間ノ岳とは

標高3,189mの間ノ岳は日本百名山の一つにも数えられ、北の北岳と南の農鳥岳と並んで白峰三山と呼ばれています。南アルプスでは北岳に次いで高い山で、日本では奥穂高岳の次で4番目の高さを誇っています。

三座を結ぶ稜線上の百花繚乱の高山植物と、雄大な展望は南アルプスの代表的な縦走ルートとなっています。

間ノ岳へ単体で登ることは稀で、北岳と合わせて登られています。そのため、間ノ岳へは北岳山荘にザックをデポし、ピストンする登山者がほとんどです。また、白峰三山縦走時の通過点とする登山者もいます。

間ノ岳の山容は森林限界をはるかに越え岩陵で出来ているものの、全体として丸く、穏やかです。

一方で濃霧時には登山道を見失う危険もあるため、北岳山荘と山頂間にはケルンがいくつも積まれ、登山者の安全を守っています。

また、山頂は広く平坦でキャッチボールができるほどであり、濃霧時などには指導標が無いとルートを見失ってしまうほどです。

また、単調な山容のため遮る物が無く強風をまともに受けることもしばしばあります。

間ノ岳の地図

間ノ岳の山小屋

南アルプスの山小屋
北岳山荘
北岳山荘
南アルプスの山小屋
農鳥小屋
農鳥小屋

間ノ岳のアクセス

南アルプス登山口-アクセスと駐車場
広河原のアクセスと駐車場
広河原のアクセスと駐車場

間ノ岳の全景

池山吊尾根分岐から間ノ岳
池山吊尾根分岐から間ノ岳 赤い屋根は北岳山荘

間ノ岳の登山コース概要

野呂川出合から三峰岳を経て間ノ岳ルート

三峰岳からの間ノ岳
三峰岳からの間ノ岳

南アルプス林道バスを野呂川出合(南アルプス林道)で下車して両俣小屋を経由し、仙塩尾根の三峰岳から間ノ岳へ登るルートは途中に鎖場もあり、岩登りの要素が少し含まれるため、やや難易度が高くなります。

南アルプス林道バス (北沢峠~広河原間)を野呂川出合で下車し、両俣小屋まで約2時間30分の林道歩きです。その後、野呂川の源流近くで沢に下り、河原沿いに進みます。

テント場を過ぎたところに両俣小屋があり、小屋の前庭にはテーブルと椅子が設置され、疲れを癒す登山者で賑わいます。

両俣小屋の裏手で北岳に登るルートを分け、野呂川越(仙塩尾根)まで樹林帯の中の倒木を乗り越えながらの急登です。

仙塩尾根の稜線をたどり樹林帯を2時間ほど登ると、樹木の間から仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳が顔をのぞかせます。

樹林帯を抜けハイマツ帯に入るとこのコース唯一のやや高度感のある鎖場が現れます。

鎖場を通過すると起伏の穏やか稜線に飛び出し展望が開け、正面に三峰岳が見えてきます。 少し登った所から振り返ると長大な仙塩尾根が仙丈ヶ岳まで伸びているのが分かります。

三峰岳直下の鞍部から15mほどの岩場を登れば三峰岳山頂です。 三峰岳山頂から分岐するコースは熊の平小屋を経由して塩見岳に通じています。

三峰岳から間ノ岳へはガレ場の登りとなり、斜度35度ほどの岩場を通過すると登山者でにぎわう間ノ岳山頂に到着します。

【注意】台風など増水時には野呂川には入らないこと。現在の両俣小屋は1982年8月の台風による増水被害で傾き、建て替えられました。

コースタイム

  • 登山:野呂川出合→間ノ岳 3時間55分
  • 下山:間ノ岳→野呂川出合 3時間10分

難易度 2/10

体力  3/10 (往復)

農鳥小屋から間ノ岳を経て北岳山荘ルート

西農鳥岳から間ノ岳
西農鳥岳から間ノ岳

農鳥小屋から間ノ岳山頂間、間ノ岳と北岳山荘間のルートは共に緩やかな斜面で、岩登りの要素は全くありません。

しかし、森林限界を超えているため、強風時や濃霧時は要注意です。

農鳥小屋は 間ノ岳と農鳥岳に挟まれた鞍部にあります。 この辺りは強風が吹くため、風除けのために積まれた岩壁が小屋の周りを取り囲んでいます。登山道はその脇から出発します。

起伏の穏やかな岩礫の斜面をジグザグに登ります。 背の高い樹木が生えていない上、地形がほぼ丸く、さえぎるものが無い為、強風にさらされたり、濃霧時にはルートを見失う危険があるので注意が必要です。 5m間隔に岩に付けられているペンキマークを慎重にたどればルートを外す心配はありません。 特に間ノ岳山頂は広々としていて、視界不良時にはルートを見失う恐れがあるので注意してください。

日本百名山の一つでもあり、シーズン中の間ノ岳山頂には登山者が絶える事がありません。

間ノ岳を後にして北岳山荘を目指し下りて行きます。 起伏の穏やか稜線をたどり中間地点の中白根山のピークを目指します。
途中3か所にケルンが積まれ、見通しが悪い時にはありがたいものです。

中白根山からは北岳山荘の赤い屋根がくっきりと見え、その先にはどっしりと構えた北岳の岩肌に描かれたトラバース道や直登りルートが明瞭に見て取れます。ハイマツ帯の尾根道を下れば北岳山荘に到着です。

コースタイム

  • 農鳥小屋⇒間の岳⇒北岳山荘:2時間35分

難易度 1/10

体力  1/10

間ノ岳の日帰り登山は出来る?

