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層雲峡→黒岳→北鎮岳→大雪山(旭岳)→旭岳温泉ルート概要
層雲峡・旭岳温泉へのアクセス
【層雲峡へバスでアクセス】
道北バス
JR上川駅−層雲峡35分 10〜11往復、JR旭川駅−層雲峡110分 7往復、層雲峡・上川線 道北バス
※タクシー
JR上川駅にタクシーが常駐しています。
【大雪山層雲峡黒岳ロープウェイ/ペアリフト】
ロープウェイ・ペアリフト共に通年営業で、登山シーズンの6月1日〜9月30日間のロープウェイの営業時間は6:00〜18:00。10月1日〜10月15日は6:00〜17:00
黒岳ペアリフトの6月1日〜9月30日間の営業時間は6時30分から17時30分。10月1日〜10月15日は6:30〜16:30
詳細は大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイHP
【旭岳温泉へバスでアクセス】
旭川駅−旭川空港−旭岳温泉
旭川空港経由・旭岳線(いで湯号) 旭川電気軌道バス 1日4往復
【大雪山・旭岳ロープウェイ】
ロープウェイは通年営業で、季節、曜日などによって始発時間、終発時間が異なります。最も早い始発時間は6:00、最終(下り) 18:00 。
詳細は旭岳ロープウェイHP
登山コース案内
大雪山の主要縦走コースである層雲峡→黒岳→北鎮岳→大雪山(旭岳)→旭岳温泉は、表大雪の魅力が凝縮され、多くの登山者で賑わう銀座コースとなっています。
層雲峡の黒岳ロープウェイは、1967年(昭和42年)に、ペアリフトは1970年(昭和45年)に完成し、旭岳には1968年(昭和43年)にロープウェイが出来ました。
始発のロープウェイを使えば約7時間の縦走なので一日での縦走が可能です。午後3時頃の黒岳ロープウェイに乗っても黒岳石室に一泊すれば更に足への負担の少ない縦走となります。
黒岳ロープウェイから黒岳までの区間でははっきりとした高山植物の垂直分布が確認出来ます。黒岳山頂に登れば、大雪山の広さを感じずにはいられません。
黒岳石室は1923年(昭和12年)に建てられ、登山道も同時期に整備されています。あくまでも避難小屋なので充実した設備とは言いがたいですが、シェラフや毛布のレンタルがあるため食料を持参するだけで大丈夫です。黒岳石室で提供される水は天水なので要煮沸となっています。この縦走路の途中に2ヶ所の水場がありますが、共に雪渓から流れ出る水を使っているため、煮沸が推奨されます。
このコースできつい登りは、ペアリフトを降りて黒岳山頂までの標高差約400メートルの区間と旭岳東面の砂ザレた標高差約200mの急勾配の斜面です。それら以外は、概ねなだらかな登山道となっています。部分的に急斜面があるとはいえ、特に難易度は高くなく、登山初心者でも十分歩けるルートです。
雲ノ平を過ぎると、直径2kmに及ぶ荒涼とした御鉢平のカルデラに目を奪われます。
旭岳からは高根ヶ原の向こうにトムラウシ山や十勝連峰が連なり、贅沢な大展望が広がっています。
旭岳から下ると右手側から何やら轟音の様なものが聞こえてきます。地獄谷から立ち上る噴煙の音です。噴煙の迫力に魅了されながら下ると姿見ノ池に到着です。姿見ノ池周辺は遊歩道が整備され、登山者ばかりではなく、多くの観光客も訪れる名所となっています。
姿見ノ池湖畔に建つ旭岳石室は、1923年(大正12年)に建てられたもので、現在は再建され新しくなっています。この旭岳石室は緊急時のみの避難小屋で、通常の宿泊は禁止されています。
旭岳ロープウェイで下れば、旭岳温泉が待っています。もし時間に余裕があればロープウェイを使わずに歩いてみるのもいいと思います。天人ガ原の湿原も静かで一見の価値があります。
コース上の絶景スポットの動画
黒岳から望む北海岳、間宮岳、北鎮岳、旭岳。御鉢平。地獄谷の噴煙。
大雪山の動画
層雲峡の成り立ち
およそ3万年前、御鉢平で大噴火が起き、層雲峡一帯は大量の火砕流に覆われました。最大200mの層になりました。
