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ルート
聖沢登山口(東俣林道)から聖岳

聖沢登山口(東俣林道)から聖岳ルート概要

登山コース案内

大井川上流の赤石ダム近くが聖沢登山口です。杉やヒノキの林の急登から登山が始まります。急登が終わると歩きやすいトラバースがしばらく続きますが、その後桟橋が連続するトラバースです。危険はさほどありませんが、所々で桟橋が不安定に見える所があり、やや危険を覚えます。

聖沢吊り橋を過ぎると広葉樹林帯の急登があります。架線小屋跡からは広い尾根筋を登ります。途中、乗越と呼ばれる場所まで来ると聖岳が大きく見え、休憩するのにはもってこいの場所です。

その後、ガレ場のトラバースの通過があり、ややスリップしやすいため注意が必要です。岩頭滝見台からは聖沢を隔てて奥聖岳の山腹から流れ落ちる二本の細長い滝を見ることが出来ます。

聖沢の源頭部が近づくと次第に傾斜が緩み、橋で2回聖沢を渡ると聖平小屋です。聖平小屋から木道を200mほど歩くと上河内岳から茶臼岳へ通じる登山道と聖岳へ向かう登山道が分岐します。

薊畑辺りまで登ると大きく展望が開けます。ダケカンバの林を抜けた辺りで森林限界を超え、富士山まで視界に入ります。小聖岳まで登ると目の前に大きく存在感を示すように聖岳が聳えています。

小聖岳からガレ場の縁の痩せ尾根を登るため滑落に要注意です。そして前聖岳へは砂礫の大斜面を登って行きます。前聖岳の山頂に立つと360度の展望が開け、南方面には上河内岳、茶臼岳、光岳へ通じる稜線が、東方向には笊ヶ岳を主峰とする稜線が南北に走り、その先に富士山が見えています。北方向に目を転ずると赤石岳から悪沢岳への縦走路がよく見えます。更には南アルプスの北部の山々が幾重にも重なって見えています。北西方面には中央アルプス、そしてその右手奥に北アルプスも確認出来ます。

前聖岳から奥聖岳へは片道15分もあれば着く事が出来ます。途中の二重山稜になっている凹地には7月から8月上旬であれば高山植物が見事なお花畑を作っています。又、赤色チャート層も広範囲に露出していますから見る価値は十分にあります。奥聖岳山頂からの眺望も前聖岳同様にありますから、ここでゆっくり休むのもお薦めです。

前聖岳から百間洞山の家を経由して赤石岳へ至る縦走路も参照してください。


画像一覧

畑薙第1ダムから少し下流にある夏期臨時駐車場から東海フォレストの送迎バスに乗り50分ほど走ると赤石ダム上流部の聖沢登山口です。井川観光協会も送迎バスを出しています。詳しくはアクセスのページをご覧ください。

聖沢登山口からヒノキ林の急登です。登山口の標高は1120mですから単純に標高差だけでも1893メートルあります。

30分ほどヒノキ林を登ると稜線ギリギリを通過します。左下を見ると赤石ダムに湛えられた水がコバルトブルーに輝いています。

ヒノキ林の急登が終わると南方向に進路を変え平坦なトラバースになります。200メートルほど南に進んだ所で、西方向に90度進路を変えると間もなく出会所小屋跡があります。小屋は見る影も無く、残骸が無残に転がっているだけです。

出会所小屋跡から300メートルほど進んだ所に小さな沢があり、橋が架けられています。この水は水場として使えます。

ブナなどの落葉広葉樹の落ち葉で埋め尽くされた登山道は、ふかふかして歩きやすいトラバースがしばらく続きます。

聖沢を高巻する様に付けられたトラバース道は、ヒノキや杉の植林地を過ぎた辺りから柵や橋が連続したやや危険な登山道となります。

鉄製の立派な橋が架けられています。手前側の地面の崩壊が進み、支柱の一部が地面から離れ、中に浮いた状態になっています。それを補うようにワイヤロープで上部の木に固定されています。やや不安を感じる所です。

