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浅間山登山ルート概要
日本百名山にふさわしい浅間山は、夏山ばかりか冬山も楽しめます。
冬山の一般的登山口は車坂峠です。トーミの頭への上りには、12本歯のアイゼンがあれば安心です。
トーミの頭から黒班山までは冬山登山入門コースとは言えるでしょう。
しかし、黒班山から先にはトレースが少なく、外輪山を縦走するにはピッケル・アイゼンは必携の経験者向けルートとなります。
登山コース案内
高峰高原(車坂峠)を登山口とする場合、広い駐車場と公衆トイレが完備し、小諸駅(佐久平駅)から路線バス(1日2〜4本)が
運行されています。
また、登山口近くの高峰高原ホテルや高峰温泉での日帰り入浴も魅力です。
浅間山荘を登山口とする場合、小諸駅(佐久平駅)からの路線バスに乗り、浅間橋で下車し、車道を1時間20分ほど歩かなければ浅間山荘に着きませんので、マイカーでのアクセスが便利でしょう。
浅間山荘の有料駐車場(1日500円)に車を停めることができます。
また、天狗温泉の赤茶色のお風呂に日帰り入浴も出来ますので、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
見どころは、トーミの頭から連なる第1外輪山(黒班山・蛇骨岳・仙人岳・鋸岳)の縦走と、浅間山直下の立入禁止警告板から前掛山へ至る第2外輪山からの眺望です。
2つのルートともに鎖場などの難所は無く、コースタイムも比較的短いので登山初心者向けコースと言えると思います。
2011年4月15日に噴火警戒レベルが一段階下がって最低の「1に」になりました。前掛山への登山が可能となりましたが、浅間山山頂の噴火口から約500mの位置にロープが張られ立入禁止なっています。
前掛山までは登れますから、そこから浅間山山頂を見ることができます。残念ながら原則、火口を覗き込むことはできません。しかし、登山道に張られたロープを乗り越え、噴火口に向かう多くの登山者がいるのも事実です。
現在でも火口からは噴煙が上がり有毒ガスが出ているので、立ち入り禁止区域内に入るのは危険を伴います。
2015年6月11日(木)15時30分に噴火レベルが「2」(火口周辺規制)に引き上げられました。そのため、火口から2km以内への立ち入りが制限され、前掛山に登ることはできません。
浅間山の天気
山の天気予報 有料月300円
tenki.jp+more
有料月100円
※ 無料の天気情報は、浅間山の天気ではなく、浅間山の周辺の市街地の天気情報です。そのため、天気が外れたと嘆くこともしばしばです。有料天気情報は山特有の気象条件を加味して予報しているので、予測精度が上がります。上記二つの天気情報を総合的に勘案して天気を予測すると下界では曇っていても稜線では晴れているということも予測することが可能です。
登山届の提出
長野県側から長野県のホームページで携帯やパソコンから出来ます。 群馬県側から群馬県警察へ
登山地図のスマホアプリ
山と高原地図のスマホアプリが昭文社から販売されています。月額版:料金月400円、通常版:地域1エリア500円。
噴火速報アプリ
日本気象株式会社が提供
お天気ナビゲータ(スマートフォン、形態、PC、メール) 噴火速報アラート(スマートフォンアプリ)
Yahoo!Japan が提供
Yahoo!防災速報
火山ガス/登山規制について
浅間山の噴火口
浅間山の噴火口の直径は約250m、火口底までの深さは約200mです。火口底の北東部分に窪みが確認出来ます。この日は僅かに噴煙が立ち上がりるのみで、火山活動が安定しています。
主な火山ガスは次の三つです。二酸化硫黄・硫化水素・二酸化炭素のすべてが人体に悪影響を与えます。風向きなどの気象条件によって滞留する場所が変化します。
特に、無風〜弱い風の時が要注意で、窪地(賽の河原など)に滞留しやすく、
火山ガスを感じたら、手遅れになる前に濡れタオルで口を覆い、直ちに下山することが肝要です。
登山前の風向きに関するお問い合わせ:気象庁軽井沢測候所 TEL0267-45-1304
火山及び登山規制に関するお問い合わせ:小諸市PH
経済部商工観光課 TEL:0267-22-1700
噴火と災害の歴史
浅間山は、コニーデ式三重火山で、太古の昔から噴煙が絶えることのない日本を代表する火山です。単一の火山では無く、黒斑火山、仏岩火山、前掛火山の三つから構成されており、約1万年1000年前の大爆発により東側半分が吹き飛ばされ、300平方kmもの裾野を火山岩や火山灰で埋め尽くしました。そして、カルデラの第1外輪山としてが残ったものが黒斑山・剣ヶ峰・牙山です。その後噴火が続き、東に小浅間山と南に石尊山が寄生火山として形成され、約700年前の大噴火でカルデラ内に中央火口丘や第2外輪山として前掛山・東前掛山が出来ました。
