石畳の登山道の周りには、杉やアカマツなどの針葉樹林が多く、モミの巨木が多いのも他のコースに無い特徴です。

酒迎場分岐を右手に取り、休憩用のベンチや東屋が随所に設置されたアップダウンの少ない遊歩道を進みます。 大洗神社の祠を左手に見送り、小川を越えて進みます。

針葉樹林から広葉樹林へと樹相が変わると太陽の光が多く入ってくるようになり、一気に視界が開けると、つつじヶ丘のロープウェイ乗り場が右に見えてきます。

つつじヶ丘には広い駐車場、各種のお土産店やレストラン、公衆トイレなどの設備が完備しています。また、ここは「おたつ石コース」登山道入り口でもあります。

コースタイム

  • 登山:筑波山神社⇒筑波山ロープウェイ駅 1時間5分
  • 下山:筑波山ロープウェイ駅⇒筑波山神社 50分

難易度 1/10

体力  1/10  日帰り

筑波山頂連絡路

せきれい茶屋
せきれい茶屋

山頂連絡路は女体山と男体山とを結ぶ稜線上にある登山道で、その中間点の御幸ヶ原にはケーブルカーの筑波山頂駅があり、周辺には茶屋が軒を並べ、筑波山で最も人通りが多い 所です。

女体山頂から少し降りた所にある平坦地はロープウェイ乗り場、筑波高原キャンプ場、男体山の各方面への分岐点となっています。
男体山に向け起伏の少ない稜線を歩くと、ガマ石と呼ばれる岩が現れます。この岩は元来「雄龍石」といい、傍には「雌龍石」もあり、 この場所で永井兵助が「ガマの油売り口上」を考え出したことが名前の由来となっています。

「さあ、さあ、お立ち会い・・・」で始まるガマの油売りは、江戸時代中期から縁日やお祭りなのでお馴染みの風景になっていました。現在でも、筑波山神社内において8月第1日曜日にガマの油売りの口上イベントが開催されています。

ガマ石を後にし、少し進んだ所に茨城生まれの詩人・横瀬夜雨による「男女(ふたり)居てさへ 筑波の山に 霧がかかれば 寂しいもの」と詩の第一節が画家の小川芋銭の書で自然石に刻まれた詩碑があります。

せきれい茶屋まで来ると、その前にあるセキレイ石と呼ばれる大石が目に入ってきます。この大石の上に鶺鴒(せきれい)が留まり、男女の道 を教えた事からこの名が付けられたとされています。

せきれい茶屋から御幸ヶ原に向け緩い坂を下ります。
平坦地に着くと、そこは「カタクリの里」と呼ばれ、周辺にはカタクリの群生地が広がっています。4月上旬から中旬にかけて筑波山頂カタクリの花まつりが開催されます。

「カタクリの里」から少し降りた所が御幸ヶ原で、筑波ケーブルカーの山頂駅周辺には多くの茶屋が立ち並び、多くの観光客や登山者で賑わっています。

御幸ヶ原から男体山に向け登ります。 良く整備された登山道を10分ほでど登れば男体山頂です。
途中、岩場が現れますが傾斜は緩く、簡単に登れます。

男体山山頂には筑波男大神(伊弉諾尊)を祀る本殿が建てられています。展望良好ですが、一部樹木によって遮られ見えない方向もあります。

コースタイム

  • 女体山⇔男体山 30分

難易度 1/10

体力  1/10  日帰り

裏登山道コース

筑波高原キャンプ場
筑波高原キャンプ場

裏登山道コース

筑波山の北面を登るルートで裏登山道とも呼ばれています。 裏登山道周辺の森はコナラ、ブナなどの落葉広葉樹が多く、また、早春から秋まで様々な種類の草花や野鳥の観察を楽しむことができます。

登山口までの公共交通機関が無い為、マイカーでのアクセスとなり、筑波高原キャンプ場の駐車場は約40台可能です。
駐車場近くにある公衆トイレは、冬季には凍結防止のため閉鎖しています。※冬季でもキャンプ場内にあるトイレは使用できます。

