日本アルプス登山ルートガイド > 北アルプス > 立山 > 大日岳コース
立山から大日岳コース概要
登山コース案内
剱岳から立山・薬師岳に向かって南北に伸びる山脈から西に派生しているのが大日尾根で、複数のピークからなる大日山塊を形成しています。今回は、長野県側から入るルートを紹介します。立山黒部アルペンルートで室堂に入り、雷鳥荘に前夜泊します。奥大日岳〜中大日岳〜大日岳と縦走し、称名滝に下山します。称名滝バス停から立山黒部貫光バスに乗り、富山地方鉄道立山駅に行きます。立山駅から立山ケーブルカーに乗り美女平で立山高原バスに乗り替え、弥陀ケ原バス停で途中下車します。弥陀ケ原を散策し、立山室堂に戻ります。
余裕を持って大日平山荘に山中泊する工程で計画を組みました。奥大日岳からの下りに鎖や梯子が架る岩場があります。又、コースの終了近くの牛首尾根の下りはスリップや転倒に注意が必要な所です。それ以外は特に危険な場所はなく、登山初心者でも十分可能なルートと言えます。
縦走路全体に渡って展望に優れ、地獄谷から火山ガスが立上る立山の荒涼とした風景、早月尾根を長く伸ばし、尖った山頂を天に突き上げる鋭鋒・剱岳は圧巻です。高山植物が豊富なことも魅力の一つと言えます。又、コース終了近くになって現れるラムサール条約に登録された大日平の湿原、称名川に流れ落ちる不動滝や称名滝など見どころ豊富です。
※立山から剱岳へのルートは剱岳をご覧ください。
※立山三山縦走などのコースも参照してください。
大日三山
弥陀ヶ原の餓鬼の田
立山から奥大日岳〜大日岳〜大日平〜称名滝の動画
大日岳における立山修験
修験道の発祥の地とされる奈良県の金峯山。かつて大日岳は、立山における金峯山と称されていました。1893年(明治26年)に河合磯太郎と土井平作らは、他3人の案内人と共に大日岳に登り、山頂で頭部に二匹の龍頭を飾った錫杖を発見します。これを持ち帰って鑑定すると、平安時代のものであることが分ります。1907年に陸地測量部が剱岳山頂で発見した銅錫杖頭と同じ時代のものであったのです。
大日岳への入峰路は、現在の上市町に位置する磨崖仏で有名な真言宗大岩山日石寺や現在は曹洞宗に転宗した眼目山立山寺を拠点として上市川を遡るものでした。難所が続くこのルートからの大日岳は、修験者(山伏)にとっての行場であり、山頂から立山や剱岳を遥拝するための山であったということが出来ます。
一方、現在の立山町に位置する天台浄土教系列の宗教勢力の拠点であった芦峅寺や岩峅寺などの古刹を中心として、修験者を先達として一般の衆徒が登ったのが立山でした。その入峰路は、両寺から富山市を流れる常願寺川を遡って弥陀ケ原に出るものでした。地獄谷の存在と浄土山があることから、地獄信仰と山中浄土信仰が加わったものと考えられています。
大日岳に登った修験者たちは、山頂にある祠(石垣)に向かって「オン・アビラウンケン・バザラダンバン」(大日如来様、大いなる恵みを感謝します。)と真言を唱えます。 又、剱岳に向かって手を合わせ、不動明王真言「ナウマク・サマンダ・バザラダン・センダー・マカロシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カン・マン」(大いなる御加護を感謝します。)と唱えます。
大日岳の名前は大日如来が元になっていると言われ、大日岳そのものが大日如来(太陽)として信仰されていました。又、剱岳は、山そのものが大日如来の応身である不動明王として信仰されていました。
立山に登ったら「南無立山和光大権現」と手を合わせ唱えます。こらは立山全般における宝号で、光(御来迎)と和す(一体化する)という意味で、立山の霊験を称えています。
大日岳山頂周辺の気温
山頂気温 | 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高気温 | -9.0 |
-8.1 |
-3.5 |
4.4 |
9.8 |
13.2 |
16.5 |
18.2 |
13.1 |
6.9 |
0.6 |
-5.8 |
平均気温 | -13.0 |
-12.8 |
-8.9 |
-2.6 |
2.6 |
6.6 |
9.9 |
11.4 |
7.2 |
0.7 |
-5.0 |
-10.3 |
最低気温 | -17.0 |
-16.9 |
-13.7 |
-8.5 |
-3.5 |
3.1 |
5.6 |
6.5 |
2.7 |
-4.1 |
-9.5 |
-13.9 |
大日岳へ登るための装備と服装
装備・服装 | 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ツェルト | × |
× |
× |
× |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
× | ストック | ○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
スパッツ | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
○ |
手袋 | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
× |
× |
× |
× |
○ |
◎ |
◎ |
サングラス | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
△ |
△ |
△ |
○ |
○ |
○ |
◎ |
軽アイゼン | × |
× |
× |
× |
× |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
12本歯アイゼン | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
◎ |
