妙義山(つくばさん)とは
妙義山(みょうぎさん)は、日本二百名山にも数えられる群馬県の山で、最高峰は表妙義の相馬岳(標高1,104m)です。
妙義山は表妙義の白雲山、金洞山(中之岳)、金鶏山の三山により構成され、中木沢を隔てて裏妙義は中木山、御岳、丁須岩(ちようすいわ)、赤岩、烏帽子岩、最高峰の谷急山などから構成されています。
どちらも非常に急峻で複雑な地形をしています。妙義山という場合には表妙義を指すことが多い。
妙義山は、群馬県甘楽郡下仁田町・富岡市・安中市の境界に位置し、榛名山・赤城山と並び上毛三山の一つに数えられています。また、耶馬渓(やばけい)、寒霞渓(かんかけい)と並び日本三奇勝の一つでもあります。
そして秋には妙義三山を赤や黄色で覆い尽くす紅葉の名所としても知られています。
- 1. 妙義山の特徴
- 1.1. 奇岩が連続する難コース
- 1.1.1. 妙義山の岩の特徴
- 1.1.2. 金洞山(中之嶽)の奇岩群
- 2. 妙義山登山口の駐車場とアクセス
- 3. 妙義山の地図
- 4. 妙義山の名前の由来
- 5. 妙義山の登山コース概要
- 5.1. ① 妙義山-白雲山コース
- 5.1.1. 核心部ワンポイントアドバイス
- 5.1.2. コース案内
- 5.2. ② 妙義山-中間道・石門巡りコース
- 5.3. ③ 妙義山-タルワキ沢から相馬岳コース
- 6. 妙義山の日帰り登山は出来る?
- 7. 妙義山の登山口近くの温泉
- 7.1. 下仁田温泉 清流荘
- 7.1.1. 日帰り入浴
- 8. 妙義山の天気
- 9. 各種情報
- 9.1.1. 妙義山登山ツアー
- 9.1.2. お問い合わせ
- 9.1.3. 登山届提出
- 9.1.4. 登山地図のスマホアプリ
- 10. 妙義山周辺の気温
- 11. 妙義山登山のための装備と服装
- 12. 妙義山開山と山岳信仰の歴史
- 12.1. 妙義神社
妙義山の特徴
奇岩が連続する難コース
妙義山の岩の特徴
表妙義の縦走路には、数多くの難所があり、特に白雲山の奥の院の鎖場と金洞山の鷹戻しの頭周辺にある鎖場の難易度が極めて高く、 上級者のみの領域です。
妙義山の特筆すべき点は、北アルプス、南アルプス、八ヶ岳などの岩稜と異なり、スタンス(足がかり)が少なく、あっても浅いため、鎖を全力で握り体を引き上げる必要があり、そのため腕力が次第に低下し、滑落事故につながるというところにあります。
そのため、高い柔軟性と片腕だけで自分の体重を支えられる腕力があることが、このルートに入る条件と言ってもよいでしょう。
また、鷹戻しの頭周辺では毎年滑落事故が起こっていて、ザイルなどの登攀用具の使用も必要と考えられます。相馬岳へ登頂することだけを目標とするなら中間道から通じるタルワキ沢コースを使えば、登山初心者でも可能です。
金洞山(中之嶽)の奇岩群
中間道から通じる石門巡りコースは一般の登山者でも入れ、多くの登山者に親しまれているルートです。
金洞山(中之嶽)に見られる多くの奇岩の景色は素晴らしく、自然の石が作り出すトンネル状になった第1石門から第4石門をくぐり抜け、大砲岩・ロウソク・ユルギ岩・岩筆頭岩・虚無僧岩・剣の刃渡り・馬の背渡り・賽の河原・鬼の髭剃り岩・屏風岩・鬼の閨・烏帽子岩などの奇岩を巡るルートは変化に富み楽しい所です。
妙義山登山口の駐車場とアクセス
アクセスの詳細は下記を参照してください。
妙義山の地図
妙義山の名前の由来
中世以前は妙義山を波己曾(はこそ)の山と呼んでいました。同様に白雲山の山腹に鎮座する妙義神社は、波己曾神社と呼ばれていました。
明徳5年(西暦1394年)に花山院藤原長親が妙義山周辺で草庵を営んでいました。長親は妙魏と号し、後に長親を祀った妙魏神社が作られ、背景に聳える山も妙魏山と名付けられたとする説があります。
また、比叡山の妙義法師からきているとの説もあります。
