日本アルプス登山ルートガイド > 百名山と日本の山々 > 丹沢
丹沢登山・ハイキングルート概要
日本百名山の丹沢は、神奈川県の西部から山梨県にまたがる山域の総称です。大山、塔ノ岳を中心とした東丹沢と畦ヶ丸(あぜがまる)、檜洞丸(ひのきぼらまる)などの西丹沢に分ける事が出来ます。また、表丹沢と裏丹沢に区別されることもあります。
丹沢は手軽なハイキングコースからアップダウンの激しい尾根歩き、主稜線を歩く縦走コースなど変化に富んだ山域です。また、各所に渓谷が発達し、滝や岩を登る「沢登り」が日帰りで出来ることもあって、関東からの入渓者達に親しまれています。
最高峰は標高1,630mの蛭ヶ岳(ひるがたけ)ですが、塔ノ岳(標高1591m )が丹沢の主峰と呼ぶにふさわしいと思います。また、大山阿夫利神社への大山参りで知られる大山も丹沢の盟主の一つに数えられます。
登山コース案内
山域全体が森林限界を超えないため樹林帯の中を歩くことになりますが、その中でもヤビツ峠から三ノ塔・行者ヶ岳・塔ノ岳に連なる表尾根と塔ノ岳から丹沢山を経由して蛭ヶ岳に通じる丹沢主脈は視界が広がる明るい尾根で、展望を楽しみながらのハイキングが出来ます。
登山初心者には大倉尾根を通り、塔ノ岳へのコースがおすすめです。危険個所は無く、登山者も多いので安心です。
塔ノ岳山頂からは丹沢全体を見通せる展望があります。
最もおすすめな登山ルートは前述したヤビツ峠から塔ノ岳に連なる表尾根で、三ノ塔をはじめ展望良好なピークが続き、大きなアップダウンの中には鎖場あり、やせ尾根あり、なだらかな遊歩道の様な所もありと変化に富んだ山行を楽しむ事の出来るルートです。
鍋割山へは大倉から後沢乗越を経由するルートが一般的ですが、ここでは寄(やどろぎ)からくぬぎ山を通るルートを紹介します。
大山へはケーブルカーが使えるため山頂まで1時間20分ほどの行程です。ここでは見晴台を経由して下社駅まで下山するルートを紹介します。
標高が低い為、夏のシーズンは気温が高い上、蛭が出るということで登山者の数は少なく、ベストシーズンは4月中旬から梅雨入りするころまでと、10月の紅葉の時期ころから次第に登山者の数が増してきます。
雪が降る季節になっても鍋割山の鍋割山荘、塔の岳の尊仏山荘、みやま山荘、蛭ヶ岳の蛭ヶ岳山荘は通年営業を行っているため、冬山登山の初級コースとして人気が高く、山小屋は多くの登山者で賑わいます。
登山地図のスマホアプリ
山と高原地図のスマホアプリが昭文社から販売されています。月額版:料金月400円、通常版:地域1エリア500円。
丹沢の天気
山の天気予報 有料月300円
tenki.jp+more
有料月100円
※ 無料の天気情報は、丹沢の天気ではなく、その山の周辺の市街地の天気情報です。そのため、天気が外れたと嘆くこともしばしばです。有料天気情報は山特有の気象条件を加味して予報しているので、予測精度が上がります。上記二つの天気情報を総合的に勘案して天気を予測すると下界では曇っていても稜線では晴れているということも予測することが可能です。
登山届提出
神奈川県警察へ。電子申請が出来ます。
ヤマビルに注意
ヤマビルの活動期間は5月〜11月の間で、特に雨天時、雨天後の蒸し暑い日は人間、動物の吐く息や体温を感じ取り、尺取り虫のように接近し、
吸着、吸血します。
普通に登山道を歩いていても、地面にいるヤマビルが登山靴に取り付き、次第に上まで這い上がり、衣類の隙間から足の皮膚に吸着して血を吸います。
ヤマビルの生命力はものすごく、つぶそうとしても簡単にはつぶせません。
大量のヤマビルが靴の周りに取り付き、除去は困難ですから、
ヤマビルが活動を活発化する時期は、登山を控えるのが賢明です。
それでも登山したい方は荒塩を靴や靴下に塗るか、「ヤマビルファイター」を吹き付けるかしてください。また登山中は荒塩や塩水スプレーを持参し、ヤマビルが吸着したら荒塩などをふりかけ除去してください。
ヤマビルが多くなってしまう原因として、鹿・猪などの生息数が増えすぎた事が一つの要因になっています。神奈川県秦野市(森林づくり課)では、ヤマビルを媒介する野生動物(シカ、イノシシなど)が入り込まないようにした「シカ柵区」を設けたり、下草刈りや枝打ち・間伐などを施した「落葉かき区」などの施策を行い、その有効性を確認しています。
丹沢修験の歴史
丹沢山地は古来より山岳宗教と深い関わりがあり、山伏など修験者の霊場でもありました。そのため、山岳や地名には仏果山、経ヶ岳、華厳山、行者ヶ岳、尊仏山(塔ノ岳)、毘盧ヶ岳(蛭ヶ岳)、大日岳など、仏教・修験道にちなんだ名前が多く残っています。
江戸時代の丹沢には、大山修験、八菅修験、日向修験という一山組織が存在していました。山伏達による「峰入り」が行われ、多くの行場が丹沢山地一帯に広がっていました。日向山伏は、現在登山コースとして人気の高い丹沢表尾根を通り、主脈を縦走する峰入りコースを「役行者のお通りの跡」と書き残しています。役行者の行法を元に修行していたことが分ります。
※役行者「役小角」は、七から八世紀の宗教者で、修験道の祖として神格化されるようになった人物です。
中世の大山修験の開祖は大山寺を開山した「良弁」とされています。当時の修験道は、役行者ではなく良弁の行法で修行に励んでいたようです。これは、修験道が全国に広がる以前の修験者の姿でもありました。