間ノ岳を日帰りするには芦安バス停を朝5:15分に出発する始発のバスに乗れば、広河原に6:13分に着きます。帰りは広河原発の最終バスが16:40分です。従って、10時間27分の山行が組めます。

間ノ岳に登る最短ルートは、広河原を登山口として八本歯ノコル(左俣)ルートからです。コースタイムは往復で12時間35分なのでの最終バスに間に合いません。従って、日帰り登山は健脚者であってもかなり難しいでしょう。

間ノ岳の登山口近くの温泉

間ノ岳登山口周辺の山梨県芦安に良質な温泉が沸きます。

北岳、間ノ岳や農鳥岳への縦走の前夜泊や下山後の宿泊として便利です。

代表的な温泉に芦安温泉「岩園館」、「桃の木温泉 さんわそう」などがあります。

芦安温泉「岩園館」

芦安温泉「岩園館」

源泉掛け流しのナトリウム・カルシウム・硫酸塩温泉(アルカリ性低張性高温泉)です。

大岩露天風呂・屋上露天風呂・展望大浴場の3つの大浴場があります。

甲府駅南口から路線バスがあります。御勅使で下車すると送迎があります。
シャトルバスの発着場になっている南アルプス温泉ロッジ・白峰会館まで1.5kmで徒歩18分です。

日帰り入浴のみは(2時間まで)
一人様 1,000円(税込)

桃の木温泉 さんわそう

桃の木温泉 さんわそう

温泉は加水・加温・循環なしの「100%源泉かけ流し」です。湯量豊富な自噴温泉はアルカリ性単純温泉です。開放感抜群の露天風呂が魅力です。

甲府駅南口から路線バスがあります。御勅使で下車し、タクシーで15分です。または、終点のシャトルバスの発着場で下車して徒歩でも可能です。

シャトルバスの発着場になっている南アルプス温泉ロッジ・白峰会館まで1.9kmで徒歩25分です。

奈良田温泉 白根館

奈良田温泉 白根館

源泉100%掛流しの含硫黄-ナトリウム-塩化物泉です。透明・グリーン・白濁と刻々と色が変わります。
以前は宿泊もありましたが、日帰り温泉のみ営業中 
営業時間 
【 平日 】10:30~16:00(受付〆15:30)
【土日、祝日】10:30~17:00(受付〆16:30)
日帰り入浴料 大人1000円

間ノ岳の天気の特徴

晴の間ノ岳 三峰岳より
晴の間ノ岳 三峰岳より

間ノ岳は晴天の確率が比較的高い

南アルプスの北部に位置する間ノ岳の山域は、日本海側特有の冬型気候の影響を受けにくいため積雪量は多くありません。

また、南アルプスの中では比較的晴天に恵まれることが多いのも 特徴に挙げられます。

夏山シーズンは6月25日から11月3日までの登山口の広河原までシャトルバスが運行されている期間のみです。ただし、奈良田を登山口とする場合は、季節を問いません。

6月から7月の梅雨明けまでは晴天の確率は低いですが、梅雨開けと共に晴天がしばらく続きます。また、秋も比較的晴天に恵まれます。しかし、10月上旬で初冠雪を見る年もあり、雨天だけではなく、強風などにも天候には十分な注意が必要です。

山の天気予報は難しい
山の天気予報は難しい

お薦めの天気予報

テレビで流れる天気予報やネットで得られる無料の天気予報は、一般的に平地を対象としたものです。 そのため、晴れの天気予報が出ていても、山ではガスってしまうことはよくあることです。 

そこで、おすすめなのがtenki.jpの有料バージョン(+more)です。これは、月間100円と安いですが、高層天気の予報のため精度が高いです。また、山の天気予報(月額300円)を併用すると更に精度が高まります。

間ノ岳の注意点

濃霧時に登山道を見失う危険

沢山のケルンが作られている

北岳山荘と間ノ岳の間にはケルンがたくさん積まれています。 濃霧時に登山ルートを見失いやすいからです。

特に間ノ岳山頂は大変広いので霧に包まれると進む方向がわからなくなります。 登山地図は必ず携帯するようにしましょう。 出来ればコンパスも持っているとよいでしょう。

各種情報

間ノ岳登山ツアー

  • 間ノ岳|登山・トレッキングツアー

観光協会

登山届提出

登山地図のスマホアプリ

  • 山と高原地図のスマホアプリ
    昭文社から販売されています。山と高原地図ホーダイ - 登山地図ナビアプリ 定額(500円/月 or 4800円/年)で61エリアの「山と高原地図」が使い放題。山と高原地図[地図単品購入版]地図1エリア 650円。

