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雲取山・登山ルート概要
雲取山山頂は東京都、山梨県、埼玉県の都県境に位置し、東京都で唯一、一等三角点があり最高峰でもあります。妙法ヶ岳(標高1332m)、白岩山(標高1921m)とともに三峰山(みつみねさん)三山の一つです。また、三峰山は山岳宗教の霊場として三山を背景とする三峯神社を指す場合があります。
標高2,017mの雲取山は、関東からのアクセスがいい為、通年を通して多くのハイカーで賑わいます。
日本百名山にも選ばれ、多くの登山道が山頂に通じているため、技量、体力によって通年登れるのが魅力です。ただ、数多くの登山口があるものの、どこを起点として登ってもコースタイムが長く、健脚者でなければ日帰りは難しいでしょう。
山頂の30分下に雲取山荘がありますから一泊の行程を組めば登山初心者にもやさしいルートになります。 山頂からの展望は良く、特に富士山が美しく望めます。
登山コース案内
ここでは最も代表的な三峰ルート、鴨沢ルート、三条の湯ルートの三つを紹介します。
鴨沢ルート
バスの本数が最も多くアクセスがいいのが鴨沢ルートです。
標高差1,467mで雲取山山頂まで5時間ほどかかるため日帰りはやや困難でしょう。
コース全体に危険個所は無く、積雪時期にもよく踏まれています。
一方で樹林帯の中の単調な登りが、七ッ石小屋辺りまで続く退屈なコースで、ブナ坂まで登ってようやく展望が開け、稜線上に登山道が山頂まで伸びています。
マイカーの場合には鴨沢の加茂神社の脇から林道に入り、約60台駐車可能な無料駐車場に停めるのが便利です。国道411号線沿いの鴨沢バス亭前にある駐車場は12〜13台と狭く、土日には一杯となることがほとんどです。
三峰ルート
三峰ルートの登山口の標高は1,040mで、三ルート中最も高い所にあり、標高差は977mと少なく、雲取山を日帰りするには最も適したコースです。
霧藻ヶ峰休憩所を過ぎた辺りからは、痩せた稜線上を適度なアップダウンの繰り返しが続き、変化に富んで楽しい所です。
芋ノ木ドッケから30分くらい歩くトラバース区間は、11月から4月下旬まで路面凍結して滑落事故が起きやすい所です。(谷側の傾斜はきつくありません。)
積雪期には冬山装備を十分して臨んでください。
三条の湯ルート
三条の湯ルートは後山林道が通行できれば、最も最短で登れるルートですが、林道が崩壊工事のため通行止めになることが多く、確認が必要です。
道路状況の詳細は奥多摩ビジターセンターで確認してください。
後山林道が通行できても、道幅は狭く、谷側にガードレールが設置されていない個所が多いため、運転熟練者向きです。
林道終点近くに約10台の駐車スペースがあります。
三条の湯は風情のある所で、宿泊に使ってもよし、下山時に渓流を眺めながら入浴するのも一興です。
複数人のグループの場合、山小屋の送迎がありますので、電話にて確認してください。
三条の湯から南方向に向かうトラバース箇所は冬季凍結する所で、積雪時期にはあまり踏まれていません。
登山届提出
山梨県警察 郵送、電子メール、ファックスなので提出可能です。
埼玉県警察
東京都は青梅警察署へ
登山地図のスマホアプリ
山と高原地図のスマホアプリが昭文社から販売されています。月額版:料金月400円、通常版:地域1エリア500円。
雲取山の天気
山の天気予報 有料月300円
tenki.jp+more
有料月100円
※ 無料の天気情報は、雲取山の天気ではなく、その山の周辺の市街地の天気情報です。そのため、天気が外れたと嘆くこともしばしばです。有料天気情報は山特有の気象条件を加味して予報しているので、予測精度が上がります。上記二つの天気情報を総合的に勘案して天気を予測すると下界では曇っていても稜線では晴れているということも予測することが可能です。
山岳霊場としての三峯神社
三峯神社の創建について資料がなくほとんど分かっていない。三峰山の「縁起」には、「天武天皇3年(西暦699年)、伊豆に流されていた役小角(えんのおづの/おづぬ)が三峰修験の開祖となった。」と記載されている。しかし、同じような伝承が全国にも多数あり史実とは言い難い。何れにしても、平安時代に修験道が広がりを見せる中、三峰山(雲取山・妙法が岳・白岩山)も神仏習合の山岳修験の霊場として開かれていたと思われる。
三峯神社の建つ秩父地方は、山間の中にひっそりとたたずむ集落をイメージするが、時代を遡れば、交通の要所となっていて、縄文時代から一大文化圏を形成していた。縄文時代の生活に欠かせない黒曜石の交易などに、全国に交通網が出来上がっていたようで、少なくとも信濃の国や甲斐の国と北武蔵とを結ぶ奥秩父の山中を抜ける古道は、奈良時代には既に通じていたことが分かっている。 武州から雁坂峠を越え甲州へ通じる秩父甲州往還は、栃本の関所で十文字峠、雁坂峠、三国峠へと3方向に分れていた。これらの峠越えの道は、信州や甲州の人々にとって三峯神社への参拝道としても重要であった。