内部では熱と圧力のためどろどろに溶け、冷えて固まる時、規則正しい柱状のひび割れが出来ました。(柱状節理)
火山灰の大地に大きな湖が出来ました。水はひび割れた割れ目に染み込み、滝や流れとなり、岩を削り取って行きました。
柱状節理の下部が石狩川に削られると、重さに耐えかねた岩が落ち、切り立った崖を作ります。長い年月の崩落を繰り返しながら層雲峡が作られました。
層雲峡温泉の名前が全国に知られるようになったのは、大正時代の文豪、大町桂月が紀行文で紹介したのがきっかけです。大雪山に登るためにこの地を訪れた彼は、当時アイヌ語で「ソウウンペツ」と呼ばれていた地名にちなんで「層雲峡」と名付けたのです。
登山口周辺の立ち寄りスポット
大雪山国立公園の自然と人々とのふれあいをテーマに、自然学習や自然体験の手助けを進め、自然環境保全を推進していくこと目的とする中核施設です。 直近の登山情報や高山植物の開花状況などが確認出来ます。ホームページでも確認する事が出来ます。
大雪山国立公園 層雲峡ビジターセンター
開館時間 6月〜10月 8時〜17時30分 11月〜5月 9時〜17時。
休館日 6月〜10月 無休 11月〜5月 毎週月曜日(祝祭日の場合は翌日)年末年始12月31日〜1月5日
電話01658−9−4400
層雲峡ビジターセンターのHP
層雲峡の銀河の滝と流星の滝
層雲峡は石狩川に沿って全長24kmの渓谷が連なる景勝地です。不動岩の右に落差約90mの太い流れで落ちているのが「流星の滝」、不動岩の左に白糸の様に繊細な「銀河の滝」。その対照的な姿から男滝、女滝の別名も付いています。北海道釧路紅葉の名所で、9月中旬から10月中旬が見ごろです。
二本の滝を同時に見るには、流星の滝・銀河の滝駐車場から国道39号線(大雪国道)を渡り、山道の遊歩道を15分ほど登った所の「双瀑台」展望台がお薦めです。
画像一覧
ロープウェイから見る柱状節理。巨大な彫刻にも見える柱状の奇岩。川上町の国道39号線沿いには荒々しい崖が繋がっています。お鉢平の噴火によって噴き出された火砕流は、最大200mの厚さに積もり、その内部は、熱と重さのためにドロドロに溶けました。これを溶結凝灰岩と言います。長い時間をかけて冷える時に、成分や温度などによって様々な形を作ります。層雲峡では、柱のように縦の割れ目が出来ました。
七合目登山口まで戻り、黒岳への登りが始まります。高山植物が登山道周辺に多く見られるジグザグの道を登って行きます。この周辺で見られるのはチシマノキンバイソウ、ハクサンチドリ、ウコンウツギ、マルバシモツケなどです。
黒岳石室が見えて来ました。黒岳石室は避難小屋ですが6月下旬から9月下旬まで管理人が常駐します。食事の提供はありませんが、シェラフ1000円、ガスボンベ700円で宿泊費用は2000円です。連絡先は01658‐5‐3031(黒岳ロープウェイ)。
黒岳石室を望遠で撮影。右手の青い建物がトイレ、中央が寝室棟と管理人室、左手の小さい建物も混雑時に使う寝室棟です。又、黒岳石室の周辺は豊富な高山植物(イワブクロ、チシマツガザクラ、チングルマ等)がお花畑を作り出す場所でもあります。
黒岳石室の寝室。カイコ棚式の寝室です。あくまでも避難小屋なので作りは簡素です。毛布は無料で借りれますが、板の間は固く寝心地は良くありません。テントマットを持参する事をお薦めします。別館も合わせると1人一枚の布団のスペース換算で約70名程が宿泊出来ます。
バイオ式公衆トイレ。北海道上川町の他、関係機関・団体が協力して清掃や設備維持管理を行っています。7月から9月の3ヶ月間で維持管理費用が約130万円程度かかります。そのため登山者に200円ほどの協力金をお願いしています。
バイオトイレ使用法として、トイレ使用後は、右手に置かれている自転車のペダルを前に20回転以上します。次に逆回転を10回以上行います。それにより便槽内の回転翼が回転することで糞便を攪拌しスムーズに便の発酵分解処理が行うことが出来るというわけです。