妙義山の登山コース概要
① 妙義山-白雲山コース
核心部ワンポイントアドバイス
妙義山の白雲山(相馬岳)は奇岩が林立する迫力のある山容で、一般登山道の中では最高難度のルートです。岩の性質上、足がかりが浅く乏しい為、懸垂しながら鎖を全力で握り、腕力で身体を引き上げることを強いられます。
滑落防止のためには、片腕だけで全体重を支えることのできる腕力が必要で、雨天時や雨が続いた後などは登山を控えることが賢明です。
ルート上には三か所の難所があり、最も難しいのは、奥の院にある三連で鎖が架かる斜度約60度、30mの岩壁です。深い樹林帯の中のため、岩が湿って滑り安くなっている事も多く、その場合には、さらに難易度が上がります。
次に難しいのは大のぞきからの下りにある滑り台状の三連30mの鎖場です。鎖がついているものの岩場の凹凸が少なく、足掛かりが浅いため滑りやすく、懸垂して下降します。
三番目はビビリ岩と呼ばれる所で、岩の斜面に鎖が3段に付けられた高度感のある場所ですが、ホールドは豊富です。
コース案内
登山口となっている妙義神社の周辺には富岡市営無料駐車場約200台があり、「道の駅みょうぎ」には公衆トイレが完備しています。
妙義神社へ向かう参道を進み、社殿とともに国の重要文化財に指定されている総門をくぐり境内に入ります。登山届が置かれている登山口から樹林帯の登りが始まります。
傾斜は緩いが岩が湿っていて滑りやすい鎖場を抜けると「大文字岩」へ到着します。この岩壁に大きな「大」の文字が据え付けられています。下から見上げても良く目立つ大きさです。
「大の字」の岩壁に架かる二本の鎖を使ってよじ登ると、岩頭からの眺めは言うまでもなく絶景が広がっています。
大の字から少し登った所に江戸時代まで大日如来が安置されていた洞窟があります。そこは「奥之院」でした。その為、「大」は大日如来を意味するものであることが考えられます。
大の字から下り、樹林帯の急登が辻まで続きます。 辻は中間道の第一見晴へ下る分岐点で、奥の院へ向かうには上級コースを進みます。
辻から奥の院までは白雲山の南面の岩壁を眺め、樹林帯の中の難易度の低い鎖場を通過します。
奥の院の三連30m、斜度約60度の鎖場は最高難易度で、懸垂しながら鎖を全力で握り腕力で身体を引き上げていきます。
この日は岩が濡れているため、足元が滑り、さらに難易度を増しています。 岩壁にはテラスのような休める所はなく30mを一気に登る必要があります。
奥の院の鎖場を登り切り、その上には右側が切れ落ちた7m外傾鎖がありますが、登山道の幅は十分にあり、難しくありません。
次に簡単な鎖場をやり過ごし、樹林帯を急登すると展望台の「見晴」に飛び出します。
「見晴」から少し進むとビビリ岩の取り付きです。ビビリ岩の下段からは上段を見ることができない為、高難易度に見えますが、高度感はありますがホールドが豊富で、さほどの難しさは感じません。
狭い稜線を進み、玉石と呼ばれる岩陵をやり過ごし、「大のぞき」に向け登ります。 稜線の北側をトラバースする所の登山道が一部崩壊している箇所は要注意です。 鎖場を一か所通過して、嶽三社大神の石碑の建つ「大のぞき」に到着です。
大のぞきから7mほど下降した所で左側にトラバースし、さらに7mほど下降します。 ここまでが一段目の鎖場で、次の二段目が有名な滑り台状三連30mの鎖場です。
ここで核心部が終了し、これから先のルート上には難所はありません。 天狗岳を経て、タルワキ沢のコルから登り返すと妙義山最高峰の相馬岳山頂です。
コースタイム
- 登山:道の駅妙義駐車場⇒相馬岳 3時間45分
- 下山:相馬岳⇒道の駅妙義駐車場 3時間15分
難易度 8/10
体力 4/10 日帰り
② 妙義山-中間道・石門巡りコース
中之嶽の中腹を巡る石門めぐりに出発です。妙義山は激しく浸食された角礫岩・凝灰岩・安山岩による山塊で、それらが奇岩・怪岩を作り出した景観は、まさに奇勝と呼ぶにふさわしく、中でも四つの大きなトンネル状の石門はハイライトといえます。