鉄製のパイプで組まれた簡易な橋を渡ります。この橋は、安全に渡れます。

小さな沢に架けられたしっかりした橋を渡ります。左下には聖沢が流れ、次第にその清流の音が大きくなってきます。

ブナやシデなどの広葉樹林帯の小さな沢を超えます。清流が流れて岩が濡れてやや滑りやすい状態です。おそらくここの水を飲んでも問題ないと思います。

南側のトラバースにはいたるところが桟道になっています。しっかりとした桟橋でここは危険はありません。

小川が流れ小さな石がゴロゴロした沢を渡ります。水量が少ないので問題無く通過出来ます。左下には大きく蛇行する聖沢の流れがはっきりと見えて来ました。

手前側の橋の支柱が一部分壊れ、右手側に大きく傾斜しています。そっと足を置いてみて橋が動かないかどうか確認して通過します。

聖沢吊橋。聖沢の左岸から右岸へ渡ります。河原に降りる事も出来て、休憩の最適地となっています。数名の登山者が汗に濡れた服を脱いで水浴びをしていました。

立派な聖沢吊橋の真ん中から上流部を撮影。青みがかった水量豊富な流れです。聖沢吊橋を渡り、対岸の尾根に取り付きます。

聖沢吊橋を渡る落葉広葉樹の中に入ります。40分ほど急斜面をジグザグに登り、やや尾根が細くなった辺で傾斜が緩みます。

尾根が狭くなり傾斜が緩んだ辺りで木漏れ日が差し込む平坦地に飛び出します。架線小屋がかつて建っていた場所です。錆びたワイヤーや朽ち果てた木材が散在しているだけです。

架線小屋跡の脇を通り越し、尾根筋を進むとシャクナゲや低木化した針葉樹の中の緩い登りです。

乗越と呼ばれる小さい鞍部からは聖沢を挟んで聖岳がよく見えます。左手の雲に隠れて山頂部が見えない所が前聖岳で、中央の尖って見えるピークが奥聖岳です。

乗越を過ぎると尾根の北側に回り込み、足場の不安定なやや危険なトラバース道となります。水量豊富な沢からは水の補給が出来ます。

しっかりとした吊橋を渡ります。定員5人までと書かれています。吊り橋に渡された板の幅は約50センチほどなので踏み外さない様に慎重に渡ります。吊橋を渡ると、ガレ場が連続するトラバースです。

足場の悪いザレた沢を通過します。水が流れて岩が濡れているため、やや滑りやすいです。滑落防止用にロープが渡されています。

北面のトラバースを更に進むと、大木の倒れた沢を通過します。木は水に濡れて大変滑りやすくなっていますから、慎重に越えて行きます。

ガレ場のトラバースが終わると展望が開けます。上河内岳から北側へ伸びる稜線上の岩頭から北東方面に出来た沢を越えて行きます。ここで右手方向に進みます。

沢を超え、灌木帯の中を進み、岩壁すれすれの樹林帯の中へ入って行きます。そして、左手方向に大きくカーブを切ると岩頭滝見台です。

岩頭滝見台。登山道から10メートルほど迫り出した岩の先端部から聖沢を挟んでの眺望です。奥聖岳と前聖岳の下部に刻まれた二本の沢に流れ落ちる細長い滝が美しく見えています。

稜線の北側のトラバースが続きます。丸太によって補強された登山道は、やや湿っているのでスリップには要注意です。この後、所々でこういった桟道が現れます。

突き出した岩の上に故佐藤修一青山白雲人 昭和45年5月20日と刻まれた慰霊碑が祀られています。

慰霊碑の祀られた岩頭から聖沢源頭部を望む。正面に見える小さなピークの右手のV字の部分に聖平小屋があります。

慰霊碑の祀られた岩頭から尾根の北側をトラバース気味に進み、小さなアップダウンを繰り返し、せせらぎを渡ります。

せせらぎを渡ってからしばらく平坦な道を進み、針葉樹の森を聖沢へ向かって下って行きます。すると立派な橋が架けられています。ここで聖沢の左岸に渡ります。

聖沢に架かる橋から聖沢の流れを写す。赤色チャートの岩が飛び石になって見えています。赤色チャート層は約1億年前、放散虫の死骸が深さ1000メートルの海底に降り積もって出来たものです。赤色は微量に含まれる酸化した鉄分によるものです。