黒岳石室のテント場。約20張可能です。背景には大正10年、大雪山を踏破した大町桂月にちなんだ桂月岳です。彼は後に「富士山に登って山岳の高さを語れ。大雪山に登って山岳の大きさを語れ。余は大雪山に登って、まず頂上の偉大なるに驚き、次に高山植物の豊富なるに驚きぬ」と書き記しています。
黒岳石室から間宮岳へのコースは、北回りと北海岳を経由する南回りの二つのコースがありますが、今回はアップダウンが少ない北回りのルートを取ります。広大な雲ノ平の高層高原の台地を進みます。登山道は右手北鎮岳の「白鳥・千鳥の雪渓」の左手肩の部分へ登り上げています。
凌雲岳前に広がる台地状地形の雲ノ平に見られる構造土・多角形土が認められます。大雪山には、夏でも完全に溶けない土壌が多くあります。永久凍土と言われます。地表近くでは、地中の水分は冬に凍り、夏に溶けることを繰り返し、土壌が凍上・収縮・沈下することで石が動かされます。長い年月をかけて不思議な模様が出来ます。
御鉢平展望台から望む御鉢平は、約3万年前の大噴火の火口です。その際大量の火砕流が発生し層雲峡一帯を覆い、最大で200mの層となりました。ここで90度右手に折れ、御鉢平を反時計回りに進み、正面のピーク・間宮岳に向かいます。
間宮岳の一角からから御鉢平を写す。左手の高いピークが北鎮岳です。御鉢平のカルデラは直径2kmで昔は湖となっていました。中央に白い泥質の堆積したものが見られます。底は立入り禁止の有毒温泉で昔はクマも倒れていたと言わています。
姿見ノ池から地獄谷を望む。噴煙が上がる手前に噴気活動展望台があります。旭岳は、大雪山系で最後に出来た山です。誕生当時は今よりもっと高い位置に山頂がありましたが、500〜600年前の激しい爆発により山頂部が、手前側に大崩落し、火口内部が露出した現在の地獄谷の地形が出来ました。
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層雲峡→黒岳→北鎮岳→大雪山(旭岳)→旭岳温泉コース地図
層雲峡→黒岳→北鎮岳→大雪山(旭岳)→旭岳温泉コース詳細情報
ルート | 8月1日 黒岳ペアリフト降り場(七合目登山事務所)(標高1,510m)⇒黒岳(標高1,984.4m)⇒黒岳石室(標高1,953m)⇒北鎮岳肩の分岐(標高2,142m)⇒中岳(標高2,113m)⇒間宮岳(標高2,1857m)⇒裏旭キャンプ指定地(標高2,117m)⇒旭岳(標高2,290.9m)⇒大雪山旭岳ロープウェイ山頂駅・姿見(標高1610m) |
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コースタイム | 黒岳ペアリフト降り場(七合目登山事務所)→1時間5分-黒岳→3時間30分-旭岳→1時間47分-大雪山旭岳ロープウェイ山頂駅・姿見 合計:6時間22分 |
駐車場 | 層雲峡複数箇所に無料駐車場数百台。旭岳温泉無料駐車場約50台、旭岳ロープウェイ駐車場一日500円。 |
核心部 | 特に難しい所はありません。 |
難易度 | [登山道(一般道)を10段階で表示 特に鎖場の岩登り] 1 |
飲料水必要量 | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:1.59リットル、体重60kgの人:2.07リットル、体重75kgの人:2.55リットル |
消費カロリー | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:2.960Kcal、体重60kgの人:3.848Kcal、体重75kgの人:4.736Kcal |
燃焼脂肪量 | 5Kgの荷物を背負う場合のダイエット効果 体重45kgの人:0.423kg、体重60kgの人:0.550kg、体重75kgの人:0.677kg |
標高差 | 距離 11.9km 最大標高差 788m 平均斜度 全体:0.8% 上り:18.1% 下り:17.3% 獲得標高 上り:1029m 下り:916m |
山小屋 | 黒岳石室 旭岳石室 |
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