石門めぐりの登山口となる中之嶽神社無料駐車場は、トイレも完備し400台駐車が出来ます。
中之嶽神社無料駐車場から400mほど車道を歩いた所に、石門めぐり登山口があります。 登山口から登ると、いきなりの鎖場が現れますが、軽くウォーミングアップ程度です。大きなアーケードの様な第一石門をくぐり、二石門へと登っていきます。
第二石門を通過するには、「かにのよこばい」と呼ばれる所をトラバースし、トラバース終了地点からカニノテバリの登りです。共にさほど難易度は高く無く、なんとか登山初心者でも通過は可能と思われます。幅の狭い第二石門をくぐり、反対側へと下降して行きます。ここも鎖場になっていて約8mの下降です。
第二石門を通過すると、「片手さがり」と呼ばれる場所が現れます。「片手さがり」には二通りのルートがあり、トラバースしながらの下降と、そのまま直に下降するルートのどちらかを選択します。後者の方がやや難易度が低い様に感じられます。
「片手さがり」を降り切り、第三石門へと向かいます。第三石門は第三石門分岐から20mほど先にあり、さほどの見どころはありません。
第三石門分岐に戻り、第四石門へ向かいます。第四石門の前は、広い広場になっていて休憩する為の東屋が建っています。
第四石門から少し登った所から「天狗のひょうてい」と呼ばれる所へ向かいます。「天狗のひょうてい」の入り口と書かれた指導標に従い進むと、一旦下降し登り返します。登り返す直前のトラバース箇所を通過し、5mほどの鎖場を登ると「天狗のひょうてい」と呼ばれる展望台の様な岩が正面に見えます。
ここから「天狗のひょうてい」への登りがやや難易度の高い所です。「天狗のひょうてい」に立つと、そこは絶好の展望台となっていて、大砲岩が真正面に見えます。 また、「天狗のひょうてい」横にある「胎内くぐり」にも挑戦してみてはいかがでしょうか。
「天狗のひょうてい」入り口に戻り、中間道を進みます。大岩壁のえぐられた所を歩き、さらに進んだ所では天上の岩に頭がぶつかりそうなほどです。長い鉄階段を降りる所では、右手側が切れ落ちている為、高度感を感じます。
中間道をさらに進むと、休憩ポイントの東屋、中間道中間地点の「本読みの僧」、第二見晴、大黒の滝などのスポットが次々と現れます。
辻(奥の院下の分岐)への分岐がある第一見晴からは急登りとなり、簡単な鎖場を通過し高度を上げます。過去に滑落事故のあった難所の鎖場は、やや高度感があり難易度が高い所です。ここを通過すれば辻まであと少しです。
コースタイム
- 一周: 5時間20分
難易度 6/10
体力 3/10 日帰り
③ 妙義山-タルワキ沢から相馬岳コース
登山初心者でも妙義山の最高峰である相馬岳に登ることは可能です。 タルワキ沢出会いからタルワキ沢のコルまでの間に難易度の低い鎖場が二箇所ありますが、ここを通過できればあとは樹林帯の登りが続き、相馬岳山頂に至ります。
妙義神社脇から中間道に入り、大杉の中を進みます。 大の字への分岐点にある第一見晴を左に見送り、水量の少ない大黒の滝を背景に記念撮影です。
大きな岩壁の下を通過し、鉄橋で沢を渡ると第二見晴への分岐に到着します。 鎖が設置された簡単な斜面を登れば第二見晴です。 第二見晴からは金洞山、金鶏山の眺望があります。
タルワキ沢出会いからタルワキ沢に沿って稜線を目指します。 途中に二箇所の鎖場がありますが、難易度は高くありません。 大きな岩の間を通り抜け、ガレた登山道を登るとタルワキ沢のコルに到着します。 タルワキ沢のコルから相馬岳へは樹林帯の登りで難所はありません。
コースタイム
- 登山:妙義神社南入り口⇒相馬岳 2時間20分
- 下山:相馬岳⇒妙義神社南入り口 1時間40分
難易度 3/10
体力 1/10 日帰り
妙義山の日帰り登山は出来る?