しかし、明治元年に発布された神仏分離令による廃仏毀釈と明治5年(西暦1872年)の修験道廃止令によって修験道は禁止され、山岳宗教は廃れて行くことになります。明治新政府は、神道と仏教とが一緒に信仰されていた神仏習合を廃止し、国家神道を宗教政策の基本に据えました。それにより日本各地の寺は廃寺となり、多くの貴重な資料が焼却・破棄されて失われてしまいました。
参照:名山の民俗史
丹沢登山口周辺の温泉
かくれ湯の里・中川温泉・湯本 信玄館
武田信玄の隠し湯と知られる中川温泉・信玄館です。西丹沢を流れる中川沿いにあり、檜洞丸や蛭ヶ岳と言った丹沢主稜を歩くための登山口は、5km程バス通りを登った所にあります。
景観豊かな大浴場と露天風呂は開放感に溢れ、3ヶ所ある貸し切り風呂はそれぞれに異なった趣向を醸し出しています。泉質はpHが10と非常に高く、肌触りがとても滑らかで、飲泉もできます。
信玄館の大浴場 ”夢幻の湯”
サウナを備えた大浴場の外に展望露天風呂があります。
信玄館の ”展望露天風呂”
中川の渓谷を見下ろす位置にあり、ジェットバスが完備されています。
信玄館の露天風呂 ”千石の湯”
露天岩風呂「千石の湯」は、渓流“中川”のせせらぎをより間近で聞き入ることができる露天風呂です。
信玄館の無料貸切風呂「丹青(たんせい)の湯」
バリアフリーの無料貸切風呂「丹青(たんせい)の湯」。御影石造りの手すりとシャワーチェアを備えております。
信玄館の無料貸切風呂「水光(すいこう)の湯」
檜造りの樽形の無料貸切風呂「水光(すいこう)の湯」。
湯船には、四季の彩りを映します。
丹沢登山口周辺の景勝地
洒水(しゃすい)の滝
「日本も滝百選」「全国名水百選」に選ばれている名瀑です。雄大なその姿は三段から成り、落差は一の滝は69メートル、二の滝は16m、三の滝は29メートルあります。古くから相模の第一の滝とされています。
洒水(しゃすい)の滝 山北町
鎌倉時代の名僧・文覚上人が修行したと伝えられる関東屈指の名瀑です。
場所:神奈川県足柄上郡山北町平山
洒水の滝 名水百選
洒水の滝近くから湧き出る湧水は名水百選に1985年(昭和60年選定)選定されています。
丹沢の最高峰(蛭ヶ岳)山頂周辺の気温
山頂気温 | 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高気温 | 1.5 |
1.8 |
4.4 |
9.5 |
13.3 |
15.7 |
19.4 |
21.0 |
17.7 |
12.8 |
8.2 |
4.1 |
平均気温 | -3.7 |
-3.2 |
-0.2 |
4.8 |
8.8 |
11.9 |
15.6 |
16.9 |
13.7 |
8.4 |
3.4 |
-1.2 |
最低気温 | -8.4 |
-8.0 |
-4.9 |
0.1 |
4.6 |
8.6 |
12.6 |
13.6 |
10.4 |
4.6 |
-0.8 |
-5.9 |
丹沢へ登るための装備と服装
用具・装備 | 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ツェルト |
○ |
○ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
△ |
○ | ストック |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
スパッツ |
○ |
△ |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
△ |
手袋 |
◎ |
◎ |
○ |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
△ |
◎ |
◎ |
サングラス |
○ |
○ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
○ |
軽アイゼン |
◎ |
◎ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
○ |
12本歯アイゼン |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
ピッケル |
○ |
○ |
△ |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
テント |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
× |
丹沢の登山情報を共有しましょう
丹沢登山口までのアクセス(公共交通機関)
>>大倉登山口へのアクセスの詳細はこちら
>>ヤビツ峠登山口へのアクセスの詳細はこちら
>>大山ケーブルカー登山口へのアクセスの詳細はこちら
>>寄(やどろぎ)登山口へのアクセスの詳細はこちら
>>青根登山口へのアクセスの詳細はこちら
丹沢登山口周辺の山小屋
次はどこの山へ行こうかな。行きたい山がすぐに見つかる。
facebookもチェック
google+ページもチェック