駐車場からカタクリの群生地が広がるキャンプ場敷地内を通り抜け登山道へと入ります。 針葉樹林帯の中の登りで始まり、コナラ、ブナに樹層が変わる中間地点辺りで残雪が出てきました。

3月中旬では北面のため雪がなかなか消えません。笹の中を登り上げると、女体山の山頂からすぐ下の所にある平坦地に飛び出します。

コースタイム

  • 登山:筑波高原キャンプ場⇒筑波山・女体山 1時間
  • 下山:筑波山・女体山⇒筑波高原キャンプ場 40分

ユースホステルコース

ユースホステルコースと呼ばれてきましたが、現在はユースホステルが無い為、深峰遊歩道とも言われています。
筑波山登山道の中で最短で、林道が御幸ヶ原まで通じていますが、御幸ヶ原に駐車場が無いこと、道が荒れていることなどのため一般車の乗り入れはできません。

裏登山道コース同様、公共交通機関が無い為、マイカーのみのアクセスとなり、筑波ユースホステル跡地にある駐車場から出発します。(約40台駐車可能)

林道は御幸ヶ原まで続いていて、御幸ヶ原のすぐ下で登山道が林道から分岐し、御幸ヶ原の茶屋の所に出ます。

コースタイム

  • 登山:筑波ユースホステル跡⇒御幸ヶ原 40分
  • 下山:御幸ヶ原⇒筑波ユースホステル跡 30分

難易度 1/10

体力  1/10  日帰り

筑波山の日帰り登山は出来る?

最も人気のある白雲橋コースは筑波山神社を登山口とし女体山までの往復のコースタイムは4時間30分です。また、女体山から男体山へ登り、自然研究路を一周して表登山道御幸ヶ原コースで筑波山神社へ下山した場合でも5時間5分のコースタイムです。

また、筑波山ロープウェイやケーブルカーを組み合わせればハイキングコースになりコースタイムはさらに短縮できます。従って筑波山の日帰り登山はどのコースであっても十分可能と言えます。

筑波山の登山口近くの温泉

登山口は交通の便のいい筑波山神社とつつじヶ丘が一般的で、筑波山神社周辺には多くの旅館が集中していて、遠方からの登山者の宿泊施設として最適です。ほとんどの旅館が露天風呂を有し、日帰り入浴が可能な旅館も多くあります。

筑波山江戸屋


創業 390余年筑波山温泉の筑波山江戸屋の泉質はアルカリ性単純温泉(ph 10.18)、原泉温度を調整するため加水しています。

650m 、徒歩10分で白雲橋コース登山口の筑波山神社に行けるロケーションです。

日帰り入浴

料金:大人(中学生以上):1,500円税込(ハンドタオル付き) 

入浴時間:午前11時30分~午後3時 ( 受付時間は、午前11時30分~午後2時 )

筑波山の天気の特徴

春の筑波山
春の筑波山

夏の筑波山は晴天の確率がやや低い

筑波山は、冬は季節風の影響はあまりなく降雪量はほぼありません。また、冬季(11月、12月、1月、2月、3月、4月)は晴天の確率が高いのが特徴です。

春(4月、5月)は一年を通して最も晴天になることが多く、夏から秋(6月、7月、9月)は一気に雨の日が増えますが、8月でやや晴れる日が持ち直します。しかし、9月、10月は雨の日が多くなり晴れ間が低いのが特徴です。11月以降は比較的晴れる日が期待できます。

筑波山の1か月の降水量は1月54mm、2月66mm、3月105mm、4月105mm、5月150mm、6月162mm、7月162mm、8月153mm、9月198mm、10月189mm、11月81mm、12月48mmです。

山の天気予報は難しい
山の天気予報は難しい

お薦めの天気予報

テレビで流れる天気予報やネットで得られる無料の天気予報は、一般的に平地を対象としたものです。 そのため、晴れの天気予報が出ていても、山ではガスってしまうことはよくあることです。 

そこで、おすすめなのがtenki.jpの有料バージョン(+more)です。これは、月間100円と安いですが、高層天気の予報のため精度が高いです。また、山の天気予報(月額300円)を併用すると更に精度が高まります。