道の駅妙義駐車場から妙義神社の境内を通り白雲山コースで登る相馬岳のコースタイムはピストンで7時間です。また、中間道を歩く石門巡りコースでは5時間20分です。
従って、妙義山の日帰り登山はどのコースであっても十分可能と言えます。
妙義山の登山口近くの温泉
妙義神社登山口まで26 分(17.7 km)で、四方を山に囲まれた栗山川沿いの秘湯の一軒宿です。源泉は含二酸化炭素 カルシウム ナトリウム 炭酸水素塩冷鉱泉で、放流一部循環ろ過式、加水なし、加温ありです。
下仁田温泉 清流荘
- 「含二酸化炭素 炭酸水素塩泉」毛細血管を拡げ血圧を下げる効果があり、胃腸に良く肌をなめらかにしてくれます。
日帰り入浴
料金:800円 ※露天風呂のみ利用可能。
入浴時間:11:00~14:30(受付時間)
妙義山の天気
各種情報
妙義山登山ツアー
- 妙義山|登山・トレッキングツアー
お問い合わせ
- 下仁田観光協会 ☎ 0274-67-7500
登山届提出
- 群馬県警察へ電子申請も出来ます。
登山地図のスマホアプリ
- 山と高原地図のスマホアプリ
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妙義山周辺の気温
最高気温 | 平均気温 | 最低気温 | |
1月 | 3.7 | -1.6 | -6.3 |
2月 | 4.7 | -0.9 | -5.8 |
3月 | 8.0 | 2.4 | -2.9 |
4月 | 13.7 | 7.9 | 2.4 |
5月 | 18.4 | 12.9 | 7.9 |
6月 | 21.9 | 16.9 | 12.7 |
7月 | 25.4 | 20.5 | 16.5 |
8月 | 26.4 | 21.4 | 17.5 |
9月 | 22.4 | 17.8 | 14.0 |
10月 | 16.4 | 11.7 | 7.7 |
11月 | 11.1 | 5.7 | 0.9 |
12月 | 6.1 | 0.7 | -4.1 |
妙義山登山のための装備と服装
軽アイゼン | 12本歯アイゼン | ピッケル | サングラス | ツェルト | |
1月 | × | ◎ | × | △ | △ |
2月 | × | ◎ | × | △ | △ |
3月 | ○ | ○ | × | △ | △ |
4月 | × | × | × | △ | × |
5月 | × | × | × | △ | × |
6月 | × | × | × | △ | × |
7月 | × | × | × | △ | × |
8月 | × | × | × | △ | × |
9月 | × | × | × | △ | × |
10月 | × | × | × | △ | × |
11月 | × | × | × | △ | × |
12月 | ○ | △ | × | △ | △ |
妙義山開山と山岳信仰の歴史
妙義神社
妙義山を古くから信仰の対象としていたことは間違いないが、いつから修験者が山岳信仰の霊場としていたかは明確になっていません。しかし開山の歴史と神社との関わりは大変強く、「三大実録」貞観元年(西暦859年)には妙義神社の前身である波己曾神社が登場します。また、平安時代の「上野国神名帳」にも波己曾大明神の名が記載されています。
金洞山の中之嶽神社には日本武尊が、金鶏山の菅原神社には菅原道真が祀られています。その中でも白雲山の山腹に鎮座する波己曾神社が、山岳信仰の中心であったようです。中世以降、神仏習合が広がりを見せる中で、妙義山は仏教色をより強めていったようです。
妙義神社は宝暦6年(西暦1756年)に建設され、国の重要文化財に指定されています。江戸時代になると「上州妙義山詣」などのガイドブックが出版されるなど、一般の人々が現世利益(豊作、雨乞い、商売繁盛など)を求めての参拝や奇勝見物を目的として多く訪れました。
中之嶽神社は中世初期から山岳霊場になっていたらしく、時は下って戦国時代の終わりには小田原北条氏の加藤長清が改修したとされています。江戸時代の中之嶽神社は武尊権現(ほたかごんげん)と呼ばれ、多くの参拝者で賑わっていました。中之嶽神社は明治15年に火災によってすべて焼失し、その後中之嶽神社は(本宮)と甲子大国神社(前宮)が再建されて現在に至っています。
参考文献:名山の文化史