日本アルプス登山ルートガイド > 百名山と日本の山々 > 高妻山>弥勒尾根新道から高妻山〜乙妻山
弥勒尾根から高妻山〜乙妻山コース概要
登山コース案内
戸隠牧場から五地蔵山近くの六弥勒へ通じる弥勒尾根新道ルートは、長野市が2014年6月6日付けで正式に北信森林管理署から借受け、整備を行いました。それまで昭文社の「山と高原地図」では破線扱いのルートでしたが、現在では整備が進んだ事で危険箇所はなく、大変歩きやすいのが特徴です。一方で、樹林帯の中の急登で退屈する一面もあります。
登山口となる戸隠バードラインの戸隠キャンプ場には長野バスターミナルから1日9〜11本のバスが通じています。マイカーの場合には戸隠バードライン沿いの無料駐車場に停めることになりますが、戸隠牧場の入口近くに約20台の駐車場があります。戸隠キャンプ場を使用する場合には無料になりますが、登山者は一日500円支払えば使用出来ます。土日を除きほとんど空いているので、無料で停められそうですが保証は出来ません。
6月10日時点の様子を紹介します。牧場のゲートを抜けると、ブナ、ヤマモミジ、トチノキ、サワラなどの樹林帯になります。所々で緩斜面になるもののほぼ急登が五地蔵山近くの六弥勒分岐まで続きます。五地蔵山近くになると展望が開け、妙高山・火打山・焼山などの頸城三山が右手前方にはっきりと見えてきます。振り返ると飯縄山や黒姫山もほぼ目線の高さに見えます。
六弥勒で戸隠山からのルートを合わせ、七薬師、八観音、九勢至が祀られた小ピークを通過すると、森林限界を超えた登山道沿いには、紫色や数は少ないが白色のタイプのシラネアオイが彩りを添えています。
八丁ダルミの鞍部から十阿弥陀が祀られた高妻山南端までの区間は根曲り竹を切り開いた登山道が一直線に登り上げます。6月上旬時点で、前年の雪によって土砂崩れを起こした部分もありますが、概ね安全に登ることが出来ます。5月までは残雪が残るので、12本歯アイゼンとピッケルを使っても斜度35度を超える斜面もあるのでかなり難易度が上がると思います。
急な登りが終わると稜線上の平坦な道が現れてきます。安山岩が累々と重なった岩場が100メートルほど続く南端に十阿弥陀が祀られ、北端に道標の立つ高妻山山頂があります。
高妻山から乙妻山の往復は1時間30分を見れば大丈夫です。高妻山山頂と十一阿しゅく間にはギャップがあり、西側は、鋭く切れ落ちています。高度感はあるものの山側を辿れば安全に通過出来ます。登山道のササは刈り取られルートははっきりしています。6月上旬では十二大日の道標が立つ「熊の平」は残雪ですっかり覆われています。残雪の中を乙妻山へ真っ直ぐ進み、低木化したダケカンバとハイマツの間を登り上げると小さなスペースがある乙妻山山頂に到着します。山頂には13番目の仏である十三虚空蔵(虚空蔵菩薩)の石祠が祀られています。
山頂からは360度の展望が開けて、北アルプス、頸城三山、雨飾山が取り囲むように見え、鋸の歯の様なギザギザな山容の本院岳・西岳の戸隠山へ伸びる稜線が間近に見えます。乙妻山から望む高妻山はピラミダルな形で荒々しく峻立しています。
弥勒尾根から高妻山〜乙妻山コースの「高山植物」
![]() シラネアオイ |
![]() ショウジョウバカマ |
![]() ハクサンイチゲ |
![]() カタクリ |
![]() サンカヨウ |
画像一覧
戸隠牧場駐車場。戸隠キャンプ場ウェルカムハウスから約15分ほど歩くと約20台の駐車場があります。基本的に戸隠キャンプ場使用者は無料ですが、登山者は一日500円かかります。平日は無料開放している様子ですが、確証は取っていません。
戸隠牧場のゲートを入り、右手に管理等があります。登山届は、ここに出します。遠景に右手から五地蔵山から戸隠山の九頭龍山へ連なる稜線です。オートキャンプ、バンガロー、コテージなどの宿泊施設。ふれあい動物園、乗馬体験、川遊び魚釣り、昆虫教室などのアウトドアが楽しめます
戸隠牧場の北西端を北東方面に進みます。菜の花の先に見える五地蔵山へ向かって伸びる弥勒尾根に取り付きます。弥勒尾根ルートは、長野市が2014年6月6日付けで正式に北信森林管理署から借受け、整備をしました。
前写真の位置から振り返ると飯縄山(飯綱山)がよく見えます。飯縄山の山腹には戸隠スキー場、左手下方に青く光る湖は「古池」で、5月中旬にはミズバショウ、5月下旬には湿地や浅い水中に生えるミツガシワが白い花を咲かせます。
登山道から右手前方には頸城三山の一つ妙高山が雲間から山頂が覗いています。その左手にはまだ多くの残雪を頂いた火打山が見えています。右手の黒姫山と頸城三山、高妻山によって作られた三角形状のくぼ地は「笹ヶ峰」で、火打山への登山口になっている場所です。