有史以降、西暦685年天武天皇の時代に噴火の記述が見えます。その後、大小の噴火を繰り返し、天明3年(西暦1783年)4月8日頃から大きな火山活動が始まり、俗に言う「天明の朝焼け」が始まりました。この噴火は、日本における近世史上最大の爆発だったとされています。同年8月4日に発生した吾妻(あがつま)火砕流は、北麓の広大な森林を飲み込んでしまいます。更に8月5日午前10時頃に起きた大爆発は、鎌原(かんばら)火砕流を発生させます。火砕流は浅間山の北麓を駆け下り、吾妻川を堰き止め、巨大なダムを作りました。次いで決壊し、多量の水が鉄砲水となり利根川に出て下流域の村落を襲いました。そして、鎌原火砕流発生直後に鬼押出(おにおしだし)溶岩が北側斜面を流れ下ります。これにより1500人を超える死者を出し、流出家屋1500軒にも及んだといいいます。その時の溶岩流が、現在の「鬼押し出し」として観光名所になっています。
こうした噴火は現在まで30回を超えると言われ、浅間山を取り囲むように広大な高原を形成しました。東に浅間牧場、南に追分原、西に高峰高原、北に六里ヶ原と広大な裾野を配置して、そのいたる所からどっしりと構えた山容を望めるだけに、多くの小説家や芸術家の題材になっています。
噴火関連施設
1.浅間火山博物館
「鬼押し出し」の中にあり、火山をテーマにした施設です。溶岩トンネルの中を入るとそこは失われた地底の世界。地底探査機 M S-A3に乗り込んで浅間山の生い立ちを疑似体験出来ます。
1階ホールには、レストラン白樺・レストランしゃくなげ・土産物を豊富に取り揃えたショップ・楽焼体験コーナーなどがあります。
2.鬼押し出し園
鬼押出し園は天明3年の浅間山大噴火の熔岩が固まった場所です。現在は多くの観光客でにぎわっています。園内を全部回ると約60分必要です。
3.鎌原観音堂-天明3年の浅間山大噴火で生死を分けた15段
【鎌原観音堂】
十一面観音菩薩を本尊とする鎌原観音堂(かんばらかんのんどう)は、鎌原村の西方の高台に建ち、村人の祈願所として大同元年(806年)に建てられたものです。
現在ある石畳と赤い橋の部分を掘り起こし、発掘した時の写真が右です。
天明3年(1783年)8月5日の午前10時30分頃、浅間山は大爆発を起こし、北側の鎌原村(現嬬恋村鎌原区)を大量の火砕流(鎌原火砕流・岩屑なだれ)が襲いました。土石層の厚みは6メートルに達したと言わています。鎌原村は、戸数百戸前後、人口570人ほどの浅間山北麓の拠点的な集落でしたが、村は一瞬にして埋没し、被災死亡者は477人、生存者は93人でした。生存者のほとんどが鎌原観音堂に避難した人々でした。
【鎌原観音堂の石段の発掘調査】
鎌原観音堂の石段は昭和54年の発掘調査により、階段は全部で50段があり、そのうち35段が埋没し、発掘調査の際、2人の女性(30代の女性が50代の女性を背負う形での白骨死体)が見つかみました。
生死を分けた15段までたどり着けたのに、おそらく5分ほどの差が2人の命を奪ってしまったのです。
鎌原観音堂の発掘調査の遺品や下記延命寺の出土品などが嬬恋村資料館に保管展示されています。
鎌原村の復興
近隣の有力百姓3人の世話役によって、生き残った村民のうち、夫や妻を失った男女で適当な組み合わせを作り再婚させ、また、子供を亡くした老人に親を亡くした子供を養子にするなどして、家族の再編が進められました。そして江戸幕府の援助により、村の再開発が進められました。4.延命寺跡-天明3年の浅間山大噴火で地中深く埋没
長歴3年(1039)創建と伝えられる延命寺は、鎌原観音堂から200mほど離れた場所にあります。当時、浅間山北麓の人々の間で浅間山自体を神格化した浅間大明神への信仰が広まっていました。名刹・延命寺は浅間大明神の別当寺としてその中心的な役割を果たしていました。
その延命寺は浅間山大噴火の際、地中深くに埋まってしまいます。昭和60年から6年間にわたり、延命寺の発掘調査を実施した結果、本堂・庫裏・納屋と思われる建物の存在を確認し、生活用品も多数発見されました。仏具や陶磁器などの品質の高さから、かなり高い生活水準だったことがうかがえます。
5.嬬恋郷土資料館
天明3年浅間山大噴火による”土石雪崩”によって埋没した鎌原村の延命寺跡から出土した品々やイタリアポンペイ遺跡噴火犠牲者の人型(レプリカ)などが展示され、視聴覚室では、天明3年の噴火の悲劇と浅間山の美しい自然を20分ほどにまとめた映像が随時流れています。
天明の大飢饉をもたらした大噴火
天明の大飢饉は日本最大の大飢饉とされ、天明2年(西暦1782年)から天明8年(西暦1788年)にかけて起こりました。
その原因は、天候不順による冷害で疲弊していた農村に、浅間山の大噴火が拍車を掛けたことによるものでした。成層圏まで達した噴煙は数年間上空に留まり、日射量の低下を引き起こします。それにより農作物に壊滅的な打撃を与えました。東北地方の農村を中心に全国での飢餓者は百万人を超えたといいます。
「アサマ」の語源と修験の山
「アサマ」の語源は明確には分かっていませんが、「火の山」を意味する一般名詞だったようです。富士山にも浅間神社、(「せんげん」と読む)がありますが、古くは「アサマ」と言っていたようです。九州の阿蘇山も同義ではないかと考えられています。恐怖を意味する「アソ」「オソ」が山名の語源になったようです。