各種情報

筑波山登山ツアー

  • 筑波山|登山・トレッキングツアー

お問い合わせ

登山届提出

  • 茨城県警察 いばらき電子申請・届出サービス(茨城県)から登山届の提出が出来ます。

登山地図のスマホアプリ

  • 山と高原地図のスマホアプリ
    昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。

筑波山周辺の気温

最高気温平均気温最低気温
1月4.3-2.0-7.9
2月5.0-1.0-6.9
3月8.12.4-3.5
4月13.67.81.9
5月17.312.27.1
6月19.915.511.6
7月23.619.215.7
8月25.520.817.1
9月21.517.213.4
10月16.211.36.6
11月11.25.3-0.1
12月6.70.3-5.6

筑波山登山のための装備と服装

軽アイゼン12本歯アイゼンピッケルサングラスツェルト
1月×××
2月×××
3月×××
4月××××
5月××××
6月××××
7月××××
8月××××
9月××××
10月××××
11月××××
12月××××
必須:◎ あった方が良い:○ あったら良い:△ 必要ない:× 

服装や装備品のチェックリスト

登山地図あったら良い 筑波山にハイキングコースであるため登山地図は必携ではありません。
レインウェア必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていてもレインウェアは必須です。
また、簡単なものでもかまいませんし、傘でもOKです。
帽子あったら良い 筑波山は標高877mの低山です。樹林帯の中を歩くことが多く直射日光はあまり強くありません。ただし、夏場は日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山ではフルフェイスタイプをお奨めします。
日焼け止めあったら良い 筑波山の標高877mですが、 御幸ヶ原では日光を遮る樹木がほとんどありません。天気の良い日は紫外線が強くなるので持参した方がよいでしょう。
飲料水必須 全てのルートには水場はありません。しかし、御幸ヶ原の売店では水の購入が出来ます。天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。
ヘッドランプ不要 
行動食あったら良い コースタイムが短いのでパン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものを少量持っていくことをお薦めです。
パックカバー必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。
救急薬品必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。
ティッシュペーパーあったら良い 止血用などの万が一の時のためにあったら良いです。
防寒着必須 薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。
筑波山では、7月、8月、9月は必要ありませんが、それ以外の月は必須です。軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアをその上に着ると更に保温性が高まります。
手袋不要
耳栓不要
カメラあったら良い 女体山からの大パノラマや高山植物、紅葉など山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。
ビニール袋あったら良い ごみ入れとして2~4個あると便利です。
保険証(コピー)あったら良い 事故や遭難時に必要です。
サブザック不要
シュラフカバー不要

筑波山神社の歴史

山頂の筑波山神社奥宮

山頂の二つの峰にはそれぞれ男体山頂に筑波男大神=つくばおのおおかみ(伊弉諾尊=イザナギノミコト)を、 女体山頂に筑波女大神=つくばめのおおかみ(伊弉冉尊=イザナミノミコト)の男女二神を祀る本殿が建てられています。

筑波山神社本殿

筑波山神社本殿
筑波山神社

明治6年 筑波山寺から筑波山神社へ

元々この地には平安時代から続く神仏習合の霊場として筑波山寺(後に知足院中禅寺)の堂塔伽藍が数多く建ち並んでいました。

しかし、明治政府が発した神仏分離令によって日本全国で廃仏毀釈が起こり、仏教に関わるものはことごとく破棄されました。筑波山寺の堂塔伽藍もすべて焼かれ廃寺となってしまいました。

今ある筑波山神社は明治6年(1873年)に社殿が建てられたものです。

782年 高僧・徳一による筑波山寺の開山

筑波山寺(後の知足院中禅寺)は、桓武天皇(かんむてんのう)の世・延暦(えんりゃく)元年(782年)に法相宗の高僧・徳一(とくいつ)によって開山された古刹です。

徳一は真言宗の空海と仏教教学の違いで対立したり天台宗の最澄と「三一権実論争」とよばれる一大宗教論争を4年間にわたって繰り広げたことでもよく知られる人物です。

徳一は、中禅寺開山後に磐梯山に寺僧300人、僧兵数千人、子院3,800坊を数える巨刹・恵日寺や、安達太良山の相応寺と円東寺などを開山するなど会津の地に一大仏教文化を花開かせたことでも歴史に残る名僧と言うことが出来ます。