東方面を望むと黒姫山が見えます。コニーデ型火山の山容を持ち、オオシラビソ・コメツガの原生林に覆われた登山道は趣深く、標高2053メートルで、森林限界を超えていないとはいえ、山頂部からの展望は優れています。
標高1998メートルのピークにひっそりと置かれた六弥勒の石祠。石祠の中に奉納された木札には平成22年熊野修験 奉修行信濃国高妻山入峰天下泰平如意祈修 7月吉祥日 那智山青岸渡寺と銘があります。熊野三山(熊野の本宮・新宮・那智の3社)を信仰している修験者によるものであろう。
高妻山が大きく迫ってきます。しかしここから更に300mの標高差を登らなければなりません。八薬師(八観音)から残雪の脇を30メートルほど下り、登り返した所が九勢至の石祠がある小ピークです。高妻山の山頂は正面の丸く見えるピークより更に狭い稜線を7分ほど進んだ先にあります。
三角点のある北端は、戸隠連峰の最高峰である標高2353mの高妻山山頂。眼下の標高の低い山並みは奥西山で、その山腹に水芭蕉の群生地で有名な奥裾花自然園があり、その先に後立山連峰の白馬岳を中心とした山域がよく見えます。
高妻山から乙妻山へ向かいます。北端からギャップを超えます。灌木の急坂を下り、岩壁の脇を登り返します。往復はそれぞれ40分ほど見ておけば大丈夫です。右端に火打山、その左に焼山、金山、雨飾山と、まだ、多くの残雪をいただいた頸城三塊が峰々を連ねています。
登り返しの上部はスラブ状の岩場で、幅1メートルほどあります。山側を登れば問題ありませんが、所々に浮石があり、スリップ転倒して谷側に落ちれば命はありません。山頂直下で右手側にトラバース気味に回り込みます。
ギャップから登り返してトラバースし、少し登った所の小ピークに十一阿しゅくの石祠が祀られています。阿しゅく如来は、七回忌のご本尊で、向上心を起こすこと、悟りを目指す揺るぎない気持ちを持ち、不動の菩提心と三毒(貪・瞋・痴)の心を鎮めてくれるといわれる仏です。
高妻山と乙妻山の最低鞍部が日本庭園の熊の平。残雪の中を進みます。傾斜は緩いのでアイゼンの必要はありません。残雪が消えると鞍部には小さな湿原が出現し、様々な高山植物が咲きます。その脇に十二大日の道標が現れます。
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高妻山登山地図
弥勒尾根から高妻山〜乙妻山こース詳細情報
ルート | 戸隠キャンプ場 (標高1,117m)⇒五地蔵山(六弥勒)(標高1998m )⇒七薬師 (標高1,979m)⇒八観音 (標高2,053m)⇒九勢至 (標高2,049m)⇒十阿弥陀 (標高2,350m)⇒高妻山 (標高2,353m)⇒十一阿しゅく (標高2,317m)⇒十二大日(熊の平) (標高2,245m)⇒乙妻山 (標高2,318m) |
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コースタイム | 戸隠キャンプ場⇒高妻山 3時間30分 高妻山⇒乙妻山 40分 合計 4時間10分 乙妻山⇒高妻山 45分 高妻山⇒戸隠キャンプ場 2時間55分 合計 3時間40分 |
駐車場 | 戸隠キャンプ場(戸隠バードライン沿い)に無料駐車場 (100台)、【トイレ、水道】あり |
核心部 | 難しい箇所はありません |
難易度 | [登山道(一般道)を10段階で表示 特に鎖場の岩登り] 戸隠キャンプ場〜高妻山 2 高妻山〜乙妻山 3 |
飲料水必要量 | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:1.957リットル、体重60kgの人:2.544リットル、体重75kgの人:3.132リットル |
消費カロリー | 5Kgの荷物を背負う場合 体重45kgの人:3.640Kcal、体重60kgの人:4.733Kcal、体重75kgの人:5.825Kcal |
燃焼脂肪量 | 5Kgの荷物を背負う場合のダイエット効果 体重45kgの人:0.520kg、体重60kgの人:0.676kg、体重75kgの人:0.832kg |
標高差 | 距離 7.4km 最大標高差 1179m 平均斜度 全体:15.4% 上り:22.9% 下り:7.9% 獲得標高 上り:1259m 下り:131m |
山小屋 | 一不動避難小屋 |
アクセス(戸隠キャンプ場 ) |
JR長野駅バスターミナル⇔戸隠キャンプ場 アルピコ交通1時間17分 1400円 一日10本 |
温泉 |
戸隠神告げ温泉湯行館 電話026−254−1126 戸隠神社中社の近くにあり、露天風呂無しですが休憩施設は充実しています。入浴料600円、営業時間:午前9時から午後8時30分 |
次はどこの山へ行こうかな。行きたい山がすぐに見つかる。
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