ピッケル | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
○ |
テント | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
△ |
◎ |
画像一覧
エンマ台に火山ガス情報ステーションが建っています。ここから先、風向きによって強い火山ガスが上がってくることがあります。建物の左手に水道がありますが、火山ガスが強い時にはタオルを濡らして口に当てるために用意されています。
室堂乗越から望む右手のピークが奥大日岳の一角をなす最高点(2611mピーク)ですが、かつては稜線ルートがあり、同ピークを経由することが出来ましたが、現在では廃道になり、ピークの南側を巻く様に登って行きます。右手側には東大谷を挟んで聳える剱岳が望めます。手前の丸い山が2511mピークです。
2511mピークを越え、少し下った所がカガミ谷乗越です。奥大日岳の最高点・2611mピークは南側をトラバースする様に登っていきます。トラバースした先に僅かに小さなピークが見えますが、それが奥大日岳です。
称名川によって深く削られた谷の向こうに蛇のようにうねった立山道路が見えています。富山県側からアクセスする場合、富山地方鉄道立山線の立山駅で下車し、立山ケーブルカーに乗り換え、美女平から立山高原バスが立山室堂まで走っています。
三等三角点のある標高2606メートルの奥大日岳山頂は、深く落ち込んだ東大谷の先に巨大な岩塊の先端を天を突いて聳える剱岳の絶好の展望地です。ちょうど山頂直下には氷河によって出来たカールも認められています。
同じ位置から右手方向を望むと称名川の支流を流れ落ちるゴシャメンの滝が見えています。その右手に立山高原ホテルが立山道路沿いに建っているのが見えます。更に遠景の山は、右手の小高い山が天狗山、その左に国見岳、浄土山、立山と続いています。
大小様々な岩が林立した七福園です。この先の岩場に俗称「七福園岩屋」という小さな岩窟があります。1934年に修験者が使用したと思われる鐙や刀子が、1961年には平安期の須恵器破片などが発見されています。まさにこの場所は、富山県の岩峅寺・芦峅寺を拠点とした立山修験の修行の場であった事が分ります。
中大日岳からハイマツ帯の中をゆっくりと降ります。その鞍部にランプの宿・大日小屋が建っています。大日小屋から大日岳までは緩斜面を10分ほど登れば到着です。大日岳の南斜面をトラバースする様に付けられた称名滝に下る登山道が見えます。
収容人員は36名、相部屋2室のみ小さな山小屋です。立山や剱岳などの山域とは違い、登山者が比較的少ないコースに建つ山小屋ですが、収容人員が少ないため、事前予約をされることをお薦めします。電話番号: 090-3291-1579です。山荘にザックをデポして大日岳をピストンします。
立山修験の行場となった大日岳山頂には石で組んだ祠の様なものがあります。かつて修験者は、山頂の堂で目隠しをして三回堂巡りを行ったと言います。又、平安時代のものと思われる錫杖の頭部も発見されています。雲上に浮かぶのは薬師岳です。
大日平小屋から西方向に伸びた木道の道を下って行きます。ラムサール条約に登録された地域は広さ574ヘクタールで、火山活動によって出来た溶岩台地の上に広がる弥陀ケ原・大日平及びその間を流れる称名川からなっています。
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大日岳ルート地図
大日岳ルート概要情報
ルート | 8月13日 立山室堂(標高2,431m)⇒雷鳥平(標高2,265m)⇒新室堂乗越(標高2,384m)⇒室堂乗越(標高2,362m)⇒カガミ谷乗越(標高2,505m)⇒奥大日岳(標高2,606m)⇒七福園(標高2,480m)⇒中大日岳(標高2,500m)⇒大日小屋(標高2,422m)⇒大日岳(標高2,498m)⇒大日平山荘(標高1,765m)⇒大日岳登山口(標高1,064m)⇒称名滝(標高1,090m) |
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コースタイム | 立山室堂⇒大日岳 5時間10分 大日岳⇒大日岳登山口(称名滝) 3時間50分 |
駐車場 | 扇沢駐車場の詳細はこちら 称名滝バス停の手前に300台収容可能な駐車場 |
トイレ | 立山室堂バスターミナル、大日小屋、大日平山荘、称名滝 |
核心部 | 奥大日岳から中大日岳へ行く途中の鎖場 |
難易度 | [登山道(一般道)を10段階で表示 特に鎖場の岩登り] 2.5 |
飲料水必要量 | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:2.25リットル、体重60kgの人:2.93リットル、体重75kgの人:3.60リットル |
消費カロリー | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:4.185Kcal、体重60kgの人:5.441Kcal、体重75kgの人:6.696Kcal |
燃焼脂肪量 | 5Kgの荷物を背負う場合のダイエット効果 体重45kgの人:0.598kg、体重60kgの人:0.777kg、体重75kgの人:0.957kg |
標高差 | 距離 14.6km 最大標高差 1565m 平均斜度 全体:-9.2% 上り:11.9% 下り:21% 獲得標高 上り:593m 下り:1941m |
山小屋 | 大日小屋、大日平山荘 |
登山口までのアクセス |
扇沢までのアクセスの詳細はこちら 富山地方鉄道電鉄富山駅から立山駅 立山駅・立山バスセンターから立山黒部貫光バスで称名滝バス停 |
次はどこの山へ行こうかな。行きたい山がすぐに見つかる。
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