間ノ岳山頂周辺の気温

最高気温平均気温最低気温
1月-10.5-16.1-21.7
2月-8.9-15.1-21.0
3月-4.7-11.1-17.3
4月2.1-5.0-11.9
5月6.90.5-5.4
6月9.84.2-0.5
7月13.17.73.6
8月14.58.54.0
9月10.24.50.1
10月4.5-1.9-7.2
11月-1.6-8.2-14.0
12月-7.4-13.4-18.7

間ノ岳へ登るための装備と服装

軽アイゼン12本歯アイゼンピッケルサングラステント
1月×
2月×
3月×
4月×
5月×
6月×
7月××
8月××××
9月××××
10月××××
11月××
12月
必須:◎ あった方が良い:○ あったら良い:△ 必要ない:× 

服装や装備品のチェックリスト

登山地図必須 登山地図を忘れると道迷いの原因に!間ノ岳は目標となる木々などは全く無く、強い霧が発生する時にはルートを見失いがちです。 登山地図を持って行かないのは命取りと言えます。
レインウェア必須 山の天候は急変します。天気予報で晴が出ていても
レインウェアは必須です。森林限界を超えた間ノ岳では風を遮るものが全く無く、防寒着としても有効です。セパレートタイプの通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。
帽子必須 間ノ岳の稜線では直射日光が強烈に降り注ぎます。日よけ用のつばが広く軽いものをお奨めします。寒さが厳しいときは、耳を覆うニット製、冬山ではフルフェイスタイプをお奨めします。
日焼け止め必須 間ノ岳は3100メートルを超える高峰の為、 稜線では日光を遮る木々が一切ありません。森林限界を超えると紫外線が強いので必帯です。
飲料水必須 天気の良い日は少し多めに持って行きましょう。
大樺沢を直登して八本歯のコル経由のルートには水場がありません。(※雪渓から水は取れる)また、北岳山荘、白根御池山小屋と北岳肩の小屋での確保は可能です。登山行程に合わせて水の量を調整するとよいでしょう。
ヘッドランプ必須 なんらかのトラブルで夜の行動を余儀なくされた場合にはヘッドランプは必須です。また、暗い内から山頂まで登り、御来光を拝むためにも必要です。
行動食必須 登山のコースタイムが長いので多めに持っていくと良いでしょう。パン・ナッツ類・野菜ジュース、飲むヨーグルトなど立ち休憩で食べられるものがお薦めです。
パックカバー必須 ザックが濡れないようにするためのザックカバーは雨に日には絶対必要です。ザックカバーも雨衣と同様に防水性が衰えてきます。
時折、防水スプレーをするなどのメンテナンスが必要です。
救急薬品必須 切り傷、擦り傷にカットバン、絆創膏を持っていくと良いでしょう。虫刺され薬品も。登山行程が長く体力を必要とするところが多いので、トクホンのような筋肉痛に効く貼り薬。
ティッシュペーパー必須 登山中いきなりしたくなってしまった場合など、止血用などの万が一の時のために必帯です。ポケットティッシュを水で濡らし耳栓として使うと山小屋でのイビキ対策にも有効です。
防寒着必須 薄手のフリース,セーター、軽いダウンジャケット。
間ノ岳山頂では、7~8月でも最低気温が3度近くまで下がることがあります。
軽くて保温性の高いものを選びます。ゴアテックスのレインウェアを
その上に着ると更に保温性が高まります。
手袋必須 大樺沢の雪渓を登るところや梯子や岩場で、三点支持で登る時に使います。革製の手袋がベストですが、軍手でもOKです。
耳栓あったら良い 北岳や間ノ岳では山中の山小屋で最低でも一泊するコースがほとんどです。山小屋では大部屋が基本です。就寝時に いびきをかく人が必ずいます。耳栓の効果は絶大です。
カメラあったら良い 高山植物が豊富なので山旅の思い出にぜひどうぞ。ウエストポーチに収納出来る大きさであることが望ましいです。
ビニール袋あったら良い ごみ入れとして、使用前の下着入れ、使用後の下着入れとして7~8個あると便利です。
保険証(コピー)あったら良い 事故や遭難時に必要です。
サブザックあったら良い 北岳肩の小屋や北岳山荘にザックを置いて、サブザックで身軽な状態で登ることが出来ます。水、カッパなど必要最低限が入る軽いコンパクトなものを使用すること。
シュラフカバーあったら良い 遭難時や混雑している山小屋(一つの布団に2人)で役に立ちます。毛布2枚を床に敷きゴアテックス製のシュラフカバーに入ります。