中央アルプスは別名「木曽山脈」とも呼ばれ、伊那谷(天竜川)と木曽谷(木曽川)との間を南北に約90km東西に約20kmに渡る山域です。東に南アルプスと八ヶ岳、西に御嶽山が連なっています。

最高峰は標高2,956mの木曽駒ケ岳で、日本百名山のひとつに数えられています。地元では、木曽駒や南アルプスの甲斐駒ヶ岳を東駒と呼ぶのに対し、西駒と呼んでいます。木曽駒ヶ岳の南には鋭角に聳える宝剣岳が対峙しています。

中央アルプスは全体として丸みを帯びた山々が連なっているので、登山ルートとしては比較的易しい部類に入りますが、 宝剣岳の鋭くとがった頂は鎖場の連続で、中央アルプスのなかでは唯一難易度が高いルートといえます。

中央アルプス

木曽駒ヶ岳

木曽駒ヶ岳

Kisokomagatake

空木岳

Utsugidake

鳳凰三山

恵那山

Enasan

中央アルプス周辺のトレッキング

無料休憩所 立場茶屋
無料休憩所 立場茶屋

馬籠宿から馬籠峠を越え妻籠宿へ

木曽路の山旅-馬籠宿から馬籠峠を越え妻籠宿へ至るトレッキングコースはよく整備され、途中に無料休憩所や約2kmごとに公衆トイレが設置されるなど、大変歩きやすくなっています。

中山道の木曽路の中で色濃く江戸時代の面影を残す妻籠宿と馬籠宿。通りには電柱も自動販売機も無く、地域の住民だけで歴史的に貴重な街並みを保存する事業を行った全国初の取り組みが成果を上げています。馬込峠を越える約8kmの山旅です。

近年は日本の原風景や歴史に触れようと、世界各国からのトレッカーも増えています。

中央アルプスの絶景ポイント

中央アルプスの中でも特に印象に残る絶景をピックアップしました。

宝剣岳と空木岳への稜線

木曽駒ヶ岳山頂から宝剣岳と空木岳へ至る稜線
木曽駒ヶ岳山頂から宝剣岳と空木岳へ至る稜線

木曽駒ヶ岳山頂から宝剣岳を望む。手前のピークが中岳で奥の矢じりの様に尖っているのが宝剣岳です。

その先に、空木岳へ至る稜線がうねるように伸びています。

濃ヶ池カールに写る逆さ宝剣

濃ヶ池に投影される逆さ宝剣岳
濃ヶ池に投影される逆さ宝剣岳

馬の背の東斜面に形成された濃ヶ池カール。カール底に形成された濃ヶ池に投影される宝剣岳の穂先と伊那前岳の稜線が神秘的な景観を作り出しています。

近年、馬の背の斜面から崩れ落ちる岩石によって次第に池が狭くなっている様です。

宝剣岳東斜面千畳敷カールの高山植物

宝剣岳東斜面を埋め尽くす高山植物
宝剣岳東斜面を埋め尽くす高山植物

7月の梅雨明けと共にハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、クロユリ、タカネグンナイフウロ、アオノツガザクラ、シナノキンバイなどの高山植物が宝剣岳東斜面と千畳敷カールを黄色や白に染めます。

千畳敷カール

千畳敷カール
千畳敷カール

宝剣岳の南東斜面には氷河時代の典型的なカール地形(圏谷地形)が見られ、千畳敷カールと呼ばれています。カール底には、モレーンと呼ばれる氷河の堆積物や氷食湖なども確認されています。