磐梯山
磐梯山と慧日寺の関わり
磐梯山と慧日寺の関わり

戦乱に巻き込まれた知足院中禅寺

知足院中禅寺は、本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)に基づいた神仏習合の寺であり、本尊として、筑波男ノ神(伊奘諾尊)の本地仏・千手観音、筑波女大神(伊弉冊尊)の本地仏・十一面観音を安置した伽藍が建てられ、筑波両大権現を祀る山岳宗教の聖地となっていました。

その後、幾度と無く戦乱に巻き込まれた筑波山ですが、その代表的なものとして「将門記」には承平7年(937年)平将門と平良兼との間で土地をめぐる争いが6年間続いたとあり、又、南北朝時代には、南朝(宮)方の小田城主小田治久と北朝(武家)方の佐竹貞義との間で果てしない攻防・常陸合戦が起こった歴史もありました。

徳川家による庇護

応永五年(1398年)に落雷によって中禅寺は焼失してしまいますが、江戸時代になると徳川家康の庇護のもと全盛期を迎える事になります。

三代将軍家光は、 本殿の大御堂、桜門の随神門(文化8年・1811年に再建)、御祭神:市杵島姫命を祀る厳島神社、御神橋、三重塔、日枝神社・春日神社の拝殿・御本殿、筑波山山頂の神社などの一大堂塔伽藍を寄進しました。

その後、神社の関係者や商人、大工などの労働者を住まわせ門前町を作りました。登拝者目当ての宿坊、土産店、更には遊女屋までも作られ大いに賑わったといいます。

知足院中禅寺は、鎌倉時代の初期に出来た坂東三十三観音霊場の第二十五番札所 となったことや、歌垣以来の伝統で、恋愛や夫婦円満に霊験あらたかであるということも人気が高かった理由の一つです。

三代将軍家光による御神橋桜門の随神門

御神橋

安土桃山時代を思わせる切妻造小羽葺屋根が付いた間口約1.8m 奥行約7mの橋です。

寛永10年(1633年)11月に三代将軍家光が寄進し、元禄15年(1703年)6月に五代将軍綱吉が改修したものです。

毎年4月1日と11月1日の2回行われる筑波山最大で重要な祭り「御座替祭」が催されます。山頂の御本殿と中腹の拝殿で親子の神の神座が変わると言われています。この日に限り一般参拝者もこの橋を渡ることが出来きます。

桜門の随神門

左写真の御神橋同様、三代将軍家光によるものです。

現在の随神門は文化8年・1811年に再建されたものです。桜門形式、入母屋、銅板葺山門で、かつては仁王門と呼ばれていました。

神域に邪悪なものが入り込まないように左右に倭健命、豊木入日子命の像が立ち門番となっています。

筑波山の伝説

昔から、「西の富士、東の筑波」あるいは「雪の富士、紫の筑波」と言われた筑波山に関する最古の文献は、「常陸国風土記」です。

伝説の内容は次のようなものです。「神祖の尊」が新嘗祭の日に富士山を訪れ、宿泊したいと頼んだが断られた。一方で、筑波山に行った時に新嘗祭の日にもかかわらず、快くもてなされた。そこで富士山は雪に覆われ常に寒くあまり人の登らない山になり、一方で、筑波山は多くの人で賑わうようになったという伝説です。

筑波山の植物の垂直分布

つつじが丘のヤマツツジ
つつじが丘のヤマツツジ

4月20日時点のつつじが丘のヤマツツジの開花状況です。見頃まではあと1週間ほどかかりそうです。

筑波山にはおよそ1000種類の植物が確認されています。これほど多くの植物が見られる理由は、登山口から中腹までが暖温帯、中腹から山頂までが冷温帯の気候となり、暖かい地方と寒い地方両方の植物が生育しているからです。

山頂部ではブナ林が広がり、標高500mから700mにかけてアカガシ林・モミ林、つつじヶ丘丘周辺ではススキ草原が分布しています。筑波山神社や薬王院周辺にはスダジイ林が、それを取り囲むように杉林・赤松林が分布しています。標高300m以下には、コナラ林が見られます。