聖沢の左岸の針葉樹の森をゆっくりと登って行きます。辺りは倒木の多い苔むした森です。

再び、聖沢を立派な橋で超えます。鉄製の橋は自身の重みで大きくたわんでいます。

聖沢の右岸に沿って緩い傾斜を登ると、間もなく聖平小屋です。

更に水量が細くなった聖沢を鉄製の橋で越えれば聖平小屋です。

大きく展望が開けた聖平。一段高くなった所がテント場です。テント場は更にもう1ヶ所あります。ここから左手方向に2、3分行った所に聖平小屋が建っています。

聖岳と上河内岳の鞍部に建つ聖平小屋。小屋の正面は広く整地されたテント場になっています。聖平小屋近くには沢が流れているので汗に濡れた衣類を洗濯することも可能です。

聖平。聖平小屋から南方向に200メートルほど平坦地の中に作られた木道を進みます。

聖平の木道が突き当たった所に方向指示盤があり、ここで登山道は左右に分れます。左手方向は上河内岳から茶臼岳へ伸びる稜線、右手方向が今回登る聖岳です。

聖平の方向指示盤から草原の中を少し登ると、右手方向に目指す聖岳が姿を現します。手前の木々で覆われた小ピークが小聖岳、その奥に本峰の前聖岳が聳えてます。

コメツガやシラビソが取り囲む凹地には色とりどりの高山植物が花を咲かせます。しかし、鹿の食害によってニッコウキスゲは完全に絶滅したと言わています。ニッコウキスゲの復元を目指して静岡県の委託により南アルプス高山植物保護ボランティアネットワークによって柵が設置されています。

薊畑(あざみはた)。便ヶ島(たよりがしま)登山口への分岐でもあります。そのため、ここにザックをデポして聖岳をピストンする登山者もいます。遠景の丸いピークが上河内岳です。

薊畑分岐からコースを右手に取り、マルバダケブキが辺り一面を覆い尽くす草原を登ります。

シラビソやダケカンバの林の先に目指す小聖岳と前聖岳が近づいていました。 振り返ると上河内岳から茶臼岳、仁田岳、易老岳へ通じる稜線が一望出来ます。そして、眼下には聖平の木道が見えます。

ダケカンバ林の中をジグザグに登ると森林限界を超えます。

ダケカンバの林を抜けると、森林限界を超え左手方向に大きく前聖岳が姿を現します。そして更に左手方向に目を転ずると岩峰鋭い兎岳も視界に入ってきます。

小石の尾根を登り、右側から回り込むと小聖岳です。ここの少し上まで登ると右手前方に霊峰富士が美しく望めます。

標高2662メートルの小聖岳。正面に大きく存在感を示す前聖岳の大斜面が広がっています。途中、ガレ場の痩せ尾根の通過は要注意箇所です。

小聖岳から西沢源流を隔てて兎岳を望む。聖岳から兎岳にかけての南斜面は聖岳大崩壊地と呼ばれる断崖絶壁です。

小聖岳から稜線を進みます。稜線の左手側は鋭く切れ落ちているので慎重に通過します。

現在でも崩壊が進む断崖スレスレを登り、一旦下って前聖岳へ登り返す大斜面の基部に出ます。登山道の岩場にはチシマギキョウ、ミネウスユキソウ、シコタンハコベ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマシシウド、タカネツメクサなどの高山植物が登山者の目を楽しませてくれます。

前聖岳の基部からガラガラで崩れやすい広大な斜面の登りが始まります。登につれ次第に傾斜が増してきます。

滑りやすい大斜面を九十九折に登れば前聖岳山頂です。周辺にはタカネツメクサの群落が点々と広がっています。

標高3013mの聖岳は、日本アルプス最南端の3000m峰です。広く丸い山頂の一角に方向指示盤が置かれています。聖岳と言えばこの前聖岳を指します。ここから北東方向に約15分ほど行った所に奥聖岳があります。

前聖岳から今登ってきた小聖岳の稜線を望む。鞍部に聖平の木道が小さくが見え、更にその左手に聖平小屋の赤い屋根がぽつんと見えます。遠景に上河内岳から茶臼岳へ連なる稜線とその後ろには日本百名山の光岳も姿を覗かせています。