氷河による侵食でできた千畳敷カールや濃ヶ池カールなどは、夏になると高山植物が咲き乱れることでよく知られています。

将棋頭山から木曽駒ヶ岳

将棋頭山(将棊頭山)から木曽駒ヶ岳
将棋頭山(将棊頭山)から木曽駒ヶ岳

将棋頭山(将棊頭山)から右上方に木曽駒ヶ岳に向かって馬ノ背の広い稜線が伸びています。

中央には宝剣岳の穂先が見え、その左手には伊那前岳の稜線が続いています。

島田娘から空木岳の稜線

島田娘から空木岳へ伸びる稜線
島田娘から空木岳へ伸びる稜線

檜尾岳が手前に、右奥に熊沢岳、空木岳は檜尾岳の後ろに聳えています 。空木岳の右手後方が南駒ヶ岳です。

ちょうど島田娘の東斜面には5月のゴールデンウィーク頃になると高島田の様な髪型を結った娘の雪形が出現します。

中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ

中央アルプス駒ケ岳ロープウェイ
中央アルプス駒ケ岳ロープウェイ

中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイの混雑に要注意

1967年に山岳観光用として作られた駒ヶ岳ロープウェイの山頂駅の千畳敷は既に標高2,612mあります。

標高差約300mの登りだけで木曽駒ヶ岳や宝剣岳の山頂に登頂できるアプローチの良さが人気となっています。

中央アルプス駒ヶ根ロープーウェイは通年営業で、しらび平らと千畳敷とを7分30秒で結んでいます。

夏期の土日やお盆などの夏休みの時期には、一般観光客が大勢訪れ、中央アルプス駒ヶ岳ロープーウェイは3時間を越える待ち時間となることもあります。

登山をする場合は菅ノ台バスセンターの始発バスに乗ることをお勧めします。約30分前に菅ノ台バスセンターに着いていれば混雑を避けられるでしょう。

中央アルプス登山の特徴

木曽駒ヶ岳はコースタイムが短い登山初心者向けルート

中央アルプスの中でも圧倒的に登山者が多いのは木曽駒ヶ岳です。 中央アルプス駒ケ岳ロープウェイの開通によりアクセスが容易になったことが理由です。 山頂までの登頂時間はわずか2時間です。百名山の中でもコースタイムの短さでは五本の指に入るのではないでしょうか。

宝剣岳から南側に主稜線が伸び、檜尾岳(ひのきおだけ)・熊沢岳・東川岳・空木岳・赤椰岳(あかなぎだけ)・南駒岳・仙涯嶺(せんがいれい)・越百山(こすもやま)までの中央部に高山帯があり、登山者もこの周辺に集中しています。その南部になると標高が低くなり、笹と樹林に覆われた奥念丈岳(おくねんじょうだけ)・安平路山(あんべいじやま)・摺古木山(すりこぎやま)などが静かに佇んでいます。

千畳敷カール濃ヶ池カール

中央アルプスは、木曽谷と伊那谷に挟まれた南北約90キロに渡る山脈です。国内最大級の花崗岩によって構成された山稜は、地殻変動による隆起が断続的に起こり、氷河や風雨によって浸食され、他では見られないカール地形を発達させ、現在の山容を形成しました。

カールの末端に、氷河による削り屑で出来た高まりを「モレーン」と呼びます。中央アルプス駒ケ岳ロープウェイの千畳敷駅は千畳敷カールのモレーン上に建てられています。

山上湖

山頂部には、千畳敷カール底部の剣ヶ池、馬の背の東斜面の濃ヶ池カール底部の濃ヶ池、中岳東斜面の駒飼ノ池(こまかいのいけ)などの山上湖があり、その周囲には豊富な雪解け水により高山植物が花を咲かせるお花畑が出現します。

氷河の拡大期は2回

最終氷河期は6万年前と2万年前に存在しました。日本において、氷河が大きく発達したのは6万年前の方でした。しかし、世界的に見ると2万年前の方がより大きく氷河は成長しました。

では、なぜ日本においては6万年前の方がより大きく氷河を成長させたのでしょうか?

世界的には2万年前の方がより気温が低下し、地球規模の海面低下が起こりました。そのため日本海はより低温となり、凍結する範囲が大きくなっため、大陸から強い寒気が流れ込んでも日本に大量の雪をもたらすことがなかったからです。

※冬の季節風が日本海から蒸発する水分を取り込んで、日本の屋根と呼ばれる山脈にぶつかって日本海側に雪を降らせます。

春スキー

Tバーリフト

4月中旬頃から5月下旬頃に千畳敷カール内にTバーリフトが設置され、スキーを楽しむことが出来ます。

又、上級者向けのバックカントリーの滑走エリアとして駒ヶ岳~黒川コース、伊那前岳架線沢コース、極楽平~伊奈川源流コースなどがあります。通常のスキー場と違いピッケルやアイゼンを装備し、スキーに臨む必要があります。

  • 期間:4月中旬頃〜5月下旬頃
  • リフト数:Tバーリフト1基
  • リフト料金:2,500円

登山届提出先や観光協会・観光案内所

登山届提出

長野県長野県警察本部地域部山岳安全対策課 電話:026-233-0110
長野県のホームページ

登山地図のスマホアプリ

  • 山と高原地図のスマホアプリ
    昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。

観光協会・観光案内所