北佐久郡軽井沢町追分にある浅間神社は、浅間山の遥拝の里宮として鎮座しています。「天明の浅間焼け」以来、近隣の人々が浅間山の怒りを鎮めるために信仰し続けてきた古社です。古くは湯ノ平に所在していたようですが、現在、火山館近くに浅間神社奥社として鎮座しています。浅間大明神を浅間山の神に例え拝んだようです。
又、追分宿から真直ぐ北に登ると石尊山があります。山中には血の池弁財天神社の小祠、血の滝不動尊、不動明王などの石仏、鉄格子で閉じられ中に入ることはできませんが、座禅窟の中にはおびただしい数の石仏が祀られています。
浅間神社里宮から東に約1.5kmほど行った所に遠近宮(おちこちぐう)があります。ここも、浅間山を正面から拝む遥拝所でした。 長野県北佐久郡御代田町塩野の真言宗智山派真楽寺は、かつて浅間山の別当寺で、神楽寺と呼ばれ山中にあったようです。
「上州浅間嶽虚空蔵菩薩略縁起」 によると、持統天皇9年(西暦695年)に、役行者小角が登拝したと記載されています。これは史実とは言いがたいですが、かつて浅間山は神仏習合の修験の山であり、多くの修験者によって登拝されるとともに、噴火による災害を鎮めるための信仰の山であったようです。
浅間山山周辺の気温
山頂気温 | 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高気温 | -6.6 |
-5.8 |
-1.7 |
5.3 |
10.0 |
12.5 |
16.1 |
17.3 |
12.6 |
7.1 |
2.1 |
-3.4 |
平均気温 | -12.1 |
-11.7 |
-8.1 |
-1.8 |
3.2 |
7.0 |
10.9 |
11.9 |
7.7 |
1.4 |
-4.2 |
-9.3 |
最低気温 | -17.3 |
-17.1 |
-13.7 |
-8.3 |
-2.8 |
2.7 |
7.3 |
8.1 |
4.2 |
-3.1 |
-9.3 |
-14.3 |
浅間山へ登るための装備と服装
装備・服装 | 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ツェルト |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
× |
× |
× |
△ |
○ |
○ | ストック |
× |
× |
× |
× |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
× |
スパッツ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
○ |
手袋 |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
× |
× |
× |
× |
○ |
◎ |
◎ |
サングラス |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
○ |
軽アイゼン |
× |
× |
× |
× |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
△ |
12本歯アイゼン |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
◎ |
ピッケル |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
◎ |
テント |
○ |
○ |
○ |
○ |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
△ |
△ |
浅間山の登山情報を共有しましょう
浅間山登山口までのアクセス(公共交通機関)
>>車坂峠へのアクセス
>>浅間山荘へのアクセス
浅間山の温泉宿・日帰り温泉
【高峰温泉】
特に、館内から外に出て、数分歩いて入る
露天風呂からの眺めは格別です。
夜は星の鑑賞会が開催され、望遠鏡をのぞきアンドロメダ大星雲などを見ることができます。
展望風呂・内風呂あり
無雪期
大人:500円 子供:400円
※冬季は雪上車の加算1,000円
〒384-0041 長野県小諸市高峰高原
TEL:0267-25-2000
【浅間山荘天狗温泉 】
単純鉄冷鉱泉の赤い濁り湯ですが、源泉温度が低いため沸かし湯です。内風呂のみで露天風呂はありません。 下山後の入浴にどうぞ。
入浴料:525円
入浴時間:AM11:00〜PM16:00 時間に変動有、要確認
長野県小諸市甲又4766-2
TEL:0267-22-0959
次はどこの山へ行こうかな。行きたい山がすぐに見つかる。
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