鎌倉時代、三峯神社は関東の武将たちの信仰を得て隆盛したと見られるが、後村上天皇の正平7年(西暦1352年)新田義興・義宗等が、足利氏を討つべく兵を挙げ鎌倉を制圧したが、足利氏はすぐさま反撃に出て、義宗等を撃退する。義興・義宗等は三峰山に籠って抵抗するが、足利氏の怒りにふれて、三峯神社は社領を奪われ、衰亡の時代が140年も続くことになる。
荒れ果てた三峰山は、室町時代後期の文亀2年(西暦1502年)に修験者の月観道満僧都によって中興される。復興されたのは社殿ばかりでは無く、三峯神社の別当寺であった十一面観音像を本地仏とする観音院高雲寺も同様である。明治元年の神仏分離令に伴う廃仏毀釈までは、神仏習合であり、三峯神社は観音院高雲寺の僧侶によって管理されていた。
江戸時代には徳川家や各大名の信仰を得ることになったが、18世紀の初め頃一時的に衰退する。享保6年(西暦1721年)に再中興したのが日光法印である。日光法印は秩父の山中に棲息する狼を、山の神として猪などから農作物を守る「お犬」としてお札を作り、それを貸し出すこと始める。このアイディアが大当たりし、三峯神社の名は全国に知れ渡ることになる。そして多くの禅定者が集まり、奥の院である雲取山へも登拝されたものと思われるが、痕跡は残されていない。
参照:名山の民俗史
※秩父甲州往還-秩父大宮(秩父市)から荒川渓谷沿いに秩父盆地を横断し、雁坂峠を越えて甲州に入り甲府に至る街道である。
※中興-一度衰えていたり途絶えた物を復興させるという意味。王朝や寺院を復興させた人物に「○○(宗)中興の祖」などのように付けられることがある。
※本地仏-この世の神々は,人間を救済し済度しようとする仏や菩薩がいろいろな姿であらわれた化身,すなわち垂迹(すいじやく)身であるとし,その根本である仏・菩薩のことを本地仏という。仏も神も淵源をたずねるとみな同体であるという考え。
※廃仏毀釈-仏教寺院・仏像・経巻を破毀し、僧尼など出家者や寺院が受けていた特権を廃することを指す。
パワースポットの三峯神社
最近では、パワースポットブームが盛んで、三峯神社は関東屈指のパワースポットとして人気がある。山々の強い気が流れ込む場所が、神社内各所にあるとされています。また、三峯神社は願望実現、仕事運、金運、あらゆる厄災を祓い、開運成就を遂げられるように御祈祷を行っている。
雲取山山頂周辺の気温
山頂気温 | 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高気温 | -0.4 |
0.9 |
4.8 |
11.3 |
15.6 |
18.3 |
21.8 |
23.4 |
18.9 |
12.7 |
7.2 |
2.0 |
平均気温 | -6.7 |
-5.3 |
-1.5 |
4.4 |
8.9 |
12.4 |
16.0 |
17.0 |
13.1 |
6.9 |
0.8 |
-4.4 |
最低気温 | -11.7 |
-10.5 |
-6.9 |
-1.4 |
2.2 |
7.9 |
11.9 |
12.8 |
9.0 |
2.3 |
-4.2 |
-9.4 |
雲取山へ登るための装備と服装
用具・装備 | 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ツェルト |
○ |
○ |
○ |
△ |
△ |
× |
× |
× |
× |
△ |
△ |
○ | ストック |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
スパッツ |
◎ |
◎ |
◎ |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
○ |
手袋 |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
△ |
× |
× |
× |
× |
○ |
◎ |
◎ |
サングラス |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
軽アイゼン |
○ |
○ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
○ |
12本歯アイゼン |
△ |
△ |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
△ |
ピッケル |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
テント |
× |
× |
× |
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× |
× |
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