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表参道登山コース概要
登山コース案内
明治時代になって廃仏毀釈が起こるまでは神様と仏様を一緒に祀る神仏習合の信仰形態でした。深山に分け入り修行する修験道も仏教の一派として、明治5年に明治新政府により修験禁止令が出されたことで、修験道は禁止されます。
江戸時代までの金峰山は、全国各地から集まる多くの修験者によって登拝される霊山でした。甲州側からは9筋の登拝路があり、表参道の拠点として金桜神社が鎮座し、周辺には大きな門前町が形成されていました。現在でも金桜神社を訊ねると、門前町のあった場所に数件の宿坊がかつての姿を留めています。
金桜神社から奥御岳林道が黒平町の山林の中に通じ、甲府市森林浴広場まで一般車が入ることが出来ます。
水晶峠を経由して金峰山へ登る表参道(古道)ルートは、ロングコースになるため、今回は、川上牧丘林道沿いの「アコウ平」の駐車スペースに車を止め、ショートカットコースを辿ります。
昭文社の「山と高原地図」では破線扱いのルートになっていますが、約15m置きに赤札が付けられて、ルートを外す心配はまずありません。ただし、金峰山山頂からアコウ平へ下山ルートとして使う場合には、三薙沢のKK分岐が要注意箇所です。登山者の中にはKK分岐の指導標を見落とし、三薙沢をそのまま下り、水晶峠へ向かってしまうことも考えられます。
御室小屋は、かつて修験者が宿泊した所で、江戸時代には番所が作られ、入山料の徴収を行っていたようです。現在では廃屋となり見る影もありませんが、小屋の背後には金峰山の神体である五丈岩がはっきりと見て取れ、小屋を建てる場所として偶然にここを選んだとは思えません。
御室小屋のすぐ上から鶏冠岩の一枚岩の鎖場になりますが、ケイオウ谷側が切れ落ちているとはいえ、傾斜は緩く難易度は高くありません。このルートには隻手廻しの巨岩、鶏冠岩、勝手明神の祠、胎内くぐりなどがあり、修験道の行場として最適だったのではないでしょうか。
森林限界を超え、大きな石がゴロゴロした所を登り上げると、金峰山の神体である五丈岩(御像石)の南面の石垣が築かれた平坦地に飛び出します。現在、二基の石灯籠と石祠(金峰山神社)が祀られているのみですが、甲斐国志によると御像石の南面には蔵王権現を祀った方八尺の正殿と方三間の拝殿が建てられ、役小角が奉納したと伝えられる鉄杖と剣、唐銅(からかね)の経筒、薙鎌(なぎかま)などの神宝が納められていたといいます。
山頂から南方面を望むと富士山がよく見えます。又、瑞牆山の先には八ケ岳、南西方面に高山を連ねるのは南アルプス、北西方面には北アルプスの峰々が小さく見えます。
6月1日から11月31日までの間の土日祝日に限り株式会社栄和交通バスがJR塩山駅と大弛峠間を一日3往復走ります。事前に予約する必要がありますが、アコウ平での乗車・降車は可能です。アコウ平を登山口として金峰山から朝日岳を経由して大弛峠へ下る、或いはその反対のコース設定も可能です。
画像一覧
川上牧丘林道から望む金峰山。かつて修験道の入峰修行の表参道があった尾根が見えています。山梨県側から入る場合、川上牧丘林道は6月1日に乙女湖の少し上にあるゲートが開きます。大弛峠まで通行可能期間は11月31日までです。
大弛峠まで約5.7km地点の「アコウの土場」。川上牧丘林道の左手側に10台ほどの駐車スペースがあります。カーブミラーに「アコウの土場」と小さな案内板が付けられています。林の中に入る直前にアコウ平・金峰山と書かれた指導標があります。
三薙沢へ入る所の木り付けられた指導標。左手の薄い文字の案内板は関東甲信C野営会・林道整備ボランティア部によるものでKK分岐と書かれています。金峰山からこのルートを使いアコウ平へ下山する場合、「水晶峠・黒平町、牧丘・塩山」と書かれたプレートを見落とすと、金桜神社のある御岳町へ下ってしまいますから要注意です。
鬱蒼と茂ったネズコ(クロベ)の原生林をゆっくりと登ると御室小屋です。小屋の背後の木に邪魔されてはっきりと見えませんが、五丈岩が確認出来ます。明治5年に修験道禁止令が出るまで、入峰修行の霊山として全国から修験者が集まり、金桜神社を拠点する表参道の中継点となる重要な役割を果たしていた所です。
廃屋となった御室小屋。江戸時代、御室の地には番所があって登拝者は参銭(入山料)を支払う必要があった様です。全国の山伏は、この地に集まり、6月15日を峰入りの初日として修行を始めたと言います。近くに水場があるようですが、枯れているため確認出来ませんでした。
一枚岩の鎖場を登り切った所から振り返って撮影。ケイオウ谷側が切れ落ちていることが分ります。修験道の行場として、鶏冠岩、勝手明神の祠、胎内くぐりなどがあり、金峰山の他のルートにはない難所を克服して山上に至るため、最適ではなかったでしょうか。
前写真の位置から隻手廻し岩を望遠で撮影。現在の位置からケイオウ谷側(左手側)へ一旦20mほど降り、トラバース気味に進んだ後、右手の三薙沢側に回り込みます。そして、アズマシャクナゲの群落が密度を増す中を進みます。隻手廻し岩の直下から急登になります。
稜線の左側から巻きながら登ると隻手廻し岩の基部に出ます。その一角に小さな岩を祠に見立て、その前に木札が奉納されています。それには、平成22年10月22日、甲斐金峯山登拝修行之碑、成田山東東京別院深川不動堂と記されています。
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表参道コース地図
表参道登山コース詳細情報
ルート | 川上牧丘林道アコウ平駐車スペース(標高1,950m)⇒御堂川・荒川出合(標高1,824m)⇒御室小屋(標高1,930m)⇒金峰山(標高2,599m) |
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コースタイム | 登山:表参道⇒乾徳山 2時間40分 下山:金峰山⇒表参道 2時間20分 |
駐車場 | 川上牧丘林道アコウ平に約10台ほどの駐車スペースがあります 【公衆トイレ】無し |
核心部 | 一枚岩の鎖場 |
難易度 | [登山道(一般道)を10段階で表示 特に鎖場の岩登り] 3 |
飲料水必要量 | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:1.27リットル、体重60kgの人:1.66リットル、体重75kgの人:2.04リットル |
消費カロリー | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:2.376Kcal、体重60kgの人:3.088Kcal、体重75kgの人:3.801Kcal |
燃焼脂肪量 | 5Kgの荷物を背負う場合のダイエット効果 体重45kgの人:0.339kg、体重60kgの人:0.441kg、体重75kgの人:0.543kg |
標高差 | 距離 3.7km 最大標高差 791m 平均斜度 全体:17.7% 上り:30.8% 下り:14.1% 獲得標高 上り:771m 下り:141m |
山小屋 | 大弛小屋 金峰山小屋 |
登山口へのアクセス | 川上牧丘林道アコウ平駐車スペースへのアクセスの詳細はこちら |
次はどこの山へ行こうかな。行きたい山がすぐに見つかる。
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