前聖岳から三角点のある奥聖岳へ向かいます。30分ほど見れば往復出来ます。遠景には山梨県と静岡県との境に笊ヶ岳を主峰とする南北に走る稜線が見え、更にその奥に大きく裾野を広げた霊峰富士が雲上に浮かんでいます。

前聖岳と奥聖岳との間は二重稜線の凹地で、チングルマ、コイワカガミ、キバナシャクナゲ、イワツメクサ、ミヤマシオガマなどの高山植物が色とりどりの花を咲かせます。左手には赤色チャート層が姿を見せています。

標高2978mの奥聖岳山頂。前聖岳より35m 標高が低い。正面奥に見えるのが百名山の赤石岳です。

奥聖岳から聖岳東尾根を望む。東聖岳、白蓮ノ頭と稜線が続いています。ここは、椹島ロッジの15分手前の所に登山口があり、冬季ルートとして使われています。遠景に富士山が見えています。

奥聖岳山頂から赤石沢を隔て右手に赤石岳、大沢岳と赤石岳の鞍部に百間洞山の家の赤い屋根が小さく見えています。

奥聖岳山頂からの眺望。これから縦走する兎岳、中盛丸山、大沢岳などが赤石沢源頭部を取り囲むように連なっています。百間洞山の家の赤い屋根も見えています。

奥聖岳側から前聖岳方面を写す。二重稜線の登山道脇にはチングルマやコイワカガミが綺麗なお花畑を作っています。

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聖沢登山口(東俣林道)から聖岳ルート地図


聖沢登山口(東俣林道)から聖岳ルート詳細情報

ルート 聖沢登山口(東俣林道)(標高1,120m)⇒出合所小屋跡(標高1,365m)⇒聖沢吊橋(標高1,370m)⇒架線小屋跡(標高1,670m)⇒乗越(標高2,715m)⇒岩頭滝見台(標高2,165m))⇒聖平小屋(標高2,260m))⇒薊畑(標高2,406m))⇒小聖岳(標高2,662m))⇒前聖岳(標高3,013m))⇒奥聖岳(標高2,978m)
コースタイム 登山:聖沢登山口(東俣林道)⇒聖平小屋 5時間10分 聖平小屋⇒前聖岳 2時間15分 合計7時間25分 前聖岳⇔奥聖岳 往復30分
下山:前聖岳⇒聖沢登山口(東俣林道) 5時間40分
駐車場 畑薙第一ダム夏期臨時駐車場 無料 200台可、畑薙第一ダム左岸 無料 20台可、 沼田 無料 20台可
核心部 特にありませんが、岩頭滝見台から慰霊碑の区間のトラバースは転倒やスリップに注意。
難易度 [登山道(一般道)を10段階で表示 特に鎖場の岩登り] 2
飲料水必要量 5Kgの荷物を背負う場合
体重45kgの人:1.63リットル、体重60kgの人:2.12リットル、体重75kgの人:2.62リットル
消費カロリー 5Kgの荷物を背負う場合
体重45kgの人:3.045Kcal、体重60kgの人:3.959Kcal、体重75kgの人:4.873Kcal
燃焼脂肪量 5Kgの荷物を背負う場合のダイエット効果
体重45kgの人:0.435kg、体重60kgの人:0.565kg、体重75kgの人:0.696kg
標高差 最大標高差 1881m 獲得標高 上り:2055m 下り:209m
山小屋 椹島ロッジ 千枚小屋 聖平小屋 百間洞山の家 荒川小屋 赤石小屋
登山口へのアクセス >>椹島・二軒小屋・畑薙第一ダム


>>易老渡・便ヶ島


聖沢登山口(東俣林道)から聖岳ルートの「高山植物」

カラマツソウ
カラマツソウ
チシマギキョウ
チシマギキョウ
ミネウスユキソウ
ミネウスユキソウ
ミヤマダイコンソウ
ミヤマダイコンソウ
ミヤマシシウド
ミヤマシシウド
チングルマ
チングルマ
ミタカネシオガマ
タカネシオガマ
シコタンソウ
シコタンソウ
コイワカガミ
コイワカガミ
イワツメグサ
イワツメグサ
ミヤマミミナグサ
ミヤマミミナグサ
タカネツメクサ
タカネツメクサ

次はどこの山へ行こうかな。行きたい山がすぐに見つかる。

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